言語聴覚士は放課後等デイサービスで何ができる?

放課後等デイサービスで言語聴覚士(ST)としてできること、役割を探っていくブログです

摂食嚥下の発達の年齢がややこしいのでまとめてみた。食べる機能の発達。

食べる機能の発達

 

「食べる機能」はどのように発達していくと思いますか?

上手に噛むだけでは「食べられている」とは言えません

口の中で食物を処理するときには噛んで砕くだけでなく、噛んだり潰したりしたものを「まとめる」力も必要だからです。

舌や口唇の動きなど、私たちが普段気にしていないことが重要なのです。

「○○歳に△△ができる」ではなくて発達の順序を覚えておけばOK。

食べる機能の発達を頭の片隅に置いて支援を行うことで、子どもの食べる力に合った食事を提供することができます。

ここでは食べること(摂食嚥下)の発達を簡単にまとめて説明します。

 

 

食べる機能の発達を見るときのポイント

子どもが食べる様子を見るときに支援者がチェックしておきたいのは次のような点です。

・舌の動き

・唇の動き

・あごの動き

食べることと直接関係ないと思われるような能力が嚥下機能を育てていきます。

それぞれの発達過程をみていきましょう。

 

 

吸う機能

吸啜機能(きゅうてつきのう) 出生~4ヶ月

◆吸啜:
ミルクを飲むため口腔内を陰圧にして吸い込む動作。チューチュー吸う動き。

 

舌の動かす方向が変わる

① 前後に動くようになる
 ⇒ サックリング/反射的吸啜(出生~5ヶ月
     吸啜反射による動作。

② 上下に動くようになる 

 ⇒ サッキング/随意的吸啜(6ヶ月~
      ストローのときの動き。

 

食べる(摂食)機能

吸啜と摂食 5ヶ月~1歳

① 捕食(ほしょく)
唇でスプーンの上にある食べ物をとること。5ヶ月~
(=口唇閉鎖ができる)これ以前は舌で押し出してしまっていた。

② 咀嚼(そしゃく)
下顎を動かして食物を噛み砕き、唾液と混ぜ合わせて塊をつくること。

舌で食べる

まずは歯ではなく舌を前後に動かして食物を食べます。

これを「マンチング」といいますが覚えなくてOKです。

マンチング
舌の前後・上下運動 7ヶ月くらいまで
この段階では咀嚼が必要なものは舌で押し出してしまう。

※マンチングしかできない乳児・障害児
⇒ 口腔機能の発達の発達を考慮する。丸飲み、誤嚥、窒息予防のために
  〇:離乳初期~中期食程度のもの
  × :咀嚼が必要なもの

 

嚙んで食べる

嚙んで食べることを「咀嚼(そしゃく)」といいます。

咀嚼(そしゃく)

食物を臼歯に乗せて噛むこと。

舌で側方へ動かして食塊をつくる。

咀嚼ができていれば、噛んでいる間、口角あたりにえくぼのような凹みができる(片側のみに!)。

 

飲み込んで食べる   

摂食機能  1歳~

飲み込むことを「嚥下(嚥下)」といいます。

嚥下の機能は「小児嚥下」と「成人嚥下」に分けることができます。

a) 成人嚥下
私たちと同じように、舌と歯を使って食物を処理して飲み込むこと

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b) 乳幼児嚥下

母乳を飲むときのように、口を大きく開いたまま乳首をくわえて舌を前後に動かしながら嚥下すること。

舌は口唇よりも内側に収まる。

舌の中央は凹んでいる。 

 

⇒舌出し嚥下
障害児によくみられる食べ方。
飲み込むとき、急激に力強く舌が口唇よりも外(前方)に出ること。

舌中央は盛り上がっている

 

食形態の発達

食べる機能を考えるとき次の2つを一緒に考えていく必要があります。

 

・子ども自身の「食べる力」

・食材の形態「食形態」

 

食形態とは、どんな硬さ・大きさのものならば食べられるかというものです。

離乳食とは赤ちゃんが食べやすいようにある軟らかくしたものです。

 

授乳期 ~6ヶ月くらい

生まれてから徐々に食べる準備が始まります。

① 口腔内が授乳しやすい形態になっている。
  ⇒上顎の形、口よりも舌が大きめ

② 離乳食への準備 
  ⇒哺乳反射が適度に消失している
  ⇒首がすわっている

 

離乳初期 5~6ヶ月くらい

嚥下機能の始まり。「唇食べ」の時期とも呼びます。

唇の力も強くなってくるので、しっかりと口を閉じることができます(口唇閉鎖)。

〇:のど越しの良いドロドロ状のもの
× :粒々が混ざったもの
× :サラサラし過ぎるもの
  (液体は哺乳瓶で!)

 

離乳中期 7~8ヶ月くらい

「舌食べ」とよばれる時期。

① 形態的な準備
・下の前歯が映える
・口腔の容積が広くなり始める
・舌の動く範囲が広がる

 

②舌と口唇の分離
・口唇による食物の取り込み
・舌による押し潰し

〇:舌でつぶす必要のあるもの
  ex.豆腐、カボチャなど
※離乳初期のものから水分を減らしたものでOK
 液体はスプーンやコップから練習もOK。
 →でもまだムセる。

 

離乳後期 9~11ヶ月くらい

「歯茎食べ」ともよばれる時期。

 

咀嚼の始まり。

・下顎が左右に動く
 →すり潰しOKになる

・舌の運動が活発に
 (上下・左右・前後)
 →食塊形成

・ことばの始まり
 →ことばと食事は縁が深い!

〇:歯茎で潰せるもの
  (人参、大根の煮物など)

× :生野菜
  (キュウリ、キャベツなど)
  硬く薄い繊維質のもの
  →丸飲みしてしまう!

 

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離乳完了期 12~18ヶ月

「歯食べ」とよばれる時期。

① 協調運動
 →手と口、舌と口唇など

② 一口量の調整
 →自分一人では難しい

③ 上下の歯が生え始める時期

 

咀嚼の練習

「乳歯食べ」とよばれる時期。

① 臼歯が生え始める
 →奥歯ですり潰す準備が整う

② 食物の硬さに合わせた咀嚼
 →歯にあたる衝撃から学習していく

③ 口腔内保持
 →食物を口の中にとどめて置ける

 
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まとめとして

今回は食べる機能の発達を説明しました。

発達には順番があります。

硬いものを食べることが嚙む練習になるとは言い切れないのです。

現在の食べる機能に合った練習を行うことが大切なのです。

食べる機能の発達。

意識してみてください。

良かったら参考にしてみてくださいね。

 

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参考資料

子どもの摂食・嚥下障害

子どもの摂食・嚥下障害

北住映二/尾本和彦 永井書店 2007年09月
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