言語聴覚士は放課後等デイサービスで何ができる?

放課後等デイサービスで言語聴覚士(ST)としてできること、役割を探っていくブログです

放課後等デイサービスは楽な仕事か?【求人に応募する前に読もう】

本当に放課後等デイサービスは「楽な仕事」なのか?

学校が終わってから障害を持つ子たちが通ってくる施設。それが放課後等デイサービスです。全国的にも施設の数が増えています。しかし、大多数の人たちから、実際には何をしている施設なのか?知られていないのが現状です。

・健常児の学童と同じ?
・塾と違うの?

施設が増えれば、求人の数も増えます。

「障害児と遊んだり出かけたりすればいいんでしょ?」
「なんだか楽そうだな」

そう思って働き始める人もたくさんいます。いざ働いてみると「思った以上に大変な仕事だ」と感じる人もいれば、「楽しい!なんていい仕事なんだろう」と感動する人もいます。結果は様々。本当に放課後等デイサービスは楽な仕事なのでしょうか?

どんな仕事だって「合う」「合わない」はあります。全員が「理想の仕事!」と思う職場なんてありません。今回は、なぜ放課後等デイサービスを「楽な仕事だ」と感じる人が多いのか?というはなしです。

 

 

意外と思っている人が多い「障害児支援は楽な仕事」

なぜ、障害児の支援は楽だと思われがちなのでしょうか?

一番の理由は、遊びを通して子どもたちの発達を育てていくからだと思われます。

・感覚遊びで「刺激」に気づいてもらう
・遊びを通して認知発達を育てる
・遊びながら大人や友だちに気づいてもらう
・遊びながら自分以外の存在を知る

知的障害があって指示に応じられない場合、訓練やリハビリが うまく進まなくなることがあります。そのとき「遊び」を使ってリハビリを行っていくのです。このことを知らない人が外から見ると、子どもと遊んでお金がもらえるなんて、なんて楽な仕事なんでしょう!うらやましいですな!となるのです。

 

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「楽な仕事」だと思って求人に応募

これから障害児の施設で働いてみようかな?と考えている人にも似た傾向があります。実際に障害児福祉の現場で、面接者や新人の人に話を聞いていると「なんだか楽そうな仕事だな」と思っていそうな人が多いです。

それは仕方がないかもしれません。「遊びが訓練になる!」なnんて、どの求人欄にも書いてありません。求人を探している人たちが気がつくわけがないのです。

楽だと思って求人に応募してきた人の話しを聞くと共通点は次の通り。

・遊んでいればいいから
・子どもを見ているだけでいいから
・介助量が少ないから

このように考えている人が多いです。やはり「遊ぶ」がキーワード。

 

 

 

「遊び」ぶだけでお金がもらえる?

実際に遊びながら発達が促進するように支援や訓練を組み立てるので、「遊びでお金が稼げる」というのは間違った言い方ではありません。しかし「楽か?」と聞かれたら・・・。わたしだったら「NO」と答えます。

 

障害を持つ子は、健常児と呼ばれる「障害がない子」とは発達の過程が異なるということです。通常、周りの大人が特別なことをしなくても、子どもは、首が座って、お座りができて、立てて、歩けるようになってきます。自然と喋れるようにもなります。

しかし、何らかの障害があると、それができないケースが多いのです。首が座らない、一人で座った姿勢が保てない、立てない、歩けない、喋ることができない・・・。原因は 発達段階のどこかで つまずいているからです。

この「つまずき」を取り除いて、発達を促すためには周囲からの支援が必要となります。お勉強のように「教え込む」のでは効果は出にくい。そのため、遊びを通して「気づき」を促すことが育ちにつながるのです。どの子も一筋縄ではいきません。

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福祉職への偏見

やはり、他人が見ると「楽そうに見える」のはあるようです。

たとえば、街で見かける障害者への支援。介助者と一緒に電車に乗って出かけているのを見たことがないでしょうか?

外から見ると、ただ子どもの後を大人がくっついているだけ。楽な仕事だな。と見えるかもしれません。しかし、一緒にいる介助者はいろいろなことを考えながら その場にいます。

・この子は大きな音が苦手だから、周囲で子どもの鳴き声が聞こえたら、このルートで向こう側に連れて行こう。
・開いていない座席に座ろうとしたら、どうやって止めようか?他に気を逸らせた方がいいかな?
・次の乗り換えは混むから、少し遠回りになるけれど空いている路線で行こう。

そとから見たら、ただ一緒にいる大人。でも、介助者の頭の中はフル回転です。突然、一緒にいる子に対して心無いことばを飛ばしてくる人だっています。そういう人への対応も考えています。

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介助量が少ない?

