言語聴覚士は放課後等デイサービスで何ができる?

放課後等デイサービスで言語聴覚士(ST)としてできること、役割を探っていくブログです

障害児支援の闇:専門家への盲信から抜け出そう!

専門職の意見を「正しく」活用しよう!上下関係を作らない連携を!

近年、障害児の分野にも様々な「専門職」「専門家」が関わるようになってきました。

特に多いのがリハビリ職。

・PT(理学療法士)
・OT(作業療法士)
・ST(言語聴覚士)

これらの専門職は支援に関することを、いろいろアドバイスしてくれます。しかし、助言をもらっても なかなか うまくいきません。なぜでしょうか?

「やり方」が悪いから?ちゃんと聞いていなかったから?そういうケースもあるかもしれません。

もしかしたら、専門職の言い方や助言の内容が「うまくない」ことが原因なのかもしれません。

 

わたしは、これまで10年以上、障害児分野で言語聴覚士(ST)として働いてきました。

どんな職場でも、支援職・保育職と専門職の格差というか力関係がみえてきます。

上下関係が存在すると助言が成り立ちにくくなります。

 

ここでは

・専門職の言うことすべてが正しいとは限らない

・助言内容を100%鵜呑みにしなくてもよい

・でも「ダメな支援・介助方法」は学ぶべき

という話しをしていきます。

この記事を読んで、支援職や保育職で働いている人たちが、自分の支援や介助に自信が持てるようになればと思います。

 

 

専門職が気をつけている助言の中身

まずは、専門職はどのように考えて助言を行っているのか考えてみましょう。

わたしは長年、言語聴覚士という「ことば」「きこえ」「たべること」の専門家として障害児と関わってきました。

職業的に、保護者や施設スタッフにアドバイスを求められることが多いです。

助言の際に気をつけているのは次の3つです。

・明らかに間違っている支援を指摘する
・発達の現状を伝える
・次に進むたに「いま」できることを伝える

障害児の支援方法は難しいです。なぜなら、障害の種類や程度、症状は子どもによって異なるからです。そのため「絶対これが正しい」というやり方はありません。

 

・自分の職種内で「これが正しいやり方」と言われている方法
・過去に会ったこの中で「似た状況の子」を思い出す
・本や研修で学んだことを支援に盛り込んでみる

ということをトライ・アンド・エラーで繰り返していきます。

 

 

言われたとおりにやっても上手くいかない原因

助言の通りにやっても 上手くいかないことがあります。それはなぜでしょう?

そこには いくつかの問題が隠れています。その中から2つの原因を紹介します。

・専門職が「やってできたこと」を伝えているから

・一般論を伝えているだけだから

 

 

アドバイスをくれた専門家が「自分にしかできない方法」を教えているから

専門職自身は「うまくいく」「正しい」方法を伝えているつもり。

しかし、実際は、専門職自身の経験値と勘で「できている」方法を伝えていることが多いのです。

自分ではできるけれど、アドバイスを受けた側に専門職と同等の知識と経験があるとは限りません。

残念ながら 実践できない助言は役に立ちません

これは意外と多い原因です。

専門職自身が気づきにくい原因なのです。

意外と気づきにくいのがこれです。

 

 

一般論を伝えているだけだから

外部専門家と呼ばれる非常勤職員がいます。

数か月に1回、学校や施設に来てくれる専門職のことをさします。

ほとんど会ったことのない子の評価や助言は難しいこともあります。

ベテランの専門職や過去に似た子を受け持った経験のある専門職なら、助言を受ける側にも役立つことを伝えることができるかもしれません。

しかし、そうでない専門職は子どもの現状や相談をされても一般論しか返せないことがあります

わたしもそういう経験は何度もあります。そういったときは「一般的には・・・」と前置きをしてから助言をするようにしていますが・・・まぁ、うまくいきません。

 

 

専門職と支援職の意見が食い違うとき

100%ハマる助言というのは難しいです。専門職と支援者のすり合わせが欠かせません。

また、専門職には、助言を行うとき「これだけは分かってもらいたい」ことがあります。

すんなりと相手に伝わればよいのですが、なかなか納得してもらえないこともたくさんあります。

どのようなものがあるのか 説明していきましょう。

 

