喃語と発達の関係
「喃語が少ない」
「まだ、明確な単語を喋らない」
「他の子より静かな気がする」
喃語とは、喋っているけれど、明確な意味が分からない ことばのことです。
子どもの ことばの発達は個人差が大きいといわれています。そういわれても、お子さんの ことばが遅れていると気になると思います。
一方で、“様子を見てもよいケース”と“相談を考えたいケース”があります。
今回は、ことばの専門職である言語聴覚士(ST)が考える「喃語」についてやさしく説明します。
喃語とは?
赤ちゃんは生まれてしばらくすると「あー」や「バブー」と言うようになります。このかわいいおしゃべりが喃語(なんご)と呼ばれるものです。
これはことばを話すための土台となるものです。では、喃語はいつ頃からどのように獲得していくものなのでしょうか?
クーイングとの違い
クーイングとは、赤ちゃんが出す声のことです。「喃語」は、舌や口唇を動かして声を出しているのですが、「クーイング」は、ほとんど舌や口唇を使っていないのが特徴です。
| 時期 | 特徴 |
|---|---|
| クーイング | 「あー」「うー」母音中心 |
| 喃語 | 「ばば」「まま」子音が入る |
喋るための助走期間
喃語はどの国の赤ちゃんにもみられます。
赤ちゃんは、口を動かして楽しみながらしゃべるための練習をしていくのです。
口から音が出る 声遊び
↓
少しずつ口の使い方に気がつく
↓
ものの理解が深まる
↓
音に意味が加わる 意図表出の手段
↓
さらに理解が深まる
↓
話すようになる
年齢ごとの喃語の変化
大まかな発達の流れは、下記の表のようになっています。
| 時期 | 特徴 |
|---|---|
| 2〜4か月 | クーイング |
| 5〜10か月 | 喃語(ばばば、まんま等) |
| 10か月以降 | 意味ある言葉へ |
声を出すといっても、はじめのうちはご機嫌なときに唇や舌を使わず「あー」という音を出すだけです。
誰かに何かを言っているわけではありません。自分の声を聞いて楽しんでいるのです(1次的循環反応の1つ)。
それが徐々に、目の前の大人に向けて声を出すようになってきます(交信的喃語)。段々と喃語の音も増えてきます。それが下記の流れです。
生後2ヶ月ころ
クーイング
⇒ 喉の奥を鳴らすような声。呼吸と声を結び付けるための学習となる。
⇒ 泣いているときとは違う声が出るようになってくる
生後3ヶ月ころ
プレジャーサイン
⇒ 母親の話しかけに応じるかのような声を出す
喃語のようなものがでる
・母音中心「あーあー」
生後5ヶ月ころ
過渡期喃語
⇒ 子音も加わる「バババ」「マンマンマン」
※この頃の喃語(母音+子音)はまだ不鮮明
生後6ヶ月ころ
基準喃語
⇒ 喃語(母音+子音)がはっきりしてくる
反復が多くなってきます。
※この頃から本格的な喃語と言えるものになってくる!
生後11ヶ月ころ
非重複喃語
⇒ 同じ音の並びの繰り返しだったのが変わってくる
「あば」「んま」というように
1歳
始語(初語)
⇒ 意味のあることばを話すようになります。まずは単語での発話です。
産声や喃語は国によって違うの?
赤ちゃんのことばは国によって異なるのでしょうか?
それとも途中から変わってくるのでしょうか?
赤ちゃんのころは様々な言語の聞き分けが出来ているといわれています。
さらに近年では、赤ちゃんはしゃべり始める以前でもお母さんが使うことばを使うことが分かってきました。(2009年『ABC news』より)
「?」
まだしゃべっていないのに?
