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考える力(思考)の発達とは?発達段階&年齢の順序【1歳~】

考える力(思考力)と言葉の理解の発達(1歳~)

子どものことを知るためには発達についてみるとよいといわれています。
子どもの「いま」が分かるからです。
特に目に見えない発達段階を知ろうとすることが大切です。
今回は「ことば」「思考」「コミュニケーション」の発達についてです。
特に1歳以降の発達段階について説明します。
 

  

0歳台の発達はどうなってる?

◆0歳代では

遊びや生活を通して自分以外の物や人に意識を向けるようになり、変化に興味を持つようになってきます。

それらの出来事が記憶として残り、イメージとして蓄えられてきます。

また、母親に視線を向けたり、手を伸ばしたりすることで、相手が反応してくれることに気づき、要求などの、子どもから意図のある行為が出るようになってくる時期です。

 

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1歳になると「ことば」を獲得してくるので、他者に自分の意図を伝える手段が広がってきます。

 

 

思考の発達(1歳~)

ことばを獲得すると一気に思考力が加速します。

その理由の一つが「内言語」です。

頭の中で物事を考えるときに「ことば」を使うことができるからです。

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1歳~

★始語(初語)

★命名

ことばを話しはじめます。物には名前がついていることに気づいているから名前を言えるのです。

★始語(初語)

単語(一語文)の表出がみられるようになります。

 

★命名

今まで、ものに名前があることに気づいていませんでした。

いま、目の前にあるものがすべてという世界です。

例えば、毎日、お皿に乗って出てくる、美味しい物体には「ご飯」という名前がついています。

このように、見ているもの(視覚的なイメージ)に境界線ができると、理解や判断もしやすくなり、自分の中にしまっておきやすくなります。

それが「知識」です。理解もしやすくなりますし、余裕もできます。

そのため、大人からの指示にも従いやすくなってきます。

 
 
1歳6ヶ月頃

 

★自分からやりたがるようになる

・ご飯を食べた後「おいし、したね」と自分の行為をことばで伝えようとし始める

・絵本やTVの中を指さして「なに?」と名称を知りたがる

・正しく使われることばを理解したい

・自分の知らないことばを知りたい

自分でやりたがる、知りたがる。

それが原動力となって様々なものを吸収していくのです。

 

 

★生活全般に見通しが持てるようになる

①「散歩に行こう」と声をかけられると帽子や靴などを身につけて玄関へ向かう

② ある場所に行くと、そこでの出来事を思い出す

③ 実際の場面から離れた「ままごと」等による生活の再現も始まる(生活再現遊び)
    ex.「ねんね」と言いながらぬいぐるみを寝かせる

④ カバンと帽子を身につけて(海へ行くつもりで)隣の部屋へ行く

⑤ 実際の場面を思い出すヒントとなる物を使い、身体を使って再現するふり遊び、見立て遊び

 「もの」と「意味」がつながる。

これまで「もの」には名前があるやつくらいにしか認識していませんでした。

この頃になると「もの」には名前の他に「これがあれば○○できる」という意味とつながってくるようになるのです。

 

 

★理解が進む

ことばや状況、動きなどを理解できるようになります。

・ことば:周囲で使われていることば

・状況 :日々繰り返される場面

・動き :日常的の行われる動作

やりたいことを相手に伝えられるようになってくるのです。
生活に余裕が出てくる


・いろんな要求をするようになってきます。

要求の内容も複雑に。

それを伝える手段が乏しい場合には、もどかしさや怒りを感じることがあります。
    ↓
「なんとかして伝えたい」という気持ちが強くなる

自分なりに工夫して表現していく

ことば(音声)+身振りなど複数を組み合わせて伝えるようになる

 

 

★生活の再現 -遅延摸倣-

自分の行動やことばを捉え直すようになってきます。

過去に経験したこと(出来事イメージ)を身体で再現しながら確認していきます。 

 

★ことば本来の意味を覚えたがる

自分なりに理解していたことばが、必ずしも社会的に使われている意味ではなかったことに気づき始めます。

ことばの選び方や使い方に敏感になる

ex.食べ物すべてが「まんま」→「パン」「御飯」「バナナ」という個別に名前があることに気づきます。

 