障害児と言っても子どもだから、高齢者や成人に比べると軽いし楽なはず。そう思っている人もいるでしょう。

大雑把にいえば、その通りです。基本的には、子どもと大人では体重が違います。しかし、大変なのは体重以外の点にたくさんあります。

・介助の際、大人は協力してくれるが子どもは協力動作がないことが多い
・肢体不自由児は意外と体重が重い子も多い
・全身に力が入らない子の介助は思った以上に大変
・急に大人に飛びついてくる子どももいる

遊ぶ、活動をする、といっても結構な力仕事が多いです。もちろん、一定以上の子どもを移動させる際には、介助者2人で持ち上げるようにしたり、どうしても持ち上がらない子は、力がある介助者にお願いする、という対策も取られているので腰が悪い人も安心です。

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看護師が思い違いしやすい?

働き始めてから「思っていたのと違っていた」というセリフが出やすいのは、どの職種が多いと思いますか?

・専門職?
・保育職?

意外と多いのが看護職です。もちろん、他業種からの転職の場合は「違う!」と思う人もいます。医療職・福祉職の中では、放課後等デイサービスにきて「思っていたのと違う・・・」と感じてすぐに辞めてしまうのは、わたしの経験上、看護師の方が多いように思います。看護師の方、ごめんなさい。怒らないでください。

イメージの中では・・・放課後等デイサービスでは、薬を配ったり、ケガの処置くらい。あとは子どもと一緒に遊んでいればいいんでしょ?と思っていたけれど、実際は違っていた。

逆に、重症心身障害児や医療的ケアが必要な子が通う放課後等デイサービスでは、思っていた以上に「たいへんな医療的ケアが多い・・・」と感じる人もいます。

 

 

本当は「楽な仕事」かもしれない

今回、放課後等デイサービスは楽な仕事ではない!ということを説明しました。わたしは数か所の放課後等デイサービスで計 10 年以上働いてきました。実際に働いていると「意外と楽かも」と感じることもあります。その理由は次の通りです。

・楽しく遊ぶと時間がたつのがあっという間
・運転時間がやたらと長い
・子どもがいない時間がある

相性はありますが、基本的にどの子もかわいくて、一緒に遊んでいると意外と楽しくて時間がすぐに過ぎてしまう、なんて日がたくさんあります。

また、放課後等デイサービスでは車を運転する機会がたくさんあります。学校お迎えや送迎、お出かけのとき、などなど。施設から離れたところに数回行く日には、勤務時間の半分(ex.8時間勤務なら4時間運転)は車に乗っていることもあります。

放課後等デイサービスに通っている子は、みんな学校が終わってからやってきます。そのため、子どもが来る前と帰った後は事務作業をする時間が確保できます。

※ 児童発達支援を行っている施設では、午前中から未就学児の子どもたちが来るので、一日中、誰かしらの子どもがいることになります。この場合は、対応に追われる日もあるので意外と事務仕事の時間が作れないことも・・・。

 

 

 

放課後等デイサービスで働くメリット・デメリット

 

 

メリットとは?

「偏見がなくなる」

わたしが長年、障害児支援の仕事をしていて感じる一番のメリットがこれです。子どもたちと接する前は「障害児ってどんな人たちなんだろう?」と恐れていました。いざ、一緒に過ごしてみると「あれ?普通だ」と感じます。

・たとえ、指の数が少なくても、わたしたちと変わらない
・障害児の全員が繊細で病弱なのではなく、頑丈な子も意外と多い

障害や疾患のことを、わたしが知らなかったから「怖い」と感じていた。知ってしまえば、見慣れてしまえば何てことはないのです。

自分の中の「偏見」がなくなると「楽しいな」「この仕事を やっていてよかったな」と感じます。

 

 

デメリットとは?

正直、給料は安い

正職員であっても、一般企業に勤める同年代の人と比べると、放課後等デイサービスの給料は低いです。さらに、万年的な人手不足、休みが少ない、などの傾向があります。これは、地域や施設によってバラバラですが・・・。残業は比較的少ない施設ばかりのイメージです。

 

 

まとめとして

今回は、障害児を支援する、放課後等デイサービスは「楽な仕事」だと思われやすいのか?という話しをしました。一番の理由は「遊び」を通して子どもへアプローチすることだと思われます。周囲の人から間違った評価を受けやすい。

また、障害児への支援や訓練は どんなことをやっているのか?を情報公開していく必要がありそうです。それが障害を持つ子たちへの偏見を減らす助けになるのではないでしょうか?

よかったら参考にしてみてください。