そうなんです。赤ちゃんは母国語(もしくは親が使っていることば)に寄せた声のリズムやアクセント、テンポで泣いているのです。
驚きです。
そうしたほうが、より親に気づいてもらえるからだと考えられます。
産声は世界共通。そこから徐々に違いが出てくる
産声はどの国の赤ちゃんも同じ。
それ以降、徐々にその国の音(ことば)に近いものになっていくのです。
親や周りの人たちが喋っていることばの影響です。
環境は子どもに強い影響と与えると言えるのではないでしょうか。
まとめると次のような流れです。
・産声
⇒ 全世界共通でドレミの「ラ」の音
・泣き声
⇒ 母国語に似た音
・クーイング
⇒ 音的にはその国の音と同じもの
・喃語
⇒ 喃語になってから各言語の特色が出てくる
声遊びが音声言語獲得の土台となる
喃語は自分の出した声に気づくことで楽しくなって繰り返していきます。
初期の喃語は、喉や口唇などを使って音を出す感覚遊び的に行っているため、聞こえが悪くても出ます(過渡的喃語)。
それ以降の音(声)として出している喃語は難聴が重いと(高度難聴~)出づらくなってしまいます。喃語はことばの土台となります。
▶ことば遊びについて知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
⇒ 「ことば遊び」ができるようになる年齢はいつころ?
喃語の遅れは指標になる?
何らかの原因によって喃語が出現するのが遅れることがあります。
それが次のような原因が考えられます。
聞こえづらさ
音が聞こえにくい状態であると、周囲からの声や音の存在に気づくことができません。
そのため、ことば(音声)の獲得が遅れたり、獲得しにくかったりします。
ちなみに、聞こえが悪くても「バババ」「マンマンマン」のような喃語は出ることが多いです。
これら過渡的喃語は喉や口の感覚で楽しむ意味合いも強いのです。音遊びというよりは感覚遊びなのできます。
身体発達の遅れ
筋肉の使い方や口や顎(あご)などの器官が十分に育っていないために喃語が出にくい場合もあります。
生理的な原因で「うまく口が使えない」ということです。
その他の発達的特徴
自閉症などの発達障害でも喃語がないケースもあります。
出ないからといって必ずしも発達障害とは決めつけられません。
ではなく、それ以降の社会的特徴で判断していきます。
▶ お子さんに読んであげたい絵本を探している方はこちらをご覧ください。
⇒ ことばを学ぶために絵本を選ぼう!【食べ物】がテーマのオススメ絵本
まとめとして
喃語は国によって違うのか?
答えは、産声は世界共通だけれど、それ以降はその国の音に寄っていくのです。
喃語の発達はどうか?
喃語に限らず、ことばは本当に個人差が大きいです。
1歳前からしゃべり始める子もいれば、3歳を過ぎてからようやくしゃべり出す子もいます。
喃語をほとんど話さなかったけれど大きくなったらいつの間にか話せるようになっていた、という子もいます。
ことばが出るのが遅いと親御さんは心配になると思います。
もしも喃語が出ない場合にも、たくさん話しかけてあげてください。
ことばのシャワーを浴びせよう!という意味ではありません。
たとえしゃべらないとしても、はなしかけることで心のキャッチボールができます。
そういった積み重ねが、子どもが他者へ関心を向けるきっかけとなったりします。
反応が少ない子ほど、「本当は何を伝えようとしているのだろう?」という視点が大切になります。見える反応だけで終わらず、その子の可能性を探す。それが、わたしが大切にしている関わり方です。
よかったら参考にしてみてくださいね。
参考資料
◆言語発達障害学Ⅰ
建帛社
◆赤ちゃんはいつごろから歌い始めるか
https://www.yamaha-mf.or.jp/onkenscope/shimurayouko1_chapter3/
◆音韻体系発達と音声の発達
母子健康協会 ふたば
https://jp.glico.com/boshi/futaba/no68/con05_06.htm
◆小児難聴
https://www.jstage.jst.go.jp/article/faruawpsj/54/11/54_1035/_article/-char/ja/
◆前言語期 における健聴児 と先天性高度難聴児の音声の発達 に関連す る因子の統計学的研究
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjlp1960/43/2/43_2_125/_article/-char/ja/
◆乳児における喃語と身体運動の同期現象
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpsy1926/68/6/68_6_433/_pdf
◆abcNEWS Babies Cry With an Accent, Study Finds
https://abcnews.go.com/Health/MindMoodNews/newborns-cry-accent-study-finds/story?id=9006266