★ことばと場面を結びつけ始める

 この場面・状況では「○○」と言う

 「ことば」と「場面」を結び付けられるようになってきます。

ex. 机をトンネルに見立てて遊んでいるときに、場面によっていうことばを使い分ける


・入口で「ターイ」  (=「行きたい」の意味)と言い、

・途中で「バイバーイ」(=「バイバイ・さよなら」の意味)を言い、

・出口で「おかえり」 (=「ただいま」の意味)を言うなど

 

 

2歳6ヶ月~

 

★コミュニケーションの中心は「会話」に移行

→今まで、身振りや動作で補いながら再現していたものを「ことば」で説明し始めるようになります。

 

ex. 「おでかけごっこ」

本物の帽子をかぶり、バッグを持ち、「まーす」と手を振っていた
(動作)       (動作)  (ことば)  (動作)
            ↓
「お出かけはね、帽子かぶって、バッグ持って、バイバイするの」
          (ことばのみ)

 

★助詞や接続詞の表出

今まで「~をして、~をして」と羅列的な表現だった

    ↓
①「~だからね」という理由を説明

②「~に、~を」という関係性を表現(と助詞や接続詞を使う)

※ この手順ができるようになるため必要なこと

「正しくはどうだったのか」と捉え直せることが必要


※「どのようなことばで話すことが適切か」を考えるようになります。

  その中で「生活の知識」は、ことばで表現されます。

  それがゆるぎない「知識」となっていくのです。

 
3歳6ヶ月~

★その日にあった出来事を思い出せるようになる

話したいことを伝えるために工夫するようになってきます。

 

ex.「Aちゃんが、~したの」

印象深い場面の話ができます。

しかし、時間の流れや、その中でどのようなやり取りがなされたのか、ということまでをことばで伝えることはまだ難しいです。

 

・相手が分かるように話す努力をし始める

⇒「時間を追って」「道筋を立てて」

※ 助詞や接続詞を使うことで、意図が伝わりやすくなることに気づき、積極的に使い始めます

※意図が通じた時の子どもは「ことばで通じ合うこと」の喜びを満喫できるようになります。

 
4歳~

 

★今日の出来事をことばで説明し始める

出来事を想起する(思い出す)ことができるようになってきます。

ポイント!

子どもが説明しているときに、大人が「どうやって行ったの?」と促してあげると、時間軸に沿って話すことができるようになります。

 

★想起

ことばや状況を思い出すこと。

想起した場面は経験として記憶されるようになります。



 

★自分の都合のよいように理解する

この頃の子どもは「~君が、私をぶった」

     ↑
「僕のせいで○○になった」というような、自分の「非」を話すことはほとんどありません。 

※子どもが見えているものは、大人が見えているものとは異なります!

 
 
5歳~

 

★友達とひとつのことを共有して遊ぶ

友達と「共通したテーマ」での「身体を通した遊び」ができるようになる


ことばを使って、ひとつのテーマで友達と遊ぶことができるようになってきます。

 

ex. ごっこあそび   

→ある程度決まった内容のものをよく選びます。

※ごっこ遊びとは

テーマに合うように「自分の中にある生活の知識」を他児に提案して、つき合わせる作業です。
思い描く「○○ごっこ」の内容を「一般的な、社会的に正しい内容」に修正していきます。


【お誕生会の絵を見て】

 3歳児・・・何となく分っているが、まだ曖昧なところがあります
 4歳児・・・大体の流れはことばで言えるようになります

 

ポイント!

●幼児期の特徴

 客観的に考えられるようになってくる

 →「相手の考えを理解し、自分の考えを相手の立場から客観的に見つめ直すこと」を知る


●集団で遊ぶためには・・・

・自分の意見を相手にわかるように伝える

・他者の意見を受け入れながら新しい考えを作りだしていく


●口論を通して知ること

・自分と人とでは異なる考えを持っていること

・異なる生活スタイルがあること
  ↓
  ↓  
●そこから学ぶこと

・考えをことばで説明して、受け入れてもらう工夫と努力をする

・相手のことばを聞き、相手の思い描いていることを自分も思い描き、相手の言い分を理解しようとイメージする

 

※この時期の集団生活、集団遊び

幼稚園などの集団に参加したり他児と遊んだりするために

⇒自分の気持ちをおさえて、集団の一員としての知識や決まりを受け入れることが必要。

集団生活・集団遊びは、それらを学習する最初の場となります 

 
 
~7歳

 

★思考する力を高めるための「生活の知識マップ」

これまで蓄積された「生活の知識マップ」を、自分自身で徐々にバージョンアップさせていく

 

※思考の力を高めるために

生活を通して得てきた知識を本人なりに整理して知識を整理したマップを作り上げる
            ↓
これを手がかりに多くの新しい知識を受け入れ、より精密な生活の知識マップを作り上げていく

 

どうすれば「思考」は高まるの?

