言語聴覚士は放課後等デイサービスで何ができる?

放課後等デイサービスで言語聴覚士(ST)としてできることを模索しています

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考える力(思考)の発達とは③「発達の順序(1歳~)」

 今回も、「ことば」「思考」「コミュニケーション」の発達についてです。下記の年齢・内容は、坂口しおり先生の『絵で見ることばと思考の発達』を使って考えていきます。
  
 0歳代では、遊びや生活を通して、自分以外の物や人に意識を向けるようになり、変化に興味を持つようになってきます。それらの出来事が記憶として残り、イメージとして蓄えられてきます。また、母親に視線を向けたり、手を伸ばしたりすることで、相手が反応してくれることに気づき、要求などの、子どもから意図のある行為が出るようになってくる時期です。1歳代からは、ことばを獲得してくるので、他者に自分の意図を伝える手段が広がってきます。
 
 
1)ことばと思考の発達(1歳~)
 1歳~
★始語(初語)
単語(一語文)の表出がみられるようになります。
 
★命名
今まで、ものに名前があることに気づいていませんでした。いま、目の前にあるものがすべてという世界です。例えば、毎日、お皿に乗って出てくる、美味しい物体には「ご飯」という名前がついています。このように、見ているもの(視覚的なイメージ)に境界線ができると、理解や判断もしやすくなり、自分の中にしまっておきやすくなります。それが「知識」です。理解もしやすくなりますし、余裕もできます。そのため、大人からの指示にも従いやすくなってきます。
 
 
1歳6ヶ月頃
・ご飯を食べた後「おいし、したね」と自分の行為をことばで伝えようとし始める
・絵本やTVの中を指さして「なに?」と名称を知りたがる
・正しく使われることばを理解したい
・自分の知らないことばを知りたい
 
 
1歳6ヶ月頃~
★生活全般に見通しが持てるようになる
 ①「散歩に行こう」と声をかけられると帽子や靴などを身につけて玄関へ向かう
 ② ある場所に行くと、そこでの出来事を思い出す
 ③ 実際の場面から離れた「ままごと」等による生活の再現も始まる(生活再現遊び)
    ex.「ねんね」と言いながらぬいぐるみを寝かせる
 ④ カバンと帽子を身につけて(海へ行くつもりで)隣の部屋へ行く
 ⑤ 実際の場面を思い出すヒントとなる物を使い、身体を使って再現するふり遊び、見立て遊び

  「散歩に行く」「ご飯を食べる」と名付けられたことばの内容を本人なりに再確認
 
 
1歳6ヶ月~
★理解が進む
「周囲で使われていることば」「日々繰り返される場面」と「それに伴う動作」のほとんどが理解されてきます。やりたいことを相手に伝えられるようになってくるのです。
→生活に余裕が出てくる
 
・要求の内容が高まってきます。それを伝える手段が乏しい場合には、もどかしさや怒りを感じることがあります。
    ↓
「なんとかして伝えたい」という気持ちが強くなることで、自分なりに工夫して表現していくようになります。ことば(音声)+身振りなど複数を組み合わせるようになる
 
 
1歳6ヶ月~
★生活の再現 -遅延摸倣-
この頃から、自分の行動やことばを捉え直すようになってきます。「出来事イメージ」を身体で再現しながら確認していきます。 2歳近くになると
 
★ことば本来の意味を覚えようとし始める
自分なりに理解していたことばが、必ずしも社会的に使われている意味ではなかったことに気づき始めます。

ex.食べ物すべてが「まんま」→「パン」「御飯」「バナナ」という個別に名前があることに気づきます。
 
★ことばと場面を結びつけ始める
ex.机をトンネルに見立てて遊んでいるときに、場面によっていうことばを使い分ける

入口で「ターイ」  (=「行きたい」の意味)と言い、
途中で「バイバーイ」(=「バイバイ・さよなら」の意味)を言い、
出口で「おかえり」 (=「ただいま」の意味)を言うなど
 
