言語聴覚士は放課後等デイサービスで何ができる?

放課後等デイサービスで言語聴覚士(ST)としてできること、役割を探っていくブログです

目には見えない「発達」を知ろう!障害児支援で重要な視点とは?

子どもの感情を発達の指標にしてもよいのか?

発達支援を行うとき、必ず子どもごとに目標を立てます。

・大人と向き合って遊べるようにする

・気持ちを伝える手段を身につける

・選択できるようにする

・数の理解を促す

内容も子どもによって様々です。

障害を持つ子は発達に何らかの苦手さや抜け落ちがみられます。

それを考えていくことが障害児支援なのです。

 

しかし、これが意外と細かくて分かりにくい。

なぜなら発達は「目に見えないもの」だからです。

ことばの発達も目には見えません。

知的な発達はもっと見えません。

目には見えないからこそ「発達」という指標を使って子どもの育ちを把握するのです。

 

今回は目に見えない発達を知ろうというはなしです。

障害を持つ子どもと関わる人には知っておいてほしいことです。

 

 

 

感情だけでは子どもの発達を評価することはできない!

子どもの評価、どうしていますか?

何を基準に、どんな感じで評価していますか?

基準が分からないと「気持ち」だけを発達の指標にしがちです。

なぜなら大人(支援者)にとって分かりやすいから。

大人自身の気持ちを基準に考えればよい、という考え方です。

 

障害児保育や支援などの分野では「気持ち」の発達は重要ポイントとして扱われています。

たしかに重要な視点です。

しかし、他の「発達」を無視して「気持ち」の発達ばかり見ていては子どもの全体像をしっかりと見ることができません。

 

ちょっと待ってください。

障害を持つ子は、物事の捉え方や考え方が私たちと異なる場合があるのです。

 

・物の名前や役割が分かっていない

・目の前にあっても見えなくなった物は消滅したと同じ思っている

・他者に「意図」があると思っていない

 

などなど。

ものや他者の捉え方だけでもこんなに違うのです。

だとしたら、発達も健常児とよばれる子と異なる可能性があるはず。

そのことを念頭に置きながら子どもと接することがとても大切なのです。

 

 

目に見えない発達に注目しよう

子どもの発達はたくさんの種類があります。

・身体発達

・運動発達

・遊びの発達

・食べる機能の発達

 

などなど。他にもたくさん。

なかには目に見えないものもあります。

・言語発達

・コミュニケーション発達

・認知発達

・思考の発達

 

などたくさんあります。

身体の発達は「量」や「大きさ」が増えるので分かりやすいです。

しかし、概念や考えなどの発達は目に見えません。

見えないから嫌煙されるのです。

 

 

主観的なものではなく別の視点から考えよう

障害児支援では昔から「気持ちを育てよう」という目標を設定することが多いのです。

パッと見、よさそうな目標に思えます。

しかし、考えてみてください。目標を立てた後のことを。

目標を立てれば、必ず数か月後に再評価をします。

「気持ちを育てよう」という目標では「育った」「育たない」の判断が難しいです。

結局「育ちました」と曖昧な主観的な判断をしてしまうのです。

 

 

目には見えない種類の「発達」を!

 

 

子どもが発達するとき小さな力を積み重ねることでさらに大きな力を得ることができるといわれています。

発達には様々な理論があります。

このどれもが「前提となる力」を大切にしています。

これは感覚統合などで使われる図です。

土台となる力がひとつでもかけてしまうと上に詰まれるはずのものがうまく乗りませんし、崩れやすくなってしまいます。

だからこと、子どもの発達をみていくうえで小さくても目に見えない発達を大切にすることがポイントとなるのです。

 

ポイント!

・子どもの「気持ち」だけでは育ちを評価できない

・「発達」という視点でみると客観的に子どもを把握しやすくなる

・基本的に「発達」は目に見えないもの!

 

 

「感情」だけではない!発達の種類

それでは

 

 

感覚の発達

感覚にも発達があります。

ここでは

・見ること(視覚)の発達

・聞くこと(聴覚)の発達

 

 

見る力の発達

 

 

 

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聞く力の発達

 

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ことばの発達

ことばの発達も分かりにくい分野です。

ことばの発達は

・喋り始める前

・喋り始めてから

に分けられます。

喋り始めるまでを「前言語期(ぜん げんごき)」と呼びます。

 

 

喃語の発達

喃語(なんご)とは赤ちゃんが「あー」「うー」というアレです。

意味のある単語を話す前段階のことばです。

 

