言語聴覚士は放課後等デイサービスで何ができる?

放課後等デイサービスで言語聴覚士(ST)としてできること、役割を探っていくブログです

放課後等デイサービスで「PT」「OT」「ST」を活用しよう!任せっきりにしていない?

小児施設でのリハビリ職の扱い方とは?

障害や疾患を持つ子どもが通う施設には様々な職業の人たちが関わっています。

施設にもよりますが、たいてい 保育士、指導員、支援員がメインに活動を進めていきます。

医療的ケアがある子には看護師が関わることが多いです。

その他にも、PT、OT、STのようなリハビリ職がみてくれる施設も増えてきました。

しかし、実際にはリハビリ職をうまく活用できていない施設がたくさんあるのです。

 

PT、OT、STには、それぞれ得意な分野があります。

子どもに対する視点も保育職と異なるので勉強になるはずです。

 

実際に、わたしは長年、放課後等デイサービスで勤務してきたSTです。

これまで様々な施設をみてきました。

今回は、障害児の通う施設、特に放課後等デイサービスや児童発達支援で、リハビリ職をどう活用すればよいのか?という説明をします。

 

 

PT・OT・STとは?

PT・OT・STとは、リハビリを行う職種のことです。

リハビリを行う職業はたくさんありますが、なかでもこの3職種が有名です。

 

◆ 理学療法士(りがくりょうほうし)

⇒ 身体・肉体の専門家です。PT(ピーティー)と呼ばれています。

 

◆ 作業療法士(さぎょうりょうほうし)

⇒基本的な身体の動きにも詳しいですが、作業(日常的な生活行為)に関すること、感覚などの専門です。OT(オーティー)と呼ばれています。

 

◆ 言語聴覚士(げんごちょうかくし)

⇒ ことば、きこえ、食事が専門です。ST(えすてぃー)と呼ばれます。

※くわしくはこちらもご覧ください。

www.hana-mode.com

 

 

 

任せっきりにしていない?

先ほども書きましたが、 PT、OT、STなどの専門職がいても上手く使えていない施設は たくさんあります

例えば、放課後等デイサービスのような障害児通所施設では、 PT、OT、STのような職種がいれば「加算」がもらえます。

「加算」とは国から施設に配られるお金のことです。

だから、施設としては専門職がいるだけで万々歳。

 

専門職がいる目的

「活動は保育職や支援職がやるから、専門職は勝手に役に立つことを考えていてね。」

 

こんな意味のことを遠回しに専門職に言ってくる施設もあります。

 

「思うように療育的思考を発揮してください」

「自分の思うようにやってみてください」

 

相手に期待しているふうの キレイな言い方かもしれません。

しかし、これはただの丸投げです。

 

本来、専門職が障害児施設に介入するのには目的があるはずです。

 

・保育職や支援職とは違った視点で子どもを見ることができる

・それぞれ専門分野に特化した職種がいることで支援を深められる

・お互いの知識が深まる

 

自分たちとは違う職種の人が参加することで、子どもの理解も拡がります。

今まで考えてきた評価が変わってくることもあります。

評価が変われば支援目標もかわるはずです。

支援内容も変わります。

多くの視点で子どもをみていくことで、いまよりも、もっと 子どものことが見えてくるのではないでしょうか?

 

では、放課後等デイサービスで PT、OT、STを活用する方法を説明します。

いろんなやり方があると思います。

ここでは2パターン紹介します。

 

 

放デイにいるリハビリ職のタイプ

 

最近、放課後等デイサービスで PT、OT、STを見かけることが多くなってきました。

これらの職種が介入するパターンは大きく分けて2つあります。

それぞれを詳しくみていきましょう。

 

 

リハビリを専門にやる

リハビリや個別訓練をメインに行います

施設の中心となる活動は、保育職や支援職の人たちが受け持ちます。

PT・OT・STはその活動には入らず、別室もしくは離れた場所で子どもたちに個別で関わっていきます

 

メリット

・「専門的療育」をやっている感が強い

・他施設との差別化を図れる

 

デメリット

・リハビリ職のやっていることが見えにくい

・保育職や支援職との関りが少なくなる

 

子どもたちが集まって活動を行っている。

そこで、リハビリ職から呼び出された子が順番にリハビリや個別訓練を受けていく。

 PT、OT、STがそれぞれの得意分野で子どもに合った訓練を行ってくれる。

これは施設として大きな「売り」となるはずです。

しかし、「保育職は活動」「リハビリ職は訓練」というわけかたをしてしまうと、お互いに関わりが減ってしまいます。

 

 

 

 

縁の下の力持ちになる

保育職や支援職が立てた目標や活動に対してリハビリ職が意見を出していきます。

・これを注意すると子どもの反応が見えやすくなる

・この道具をこういう順番で使ってみるともっとよくなる

・今日、来る子にはこの活動や遊びが合っている

そんな助言を出していきます。

保育職・支援職の人たちは、ただ活動を盛り上げるだけではなくて「こうすればいいんだ」という新たな発見が生まれます

これが支援者としての成長となるのです。

 

メリット

・「みんなで支援を組み立てる」感が強い

・支援の裏付けができる

 

デメリット

・リハビリ職の専門性が見づらくなることがある

・受け入れてもらえるまで時間がかかる

 

工作や感覚遊びの支援方法は「いえーい、作ろう!」「じゃんじゃん触れー」ではいけません。

子どもの手を無理に介助するのではなく、子どもの注意が向いてから、その子の得意な動きを利用して触れてもらう。

そうすることで「いま自分が何をやっているのか?」にも気づきやすくなるのです。

ただ、アドバイスする側の人柄は大切です。

信用できないリハビリ職の言うことなんてだれも聞いてくれません。

 

 

どっちがいいの?

どちらのタイプが優れているのでしょうか?

答えは・・・

施設によって異なる、です。

施設が「個別訓練」「PT・OT・ST」を前面に押し出しているのであれば「リハビリを専門にやる」タイプがオススメです。

一緒に一つのものを作り上げていきたいのであれば「縁の下の力持ち」タイプのやり方がオススメです。

支援スタッフやリハビリ スタッフの人柄やキャラクターも関係してくるはず。

 

ちなみにわたしは後者の「縁の下の力持ち」タイプでやってきた時間が長いです。

こちらのタイプは支援者と密に話し合いを行う必要があります。

話し合っていければ、お互いの腹の内も知ることができます。

相手の「目的」が分かれば、「やりたいこと」を受け入れてあげる余裕?も出てくるのではないでしょうか?

 

 

まとめとして

今回は、放課後等デイサービスで「PT」「OT」「ST」を活用しよう!という はなしをしました。

・リハビリを専門にやる

・縁の下の力持ちになる

大きく分けて2パターン。

どちらも最終的には「子どものため」であれば、施設のカラーに近い方を選んでもよいです。

どちらか迷って決められない!

そんな人は「縁の下の力持ち」タイプで初めてみてください。

保育職や支援職の「やりたいこと」が理解できれば、相手を尊重できるようになります。

その気持ち、というか謙虚さが小児分野で働くための武器となるのではないでしょうか。

よかったら参考にしてみてくださいね。