言語聴覚士は放課後等デイサービスで何ができる?

放課後等デイサービスで言語聴覚士(ST)としてできること、役割を探っていくブログです

認知発達とは「分かりやすく」「生きやすく」なるために必要な力!

認知発達とは何なのか?

障害児や教育の分野でよく耳にする「認知発達」。

動きやことばと違って分かりにくい発達の種類です。

今回は認知発達はどのようなもので、どんな流れで獲得していくのか?という説明をしていきます。

 

 

 

認知とは

「認知」とは

感じ取ったものが

・どんなもの?
・どんな価値があるもの?
・自分はどうすればいい?

を理解して行動に移すまでの一連の流れ のことです。発達の骨組み(中核)となる力。「知恵」「知的」といわれることもあります。

外から得た情報をしっかりと受け取って「自分が何をすればよいのか?」判断する。それによって、さらに高度な力を身につけられるようになってくる。そのような一連の流れが「認知発達」なのです。

 

 

認知するまでの流れ

感覚刺激
⇒ 外からの刺激が入ってくる

感知
⇒ 「何か手に当たった」と気づく
手だけではなく、見える(目)、聞こえる(耳)の場合もある

知覚
⇒ 「手に当たったのは丸くて硬いものだ」
過去の経験などと照らし合わせて形や大きさなどを感じとること。完治したものが「どんなものか」大体で感じ取ること

認知
⇒ 「手に当たったのはリンゴだ」
自分の中の知識と照らし合わせて「それは何なのか」を判断、認識すること。また、その価値を判断することともいえる

 

 

いろんな意味を持つことば「認知」

 「認知」は分野によって様々な使われ方をします。

・障害児、教育分野
 ⇒ 認知発達という意味

・高齢者福祉の分野
 ⇒ 認知症という意味

・社会分野
 ⇒ 自分の子だと認めること

 ※この記事では、障害児・教育分野の「認知発達」について説明していきます。

 

 

認知発達の種類

 「認知」とは、周囲にあるものを感じ取って、その意味を把握することだと分かりました。

意味を把握できれば「次に何をすべきか」が分かるようになります。その積み重ねが子どもの「発達」「育ち」なのです。

認知発達にはたくさんの種類があります。

右に行くにしたがって高度な力になります。

 

参考記事

 こちらの記事もどうぞ 

◆感覚を受け入れる

www.hana-mode.com

 

◆身体をうまく使う

意外と見落としがちなのが「動き」です。自分の身体に意識が向きづらい子もいます。意識が向かなければ不器用な動きになってしまいます。走っていればちゃんと動けているとは言い切れないのです。

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◆ものを見分ける・聞き分ける

 視力が正常なら目の力は獲得できている!そう思っている人は結構多いです。しかし、見分けることができて初めて「目を使えている」といえるのです。

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◆記憶と処理がうまくできる

 記憶にも発達があります。興味があればこちらの記事もどうぞ。 

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認知はどのように育つのか?

いろんな種類がある認知発達。

ではどのように発達は進んでいくのでしょうか?

 

認知発達はコミュニケーション発達にも影響する

周囲からの刺激や自分の周りで起きたことを把握するということは「ことば」や「コミュニケーション(対人関係)」の発達にも影響を与えます。

 

たとえば、

目の前にいる人が「指さし」や「何かの身振り」をしたとします。

しかし、これらの意図することが分からないと、相手が何を言いたいのか分かりません。

コミュニケーションとは相手の意図をくんで返すことです。

このように「理解出ないからコミュニケーションできない」というケースもあるのです。

 「認知発達」と「コミュニケーション発達」。別物なんじゃないの?

そう思われるかもしれません。しかし認知発達は別の発達にも影響を与えるのです!

 

 

認知の力を使うともっと高度な力を獲得できる

認知発達では、育つ過程で様々な力を身につけていくことになります。

・目や耳の使い方
・記憶
・模倣する力
・複雑なことを簡単に捉える力(概念)
・様々な事柄をことばなどに置き換える力(象徴)

1つ獲得するとパワーアップして、もっと難しいことができるようになるのです。それはロールプレイングのようなゲームに似ています。 

認知発達の流れ

・感覚を身体に入れる
  ↓
・姿勢を調節しながら手を使って探索活動を行っていく
  ↓
・目と手、耳と手を一緒に使うようになる
  ↓
・注意機能が育ち、見分ける、聞き分ける力が育つ
 ※注意機能:特定のものに注意を向ける  
  ↓
・記憶する力も育つ
  ↓
・物に名前があること、ことばを思い出すこと
  ↓
・見る力(視知覚)の発達、見て覚えること、身体を動かすことなどが育つ
  ↓
・模倣(マネする力)が育つ
 道具模倣、動作模倣
  ↓
・さらに聞き分ける力も深まり、聞いて覚える力、ことば(音声)を思い出す力が育っていく
  ↓
・音声模倣 
  ↓
・象徴機能やイメージする力が育つ
  ↓
・様々な力で応用がきくようになる
  ↓
・文字や数の概念も形成される
  ↓
・頭の中が整理されやすくなるので「考える力」が育つ
  ↓
・推理、判断する力も拡がる 
  ↓
・ルールや道徳心が育つ
  ↓
・ゲームやごっこ遊びが可能になる
  ↓
・友達同士で遊べる(共同遊び)
  ↓
・集団内での役割や概念も意識されるようになる

 

参考文献
学苑社『感覚通堂の高次化による発達臨床の実際』宇佐川浩

 

模倣についてはこちらの記事をどうぞ

 

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まとめとして

今回は認知発達について説明しました。

認知発達は育っていく過程で、より高度な力を獲得するために必要となるシステムのことです。

子どもは日々自分自身をアップデートしながら育っていくのです。

それが結果的に「生きやすく」なり、自分自身を助けることになるのです。

  

参考資料