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指さしの発達

ことばを話す前の段階で特に大切な「指さし」。

これにもちゃんと発達段階があります。

 

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前言語期の発達

ことばを話すまでの発達についてです。

ことばを話すために土台をしっかり作る段階です。

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二項関係&参考関係の発達

二項関係:「子ども」と「人(もしくは物)」

三項関係:「子ども」と「人」と「物」

遊びや他者とのやり取りの育ちに必要不可欠な力です。

 

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模倣の発達

模倣(もほう)とはマネのことです。

子どもは他者を真似ることで様々な力を身につけていきます。

模倣の力が育たないと発達において非常に不利なのです。

 

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ことば遊びの発達

ことば遊びにも一応の発達の順番が存在します。

子どもと関わるときに活用してみてください。

 

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話しことばの発達

通常、子どもは1歳くらいになるは話し始めるといわれています。

この頃のことばを「一語文」と呼ぶことがあります。

 

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読み書きの発達

文字を読む、書くために必要なものは何なのでしょうか?

発達段階と前提となる力を説明します。

 

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概念の発達

一番ややこしいのが概念の発達です。

簡単に言うとルールのことです。

 

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数の概念の発達

数も難しい。

「1,2,3・・・」と言えるからことばを理解しているわけではありません。

これを勘違いしている大人が多い!

子どもに強制的に数字を言わせても数の概念は理解できないのです。

子どもの負担になるだけです。

 

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考える力の発達

もっと分かりにくい発達がこれです。

「考える力」です。

「思考力」という場合もあります。

この力は大人だけのものではありません。

子どもの頃から発達が進んでいくのです。

 

 

考える力(思考力)の発達段階(0歳~)

0歳台から土台となる力が育ち始めます。

 

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考える力(思考力)の発達段階(1歳~)

さらに1歳を過ぎるとことばを獲得するので思考力はさらに高度なものへと変わっていきます。

 

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学齢期(小学生)の発達段階

小学生の発達をまとめてみました。

 

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非認知能力・認知能力の発達

見ても分からないし、数値としても現れないのが非認知能力です。

これにも発達があります。

 

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障害児の発達

発達とはいわゆる健常児が育つときの過程をまとめたものです。

障害がある子の発達段階がキッチリとまとめられているわけではありません。

障害児は個人差が大きいから出す。

ただし「傾向」はあります。

ここでは「知的障害」の特徴的は発達について説明します。

 

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障害児の発達をみるときに見たいオススメの本

発達に関する本は数多く存在します。

どれから手をつけたらよいのか分かりません。

ここでは「発達」に関する本をまとめてみました。

 

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その他の発達

その他の様々な発達を紹介していきます。

 

認知発達

発達の分野でときどき耳にする「認知発達」。

これって何?

扱う人によって意味が異なるのですが、いわゆる「知的」と同じです。

 

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食べる機能の発達

食べ物を口に入れたら喉の奥に消えた。

これだけでは「ちゃんと」食べられているのか分かりません。

安全に直結する能力なので、支援の際には丁寧にみていく必要があります。

すべての子どもに関わる大人に知っておいてほしい「発達」です。

 

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運動発達

運動発達は「動けた!」「歩けた!」というように、周りから目で見ることができます。

そのため判断が比較的容易です。

ただ、見た目だけでは「動けているのか?」の判断が難しい。

たとえば、指を動かせている=箸を使えるとはいえません。

注意が必要です。

 

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注意力の発達

注意とは「怒られる」という意味の注意ではありません。

意識を向ける「アテンション(attention)」のことです。

 

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発達段階まとめ

本やインターネットで調べてもまとめて掲載されていないことが多いです。

ここではいろいろな発達をまとめて説明してみました。

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◆この記事に書いてある発達段階&年齢
・身体の発達(粗大運動、微細運動)
・知的発達(遊び)
・耳の発達
・目の発達
・食べる機能の発達
・歯の発達(乳歯、永久歯)
・ことばの発達
・読み書きの発達

 

 

 

 

 

まとめとして

今回は、目に見えないけれど「発達」という視点は子ども支援において大切だというはなしをしました。

見た目に騙されると

・前はできていたのに何で今できないの?

・なぜ毎回これをやるの?

と答えが出ないまま支援をしなくてはならなくなります。

だからこそ「発達」という視点を持つことが欠かせないのです。

 

おさらい!

・子どもの「気持ち」だけでは育ちを評価できない

・「発達」という視点でみると客観的に子どもを把握しやすくなる

・基本的に「発達」は目に見えないもの!

 

よかったら参考にしてみてくださいね。