 
2歳6ヶ月~
★コミュニケーションの中心は「会話」に移行
→今まで、身振りや動作で補いながら再現していたものを「ことば」で説明し始めるようになります。
 
ex.「おでかけごっこ」
本物の帽子をかぶり、バッグを持ち、「まーす」と手を振っていた
(動作)       (動作)  (ことば)  (動作)
            ↓
「お出かけはね、帽子かぶって、バッグ持って、バイバイするの」
          (ことばのみ)
 
★助詞や接続詞の表出
→今まで「~をして、~をして」と羅列的だった表現
     ↓            ↓
①理由を説明(「~だからね」)②関係性を表現(「~に、~を」と助詞や接続詞を使う)
 
※ この手順ができるようになるためには「正しくはどうだったのか」と捉え直せることが必要

※「どのようなことばで話すことが適切か」を考えるようになります。
  その中で「生活の知識」は、ことばで表現されうる、ゆるぎない「知識」となっていきます。
 
 
3歳6ヶ月~
★その日に合った出来事を思い出せるようになる
→話したいことを伝えるために工夫するようになってきます。
 
ex.「Aちゃんが、~したの」
  →印象深い場面の話ができます。しかし、時間の流れや、その中でどのようなやり取りがなされたのか、ということまでをことばで伝えることはまだ難しいです。

・「時間を追って」「道筋を立てて」話す努力をする
・ 助詞や接続詞を使うことで、意図が伝わりやすくなることに気づき、積極的に使い始めます

※意図が通じた時の子どもは「ことばで通じ合うこと」の喜びを満喫できるようになります。
 
 
4歳~
★今日の出来事をことばで説明し始める
→出来事を想起する(思い出す)ことができるようになってきます。

子どもが説明しているときに、大人が「どうやって行ったの?」と促してあげると、時間軸に沿って話すことができるようになります。
 
★想起
→想起した場面は経験として記憶されるようになります。
 
★自分の都合のよいように理解する
→この頃の子どもは「~君が、私をぶった」
     ↑
「私が~をしたから」というような、自分の側の非を話すことはほとんどありません。 
※子どもが見えているものは、大人が見えているものとは異なります!
 
 
 
(4) 「ことば」から「テーマの共有」へ
5歳~
★友達と「共通したテーマ」での「身体を通した遊び」ができるようになる
ことばを使って、ひとつのテーマで友達と遊ぶことができるようになってきます。
 
ex.ごっこあそび   
→ある程度決まった内容のものをよく選びます。

・テーマに対して子どもが自分の中にある生活の知識を他児に提案して、つき合わせる作業です。
  →思い描く「○○ごっこ」の内容を「一般的な、社会的に正しい内容」に修正していきます。
 
【お誕生会の絵を見て】 3歳児・・・何となく分っているが、まだ曖昧なところがあります
【お誕生会の絵を見て】 4歳児・・・大体の流れはことばで言えるようになります
 
●幼児期のもつ意味
 客観的に考えられるようになってくる
 →「相手の考えを理解し、自分の考えを相手の立場から客観的に見つめ直すこと」を知る

●集団で遊ぶためには・・・
・自分の意見を相手にわかるように伝える
・他者の意見を受け入れながら新しい考えを作りだしていく

●口論を通して知ること
・自分と人とでは異なる考えを持っていること
・異なる生活スタイルがあること
  ↓
  ↓
  ↓  
●そこから学ぶこと
・考えをことばで説明して、受け入れてもらう工夫と努力をする
・相手のことばを聞き、相手の思い描いていることを自分も思い描き、相手の言い分を理解しようとイメージする

※この時期の集団生活、集団遊び
他児との遊びや幼稚園などに参加するためには、自分の気持ちをおさえて、集団の一員としての知識や決まりを受け入れざるを得ません。集団生活・集団遊びでは、そのことを学習する最初の場となります
 
