言語聴覚士は放課後等デイサービスで何ができる?

放課後等デイサービスで言語聴覚士(ST)としてできること、役割を探っていくブログです

障害児の「ワガママ」イメージについて。本当はどうなのか?

障害を持った子は「ワガママ」なのか?

障害児支援の仕事をしていると、子どもに対する偏見を耳にすることがあります。

「障害を持つ子は我儘(ワガママ)だ」

支援者の中でもこのような意見を持っている人は結構います。だとしたら、障害児支援と関りのない人だったら、この偏見はもっとひどいのではいでしょうか?

実は、障害児はワガママな子が多いというのは間違いなのです。

わたしは言語聴覚士(ST)として、10 年以上働いてきました。だからといって、障害児に情が移ったから そんなことを言っているのではありません。

なぜ、支援者の中でも「障害を持つ子はワガママ」という偏見とその対策を説明します。

 

 

どんなことがワガママな行動に見られるのか?

障害を持つ子が「ワガママ」と言われるのは次のような場面です。

 

・大人(支援者)が出した指示を無視する
・遊びをなかなかやめない
・自分のやりたいことしかしない

障害児施設では毎日のように見られる光景です。家でも同じかもしれません。

 

本当に「ワガママ」なの?

大人の言うことを聞かない。それも毎回。

これは本当に「ワガママ」「自分勝手」が原因なのでしょうか?

答えは NO です。

なかには本当に「ワガママ」でやっている子もいるかもしれません。しかし、大多数は「ワガママ」ではなく、このように動かざるを得ない子たちなのです。

「ワガママ」に見えるのには理由があるのです。

 

 

本当はワガママではないかもしれない

見るからに「ワガママ」だけれど、本当は「ワガママ」ではない?

分かりにくいかもしれません。ちょっと例を出して説明します。

 

ワガママじゃない例

障害を持つ子は、多かれ少なかれ発達に何らかの問題があります。遅れがあったり、獲得できていない部分があったり。そのため、障害がない子とは違って見えることが多いのです。

ここでは2つの例を紹介します。

ex. 普段から喋っている。しかし、質問をしても答えが返ってこない

⇒ 自分の言っていることを理解していないケース。単語を話していても「口当たりの良いことば」として言っているだけ、という子がたくさんいます。子どもが言っている単語が必ずしも「自分で理解できていることば」だとは限らないのです。

ex. 友だちが遊んでいる玩具を奪う。何回注意しても繰り返しやってしまう

⇒ 自分と他人の区別がついていない場合があるケース。自分と周囲の境界線も理解できていない。そのため「所有物」という概念は理解できない。人のものを奪う=ワガママ、と言い切れない典型的なケースです。

 

我儘だと思われる理由

なぜ障害児は我儘(ワガママ)だと思われやすいのでしょうか?

先ほどの2つの例をみると共通しているのが次の点です。

・本人が理解していない

・声かけなどの支援が子どもに合っていない

子ども自身、できない・分からないにもかかわらず、周囲の人たちが「こうするべき」という思いを押しつけていることがあります。

それを理解できない子は、大人の「こうするべき」に応えることができません。

だから「ワガママ」「自分勝手」に見えてしまうのです。

 

だったら「障害を持っているからしょうがない」と思えばいいのでしょうか?

 

もちろん、そうではありません。そんな考えを強制されるのであれば、障害児支援なんて成り立ちません。障害児と関わるとき支援者が念頭に置くべき大切なポイントがあるのです。

 

 

障害特性や発達状況を知る

障害を持つ子と関わるときに、支援者が気にしておきたいポイントがあります。

それが「障害特性」や「発達状況」を把握するということです。

簡単に言うと、支援者は、子どもはどのくらいのことを理解できるのか?知っておいた方がよいということです。

・知的障害や発達障害などがあるのか?

・発達はどのくらい遅れているのか?

知的や対人面に問題がある子の場合、周囲に意識が向けづらい状態です。それが「ワガママ」に見えてしまうことがあります。また、発達が初期段階の子の場合は、それがなおさら色濃く出ます(そう見えます)。

www.hana-mode.com

 

どうすればいいのか?

だったら、どうすればいいのでしょうか?

障害を持つ子どもに、声かけや指示を出すときにはポイントがあります。

・この言い方で理解できるかな?

・こういうルールや流れで理解できるかな?

これらを念頭に置いて子どもと関わるだけで だいぶ変わるはずです!

 

 

まとめとして

今回は、障害児は「ワガママ」で「自分勝手」な子が多いって聞くけど本当なの?という、聞くに聞けないような話題に答えてみました。

支援者の「当り前」を子どもに押し付けないことが支援のポイントです。

子どもも大人も、楽しみながら支援を行っていければと考えています。

 

障害児支援は勉強の場だけが支援ではありません。遊びの手伝いだって立派な支援なのです。

障害児は様々な子がいます。障害の重さや性格など。子どもによって まったく異なります。

子どもに合った支援を考えていくことが大切です。

よかったら参考にしてみてくださいね。