 

一段階下げた支援を要求されたとき

一番多いのがこれ。

「いまより一段階下げた支援をしたほうがよい」と言われたとき。

これにムッとする支援者の人は結構います。

保護者の人がそういう反応をするのは仕方がないと思います。

しかし、支援者はそこでイラっとしてはいけません。

ex. 食事

今まで大人と同じ食事を食べていた。専門職に相談したら「やわらか食」や「ペースト食」を勧められた。

ちゃんと食べてるじゃない!おかしくない?

という視線を浴びることが多いケースです。

⇒ 食事の形態(硬さ・大きさ・粘度など)は子どもの「食べる力」に合ったもので提供しないと、悪癖がついたり事故が起ったりリスクが高くなってしまいます。

単純に、硬いものをあげれば噛む練習になる、わけではないのです!

「食事の形態を下げるのはかわいそう」

支援者はそう捉えてはいけません。下げるのには絶対に理由があります

食事だって遊びだって勉強だって同じです。

 

続けてきた支援を否定されたとき

これまで自分たちが支援に対して「違うよ」「もっと良い方法がありますよ」と言われることもあるかもしれません。

そんなことを言われると、否定されたような気持ちになってしまいます。

これまで信じてきたことは大切にしていってもよいと思います。

しかし、ひとつ注意点があります。

先輩に言われたから、この支援の方法を続けている

これが支援を続けている理由だったら疑ってみた方がよいです。

何も考えずに言われたことを続けてもよいのでしょうか?

先輩というのがネックで、その先輩は誰かから また聞きしただけかもしれません。

ただ思いついたことをやっているだけかもしれません。

出所が不明な支援を行うよりかは、専門職の「いま現在、この方法が正しい」というやり方で支援をしてみてもよいのではないでしょうか。

 

 

専門職と「よい」関係性を築く

今後も専門職が障害児施設に関わる機会は増えてくると思われます。

だとしたら「よい」関係を築いたほうがよいはずです。

では、どのように専門職と関わっていくのがよいのでしょうか?

ポイントは2つ。

・専門職の意見は絶対ではない

・自分たちの支援を客観的に振り返る機会を設ける

 

 

専門職の意見を鵜呑みにし過ぎない

専門職は、それぞれの分野に特化しています。

彼らからの助言は、すべて「正しい」ことのように聞こえるかもしれません。

しかし、それは間違いです。

普段から子どもたちと接している支援職の方が、その子たちのことをよく知っているはず。

 

それは忘れないでください。

自分の意見に自信を持ってよいのです。

自分たちが立てた目標を達成するために、専門職の意見を取り入れる。

そんなやり方でアドバイスをもらうとよいと思います。

目標を立てるということは、子どもの将来のことに目を向けるということです。

その場限りの目標を立てていては、子どもに対して失礼です。

 

 

自分の支援を客観的にみる

もう一つ大切なことがあります。

自分が普段から行っている支援を客観的にみていますか?ということです。

これができていないと、他者から指摘されても「イラッ」とするだけで終わってしまいます。

・自分の言うことだけ子どもが聞けばいいや
・勤務年数が長いから誰も私に意見を言わない
・誰の言うことも聞く気はない

そうではなくて、自分の支援を客観的に振り返る機会を設けてみましょう。

そう考えると「自分に足りないところ」や「固執してしまっているところ」がみえてきます。

自分の弱点がみつかったら専門職を「利用」して補っていくのです。

支援者として成長できるチャンスです。

 

 

まとめとして

今回は、専門職への盲信を止めて連携をとっていこうという話しをしました。

子どもが「生きやすくなるために」「楽しい毎日を過ごせるために」という目標は、どんな職種であっても同じです。

支援職と専門職の関係は同等なのです。

上下関係を強制してくる専門職がいたら、こちらから願い下げしてしまってよいです。

自分の保身や利益だけを考えるのではなく、子どものことを考えていければと思います。

よかったら参考にしてみてくださいね。