言語聴覚士は放課後等デイサービスで何ができる?

放課後等デイサービスで言語聴覚士(ST)としてできること、役割を探っていくブログです

支援者は救済者ではない!障害児保育&支援をするうえでのポイントとは?

障害児保育&支援でわたしたちができること

発達障害の理解促進や放課後等デイサービスの普及などによって障害児保育&支援がクローズアップされることが増えてきました。

しかし、障害の分野に関わらない人たちにはよく分からないことが多いはずです。

・福祉系で働く人はみんな優しい人ばかりなの?

・障害児ってみんな純粋なの?

・支援って何してるの?

 

わたしは言語聴覚士(ST)として実際に10年以上、障害児の分野で働いてきました。

そこで感じたこと、気になったことをお話ししたいと思います。

私たち支援者は何に気をつけて子どもと関わっていけばよいのでしょうか?

 

 

上下関係をつくらない

一番のポイントは上下関係をつくらないことです。

「そんなの当たり前でしょ」

そう思われるかもしれません。

しかし、これができていない人は結構います。

・わたしが教えてあげなくちゃいけない

・手助けしてあげなくちゃいけない

口では「わたし子どもが好きなんです!」なんて言っている人でも無意識的に子どものことを下に見ている人はいます。

 

子どもは未熟な存在ではありません。

これから様々な力を身につけていく「これから」がある子たちです。

 

あなたは子どもをどのようにみていますか?

 

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障害を持った子への支援とは?

障害児が生活で困ったことを手伝ったり、発達上でつまづいている部分を後押ししたりすることが「障害児保育」や「障害児支援」です。

 

 

たとえば乳幼児

(※乳幼児:0歳~幼稚園生くらいの子)

子どもは遊びを通して様々なものに気づいていきます。

遊びの経験から理解やコミュニケーションなどを学んでいきます。

幼稚園に入ると友だちの中で生活するようになります。

ここから対人関係が本格的に始まります。

何らかの原因によって他者との関わりがうまくいかない子もいます。

そのときに友だちとのかかわり方を身につけるお手伝いをします。

 

ex.

・友だちと一緒に遊ぶときには順番を守る

・遊び方が分からない子に遊びを提供する

 

 

たとえば学齢期の子たち

(※学齢期:小学生~高校生までの子)

学齢期の子も遊びを通してこれまで身につけてきたものを深めていきます。

小学生になってから「学習」が加わります。

何らかの原因で学習についていけない子たちがいます。

その苦手克服もしくは代替え手段の提案などのお手伝いを行いきます。

 

ex.

・文字の読み書きが苦手な子への支援

・年齢に合った友だちとの付き合い方を知ってもらう

※この場合の年齢は「生活年齢」と「発達年齢」の両方を考慮することが必要

 

 

放課後等デイサービスという特異な立場

放課後等デイサービス(放デイ)という種類の施設があります。

学校が終わった後に通うところです。

放課後等デイサービスは学校と家の間に位置しています。

 

障害がない子たちは学校が終わると友だちと遊んだり習い事をしたりして過ごします。

一方、障害がある子は放課後等デイサービスという施設に通うことが多いです。

放課後等デイサービスは子どもにとって「第3の場」なのです。

 

いろんなタイプの子が通う施設

放課後等デイサービスには様々な障害や疾患を持った子たちが通っています。

・発達障害(自閉症など)

・ダウン症

・肢体不自由

特に肢体不自由児は自由に動けないことが多く、さらに知的障害も併せ持っている子がたくさんいます。

(もちろん知的障害がない子もいます)

放課後等デイサービスではどんなことをしているのでしょうか?

 

 

放デイでも頑張らせるのか?

ここで問題となってくるのが次の点です。

 

問題点

・学校で勉強を頑張ってきたのに放課後も頑張らせるのか?

・「家」「学校」「放デイ」の支援目標が違ってよいのか?

 

 

私たちができること

それでは、わたしたち大人ができることは何があるのでしょうか?

 

いろんな職種がいるけれど・・・

支援者は様々な職種の人がいます。

・児童指導員、指導員、保育士

・理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)

・資格はないけれど頑張っている人

障害を持った子どもにはいろんな職業の人が関わっているのです。

それぞれ違った視点を持っています。

お互いが尊重し合って支援を行うことが大切です。

 

ときどき「この職種は偉い」と思っている人がいます。

これは明らかに間違いです。

上下関係はない対等な関係です。

大人同士も

子ども同士も

大人と子どもも

 

 

支援者は救済者ではない!

支援を行ううえで勘違いしやすいことがあります。

「頑張って治してあげたい」

「治す」

完治できないから「障害」なのに?

 

わたしは言語聴覚士として10年以上、障害を持つ子たちと関わってきました。

言語訓練なども行いました。

いろんなアプローチをしてきました。

しかし、あとあと考えると

わたしが行った訓練の効果はごくわずかで、子どもが元々持っている「育ちの力」で発達が促進された。

 

専門家の訓練でもそんな感じですよ。

支援者ができることは

・子どもに寄り添うこと

・後押しすること

このくらいなのではないでしょうか。

 

 

ベテランの慢心

新卒の人が「助けなくちゃ!」と思ってしまうのは仕方がないかもしれません。

初めての就職で右も左も分からない。

でも頑張らなくちゃ。

 

しかし、経験が長い人は注意が必要です。

経験が長いにもかかわらず救済者的な思考の人もいるからです。

このような姿勢で支援に臨んでもよいことは何もありません。

子どもにだって親御さんにだって見透かされています。

 

心当たりがある人、いませんか?

自分で気づけるなら大丈夫。

いまのうちに考えを変えればよいだけです。

 

 

治療ではない!

障害を持った子への支援は「治療」ではありません。

発達が少しでも進むための「お手伝い」をすることです。

支援者や指導員、専門職(セラピスト)だって同じです。

 

ポイント!

支援者ができることは

・子どもに寄り添うこと

・後押しすること

上下関係はない対等な関係。

しかし、何でも子どもの言うことを聞くのは違います。 

 

 

まとめとして

今回は、支援者は救済者ではない!というはなしをしました。

障害を持っている子と関わっていると明らかに上から子どもに接している人がいます。

言い方、口調の問題ではありません。

根底に「してあげている」感じがあるのが問題なのです。

障害児保育&支援をするうえで一番大切なのは「子どもと一緒に」です。

遊びも、活動も、訓練も、です。

せっかくなのですから楽しい時間を過ごしたいですよね。

何も考えずに楽しい時間を過ごすだけでも子どもにとっては十分なエネルギーとなるのです。

よかったら参考にしてみてくださいね。