言語聴覚士は放課後等デイサービスで何ができる?

放課後等デイサービスで言語聴覚士(ST)としてできること、役割を探っていくブログです

放課後等デイサービスは他職種を受け入れるか?現場の意見と専門職加算

放課後等デイサービスに専門職は必要か?

 


今回は放課後等デイサービス側は専門職(PT、OT、ST)をどう思っている?というはなしです。

放課後等デイサービスには様々な職種が関わるようになってきました。

しかし、まだ保育職が中心で他の職種がいる施設は少ないです。

これまで保育職だけでやってきた放課後等デイサービス。

福祉や医療の業界も資格の細分化が進んでいます。

今後、放課後等デイサービスにもいろいろな職種が関わってくると考えられます。

では、実際に現場で働く人たちは保育職以外の職種のことをどのように考えているのでしょうか?

 

 

 

ピンとこない専門職の違い

 

専門職と言われても、いまいちピンとこない人も多いのではないでしょうか?

数多くの職種が存在していて略語で呼ばれるので分かりにくいと思います。

よく分からないものは受け入れにくい。

何だか分からない"専門職"が自分たちのところに入ってきても素直に喜ぶことはできないのではないでしょうか?

それが現状です。

 

ただし、今まで自分たち(保育職)が知らなかったことを知っている人(専門職)がやってくるのです。

考え方によってはプラスになるはずです!

 

今回はリハビリ職であるPT、OT、STを紹介します。

それぞれ得意分野があります。

 

簡単に言うと

PT 理学療法士
 ⇒ 運動面や呼吸が得意

OT 作業療法士
 ⇒ 運動面や手の使い方、感覚が得意

ST 言語聴覚士
 ⇒ ことばや聞こえ、食事の面が得意

 

◆ 専門職の種類についてはこちらの記事をごらんください

www.hana-mode.com

 

  

放課後等デイサービスに専門職が増えている理由

 

少しずつではありますが、PT、OT、STといった専門職が放課後等デイサービスで働くケースが増えています。

それはなぜでしょうか?

簡単に言ってしまうと、国から「専門職がいた方がいいよね」と言われたからです。

これが要因となっていることが少なくありません。

 

 

国からお金がもらえない

以前、放課後等デイサービスは「儲かる」業界という間違ったイメージがついていたため事業所(施設)が数多く開所しました。それこそ乱立でした。

そうなると良い施設も悪い施設もごちゃまぜです。

質の低下が問題となっていました。

 

そこで、国は考えました。

これまで放課後等デイサービスにお金をあげていたけれど、ちゃんとやっていない施設にはあげません、と。

 

 

国からお金をもらうための条件が変わった


放課後等デイサービスは国からお金をもらって運営しています。

すべての施設に同じ額のお金が配られるわけではありません。

昔はどの施設にも配っていましたが、現在は違います。

細かな条件があって、それをクリアしていくことでもらえる金額が増えていく仕組みです。

その条件のひとつに専門職が在籍しているか?というものがあります。

専門職加算と呼ばれています。

 

その他にも、

・家庭と連携が取れているか?
・子どもの人数は適切か?

などなど。

 

条件は細かいものがたくさんあります。

右側の図のように条件を満たせないとこのようになってしまい、施設ごとにもらえるお金に差が出てしまいます。

より多くの条件をクリアしないと運営もできないのが現状です。

そのため、何だか分らないけれど専門職を雇ってみよう!という施設が出始めているのです。

 

 

「専門職のイメージ」を持っているかどうか?

 

これまで保育職でやってきた放課後等デイサービス。

そこに突然、専門職がやってきた。

実際の現場では、どのように思われているのでしょうか?

 

賛成?反対?


放課後等デイサービスで働いていて外部の集まりに参加していると、どちら側の声も聞こえてきます。

 

A ぜひ来てほしい

 

ありがたいことに専門職の必要性を感じている人はいます。

では、どんな人が賛成派なのでしょうか?

賛成派は、実際に専門職のイメージを持っている人が多いです。

 

・重心が通う放課後等デイサービスのスタッフ
⇒ 重心とは肢体不自由児のなかでも症状が重い子をさします。

重心の子がいる施設であればPT、OT、STと関わりがある可能性が高いです。

★重心についてはこちらの記事をごらんください

www.hana-mode.com

 

・何らかの事故が起きた施設
⇒ 過去に窒息、転倒などの事故が起きた、それを経験した施設です。窒息事故を起こさないためにSTに協力してほしい。転倒事故ならPTやOTに。

 
しかし、少数派です。

 

 

B 必要ない

 

もちろん反対派もいます。


・遊びが第一。療育なんて必要ない。
⇒ 遊びを通して子どもとの関係性を築いていく。これこそ障害児保育。療育?よそでやって。


・力関係のバランスが崩れる
⇒ 専門職が来るとすべて従わなくちゃいけないんでしょ?そんなの嫌だよ。(勘違い)

 

・お金の問題
⇒ これは多いと思われます。

ただでさえ条件がクリアできずに国から入ってくるお金もごくわずか。

そういった施設が専門職を雇う余裕があるとは考えにくいです。


現場ではたらくSTの意見(本心)

 

敵を作ることを承知で言いますが・・・

 

多くの放課後等デイサービスは「障害を持った子」という少数派にはおおらかで優しいです。

しかし、専門職という少数派には少々きびしい一面があります。

・放課後等デイサービスは遊ぶところ。お勉強は学校でしてるでしょ?

という風潮はいまも残っています。

 

私は長年、放課後等デイサービスで専門職として働いています。そこでこのように感じることがあります。

どこの施設が、というのではなくて全体的にそういった風潮があります。

特に古い施設ほど強く残っている感じがします。

もちろん、なかには協力的な人もいてくれます。

そういう人がいてくれるからこそ、これまで続けてこられたというのが大きいです。

 

最近は療育特化型の放課後等デイサービスも増えてきました。

このタイプの施設では専門職の需要があります。

その場合は個別・集団での訓練(療育)がメインであるケースが多いようです。

 

専門職の人が放課後等デイサービスを選ぶときは、

・どのような働き方がしたいか?
・今後、自分はどうなりたいのか?

を考えたうえで働く施設を決めることが大切です。

 

あなたの施設に専門職が入ってきたら、ぜひ協力してあげてください。

協力してあげれば、きっと専門職の人もあなたに協力してくれるはずです。

 

自分以外の職種のことを知っていますか?

 

確かに、放課後等デイサービスの保育職とPT、OT、STといった専門職の関わりはまだ始まったばかりです。

まずはお互いのことを知ろうとする努力が必要なのではないでしょうか?

・保育職は専門職のことを
・専門職は保育職のことを

お互いの文句を言うのは相手のことを知ってからでも遅くありません。

意地を張って損をするのは自分です。

私は損なんてしない

そんな声が聞こえてきそうです。

でも、最終的に損をしてしまうのは子どもですよね?

 

 

まとめとして

 

今回は、放課後等デイサービスに専門職が増えているけれど、他職種から理解が得られていないこともある、というはなしをしました。

私は放課後等デイサービスで専門職が働く意味はあると思っています。

障害児保育の質を上げるために、ただ専門職を雇うだけではなくどのように活躍してもらいたいのか?という視点が保育職や施設側にも必要なのではないでしょうか?