困難な場面に直面したとき、今までの知識を駆使したり、新しい知識を取り入れたりしながら解決策を見出そうとしていきます。

その過程で思考は高まっていくのです。

 

自分で考え、動いていくことが大切

・「では、どうすればよいのか?」

・「何が適切なのか?」「何が正しいのか?」



 
子どもの記憶
 
記憶は、ことばを獲得すること、思考することに関与します。覚えていないと定着できないからです。

出来事より気持ちが記憶に残りやすい

一説によると、1歳の記憶期間は1週間-数週間、2歳で数ヶ月、3歳で1年間と言われています。

4歳になると1年以上の間隔があっても覚えているようです。

ニュースレター(NL07060104)子育てのこころ(10) 記憶の発達
https://jomf.or.jp/include/disp_text.html?type=n100&file=2007060104

 
 

ことば理解の発達

考える力(思考)の発達と切っても切り離せないのが「ことば」「言語獲得」です。

ここではことばの理解が進む流れを説明します。

 

 

10ヶ月

 

●「出来事記憶」から「出来事イメージ」を作り上げる

実際の体験が記憶に残り(出来事記憶)、そのものを見るだけで記憶が思い出す(出来事イメージ)ようになります。

 

ex. 出来事記憶とは?

ケーキを食べたときに、「白い」「甘い」「ふわふわ」「おいしい」と感じたことの記憶

ex. 出来事イメージとは?

実物のケーキを見たときに、これは「白い」「甘い」「ふわふわ」「おいしい」ものだと思い浮かぶイメージ

 

 

1歳 

●名称を聞くと「出来事イメージ」が思い浮かぶ

今までは、実際に食べたり、見たりといった、対象物の前に来て初めて「出来事イメージ」が浮かんでいました。

この時期になると対象物の「名前」を聞いただけでイメージが浮かぶようになってきます。

 

ex. 「ケーキ」ということばを聞く
⇒ ケーキは「白い」「甘い」「ふわふわ」「おいしい」と思い出す  
 
1歳6ヶ月過ぎ 

 

●出来事イメージを再現する

自分が経験した「出来事イメージ」を、ままごと等の場で再現するようになります。

ex. ケーキの玩具を人形に食べさせるふりをしながら、人形に「白いケーキ、おいしいね、甘いね」と話しかける  
 
2歳6ヶ月過ぎ 

 

●知識をことばで説明し話す

大人からの質問に対して、ことばを駆使して説明してくれるようになってきます。

この頃は、まだ助詞の使い方は曖昧です。

 

ex. 「ケーキって何?」と聞かれると、「おいしいの。甘くて白くてイチゴが乗っている」と説明する
 
 
4歳過ぎ

 

●知識を組み合わせて一つのテーマをつくる。そのテーマを再現する


自分が持っている知識を総動員して、友達同士で一つのテーマで、ごっこ遊び等をするようになっていきます。

 

ex. お誕生日会ごっこの内容
「飾り付けをして、歌をうたい、ケーキのロウソクを吹くマネをして、プレゼントをあげて、ケーキを食べる」を友達と楽しみながら行う  

 

 

6歳過ぎ

 

●テーマにそってことばで話す

 

ex. お誕生日会
「ケーキを買ってきて、ロウソクを立てて、『ハッピーバースデー』を歌い、ロウソクを消し、プレゼントをあげて、ケーキを食べる」と説明する もの
 
 

まとめとして

今回は考える力(思考)の発達について説明しました。
発達段階や年齢の順序もちゃんとあります。
思考の力は意識してみないと見過ごしてしまいます。
子どもの力をしっかりととらえるために「考える力(思考力)」や「ことばの理解」をおさえるとよいです。
よかったら参考にしてくださいね。
 
 
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『コミュニケーション発達支援シリーズ 絵で見ることばと思考の発達
 坂口しおり著 ジアース教育新社』(P.22~36)より
 
 
詳しくは、この本を読んでみてください。分かりやすくて、たいへんおすすめです。