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知的障害とは?支援は誰がどんなことを行っているのか?【障害児支援の基礎知識】

知的障害の子と関わる人のための基礎知識まとめ

「知的障害」を知っていますか?

勉強が苦手、というイメージが強いかもしれません。

本来の意味は、何らかの理由によって能力を獲得できていない子たちのこと。

発達の遅れという言い方をする場合もあります。

本人も周囲も困っていることが多いです。

その子たちへの支援はどのように行っていますか?

意外と曖昧なまま関わったり支援を行ったりしているかもしれません。

 

ここでは「知的障害」について説明します。

 

 

 

知的障害の定義

知的障害は次のように定義されています。

 

知的障害とは

・知能検査によって確かめられる知的機能の欠陥
・適応機能の明らかな欠陥
・発達期(おおむね18歳まで)に生じる

e-ヘルスネット(厚生労働省)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-04-004.html

 

簡単にいうと・・・

・知的検査で一定の数値以下
・日常生活や対人関係がスムーズに行えない
・突然発症するものではない

 

・精神遅滞、精神発達遅滞(MR)
・知的能力障害(知的発達症)(ID)

とも呼ばれることがあります。

 

症状が重い場合には年齢の若いうちから気づかれることが多いです。

逆に、軽いと診断も遅くなる傾向にあります。

 

◆「IQ」に関する記事はこちらをご覧ください。

www.hana-mode.com

 

 

どんな職種が関わるのか

知的障害の子(人)には様々な職種の人たちが関わります。

◆医療面から
 →医師、歯科医師、看護師

◆発達面から
 →リハビリ職(OT、ST)
 →心理職

 →運動のコーチ(水泳、サッカー等)
 →音楽療法士

 →指導員、支援員
 →教師
 →保育士、幼稚園教諭

 

◆生活面から
 →ヘルパー


そのほかにも多くの職種が関わっています。

身体・運動面に問題がある場合には理学療法士(PT)等も関与してきます。

 

 

知的障害があって困ること

「知的障害」の子(人)には多くの職種が関わることが分かりました。

それらの職種は障害を持つ子(人)が困っていることに対して支援を行っています

知的に遅れや障害があると「難しいこと」の理解が苦手なことが多いです。

 

ex.
・複雑な状況や会話の理解が苦手
・数や文字の理解が苦手
・時間やお金などの理解が苦手
・一人で身の回りのことを行うのが難しい

 

これらの「苦手」によってスムーズに考えられない、悪い人に騙されてしまう等が起こりえるのです。

 

 

知的障害を持つ子への支援の難しさ

障害を持つ子たちには何かしらの「苦手さ」があります。

支援者たちはこの「苦手さ」に対して職種ごとの支援や援助を行っていくのです。

この苦手さは完全に治るわけではありません。

ここが知的障害児者への支援の難しさなのです。

 

能力には様々な種類&凸凹がある

知的障害は目に見えない障害です。

「勉強が理解できない」ということではなくて「複雑なことを理解できない」ということ。

そのため、能力が低いと評価されてしまうことがあります。

 

ここで気をつけたいのが、能力とは一つではないということです。

下記は発達を細かくみたグラフ(例)です。発達にも様々な種類があるのです。

スポーツが得意だからといっても、他の能力もスポーツと同等の力があるわけではありません。

お喋りができるからといっても、他の能力が同等だとはいえません。

能力はどんな子にも得意不得意があるのです。

それを発達の凸凹と呼びます。

 

 

評価と目標の問題

障害児施設で働いている人でさえも、知的障害がよく分からないままというケースがあります。

 

ex.

・対人関係が苦手
・声かけを理解していないことがある
・他者に危害を加える

という子がいたとします。

 

支援者が「なぜこの子は問題行動をするのだろう?」と考える。

しかし、原因なんて分からない。

 

支援目標はどうしよう?

じゃあ「ひとりでトイレに行ける」にしよう。

うん。それがいい。

というふうに身辺自立にばかり注目してしまう

 

この子の場合、

・自分と他者の違いが曖昧なのかもしれない
・ことばの理解も難しいはず
・まずは「安定」できる状況を作ろう

と考えることができるかもしれません。

 

「身辺自立」は耳障りの良いことばです。

しかし、それにばかり逃げてしまっては根本の解決にはならないはずです。

 

 

支援の問題

「知的障害って何だろう?」と考えながら支援を行うことは大切です。

そうでないと「何で私の言うことがわからないの?!」と思ってしまう

支援者の言うことを聞いてもらうための支援になってしまいがちです。

実際にこのような支援をしている人は結構な数います。

 

ex.
・離れたところから注意だけする
・すべて子どものせいにする
・とりあえず言うことを聞かせる

 

あなたは大丈夫ですか?

www.hana-mode.com

 

 

わたしたちにできること

大切なことは目で見えるものだけを支援しないということ。

いま目の前にいる子はどんな状況なのか?

どのくらい理解できているのか?

特に「理解」の度合いを把握することは欠かせません。

子どもが理解できていないまま置いてきぼりになっていませんか?

子どものことを知ろうとすることが支援の始まりなのではないでしょうか。

 

 

まとめとして

今回は「知的障害」について説明しました。

他の障害や疾患と比べると、知的障害は子どもによって様子は様々です。

教科書を読んだだけでは「書いてあることと違う」「どうしよう」となるだけです。

 

関わるためのポイントは

・能力には凸凹がある

・理解度合いを知ることが必要

「大人の言うことを聞かせること」や「身辺自立だけを狙った支援」は時としてマイナスに作用することを忘れないでください。

よかったら参考にしてみてくださいね。