 
 
~7歳
★思考する力を高めるための「生活の知識マップ」
→これまで蓄積された「生活の知識マップ」を、自分自身で徐々にバージョンアップさせていきます。
 生活を通して得てきた知識を本人なりに整理し、知識を整理したマップを作り上げる
            ↓
 これを手がかりに多くの新しい知識を受け入れ、より精密な生活の知識マップを作り上げていく
 
どうすれば「思考」は高まるのか?
・困難な場面に直面したとき、今までの知識を駆使したり、新しい知識を取り入れたりしながら解決策を見出そうとしていきます。その過程で思考は高まっていくのです。
→「では、どうすればよいのか?」「何が適切なのか?」「何が正しいのか?」と自分で考え、動いていくことが大切です
 
 
 
子どもの記憶
 
記憶は、ことばを獲得すること、思考することに関与します。覚えていないと定着できないからです。

出来事より気持ちが記憶に残りやすい

一説によると、1歳の記憶期間は1週間-数週間2歳で数ヶ月3歳で1年間と言われています。4歳になると1年以上の間隔があっても覚えているようです。

ニュースレター(NL07060104)
子育てのこころ(10) 記憶の発達
https://jomf.or.jp/include/disp_text.html?type=n100&file=2007060104

 

 
 
 
 
2)ことばを理解するまでの流れ
10ヶ月
●「出来事記憶」から「出来事イメージ」を作り上げる
実際の体験が記憶に残り(出来事記憶)、そのものを見るだけで記憶が思い出す(出来事イメージ)ようになります。
 
・出来事記憶
 →ケーキを食べたときに、「白い」「甘い」「ふわふわ」「おいしい」と感じたことの記憶
 
●実物を見ると「出来事イメージ」が浮かぶ
・出来事イメージ
 →実物のケーキを見たときに、これは「白い」「甘い」「ふわふわ」「おいしい」ものだと思い浮かぶイメージ
 
 
1歳 
●名称を聞くと「出来事イメージ」が思い浮かぶ
→今までは、実際に食べたり、見たりといった、対象物の前に来て初めて「出来事イメージ」が浮かんでいました。この時期になると、対象物の「名前」を聞いただけでイメージが浮かぶようになってきます。
ex.「ケーキ」ということばを聞いて、ケーキは「白い」「甘い」「ふわふわ」「おいしい」と思い出す  
 
1歳6ヶ月過ぎ 
●出来事イメージを再現する →自分が経験した「出来事イメージ」を、ままごと等の場で再現するようになります。
ex.ケーキの玩具を人形に食べさせるふりをしながら、人形に「白いケーキ、おいしいね、甘いね」と話しかける  
 
2歳6ヶ月過ぎ 
●知識をことばで説明し、話す
→大人からの質問に対して、ことばを駆使して説明してくれるようになってきます。この頃は、まだ助詞の使い方は曖昧です。 ex.「ケーキって何?」と聞かれると、「おいしいの。甘くて白くてイチゴが乗っている」と説明する
 
4歳過ぎ
●知識が組み合わされてテーマになり、そのテーマを再現する
→自分が持っている知識を総動員して、友達同士で一つのテーマで、ごっこ遊び等をするようになっていきます。
 
ex.お誕生日会ごっこの内容「飾り付けをして、歌をうたい、ケーキのロウソクを吹く
マネをして、プレゼントをあげて、ケーキを食べる」を友達と楽しみながら行う  
 
6歳過ぎ
●テーマにそってことばで話す
ex.お誕生日会とは「ケーキを買ってきて、ロウソクを立てて、『ハッピーバースデー』を歌い、ロウソクを消し、プレゼントをあげて、ケーキを食べる」と説明する  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
投稿日:2019年7月20日
更新日:2020年5月13日
 
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『コミュニケーション発達支援シリーズ 絵で見ることばと思考の発達
 坂口しおり著 ジアース教育新社』(P.22~36)より