言語聴覚士は放課後等デイサービスで何ができる?

放課後等デイサービスで言語聴覚士(ST)としてできることを模索しています

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言語聴覚士(ST)は意識的に助言のやり方と内容を考えるとよいというはなし

STには何ができるのか考えてみる

 

放課後等デイサービス(放デイ)で働く言語聴覚士(ST)は、自分の思い通りの仕事が出来ずに悩んでいる方も多いと思います。ひとつの要因として、放デイの活動は、療育というよりは保育が中心だからということがあげられます。

では、STは何が出来るか?  その中の一つとして保育職への助言があります。言い換えれば「保育と療育の擦り合わせ」です。どのように助言をしていけばよいのか考えていきます。  

 

 

 

 

助言について改めて考えてみる

私たちSTは、様々な人に助言をする機会があります。相談に対する助言や紙面で助言を出すときに、「言葉足らずで正確に伝わっていなかった」という経験は誰にでもあると思います。なかなか、うまく伝わらない。気をつけていることは、その人によって違うと思います。

・偉そうな助言にならないようにしなくちゃ

・この人(読み手)の癇に障らないような書き方にしよう

・まわりくどい伝え方はやめよう

悩むと、ドツボにはまっていきます。

 

 

助言のための準備とは

放課後等デイサービスで長く勤めているスタッフは、それぞれの人が自分の経験から学んだものを支援に落とし込んで、保育実践を行っています。

私たち言語聴覚士も気がつかないような視点のものもたくさんあります。

しかし、知識や技術が古いままであったり、誤ったやり方であるケースもあります。

 

 

 

例① 子どもが固まってしまった

保育では、子どもの“気持ち”に寄り添うことが重視されます。

 

例えば
子どもがパニックを起こしたり、固まってしまったりした時に、気持ちが切り替わるのを「待つ」ことがあります。

そういう時には、STが代替えの案や構造化などのアプローチを提案することができます。子どもが次の行動に移るための手伝いをする

片づけを拒む子に対して「よーいドンで玩具を箱に入れよう」「お化けがいるから、そーっと玩具を箱に入れよう」と提案することで動き始めてくれる場合があります。

このやり方で「片付けられたという成功体験」を積んでもらうこともできます。ただ、この場合「なぜ拒否をするのか?」という根本的な部分にアプローチをかけないと、その場をやり過ごすための手段となってしまうこともあります。

 

 

例② 支援の方法が複数あるもの

例えば、排痰を促す体位。

三角マット等に乗って、頭位を引くすして排痰を促すやり方を行っていることがあります。 しかし、現在はこれが絶対ではなくて、

・頭低位を取らない
・痰が貯留している部位が上になるような姿勢を取る だけで十分

だといわれることも多くなっています。子どもによるとは思いますが。
 

また、食事の際、いつまでも口の中に食物を入れたまま固まってしまう子に対して、お茶で流し込んで、次の一口を入れる介助を行っているケース。これでは、悪癖がつくだけです。

・一口量を調整する
・舌の動きや咀嚼を促す

といったアプローチを行うべきです。

 

 

 

 専門職の忘れがちな視点・保育職の忘れがちな視点

逆に、保育職の方から助言を求められることがあります。助言の仕方も、その専門職の人によって様々です。専門職として正しいと思うやり方を訴え続ける人もいれば、なるべく保育職のやり方に寄せて自分の意見を伝える人もいます。

しかし、

「自分の考えだけが正しい」
「あの人の考え方を修正しなくては」

のように、相手の考え方を矯正させる気持ちでやると失敗します。

保育職が支援で行き詰まっている時に「さり気ない助言」として、自分の意見を伝えてみると、意外とスムーズにいきます。ここで言う「助言」とは、アドバイスというよりはヒントくらいのものです。上からものを言わないようにしたいです。

例えば、目の前にある玩具に全く手を出さない子がいるとします。

支援者は「この玩具は好きじゃないのね」という評価をしている。

手が出ないのは、「自分の身体を支えるのに手を使っているから、手が出ない」かもしれないし、「上半身の筋緊張が強いので手が出ない」のかもしれません。 また、「見る力が弱くて玩具を認識していない」「人とは関わることが出来るけれど、物とは関われていない」のかもしれません。

 

 

専門職が抜け落ちがちな視点

発達や身体の使い方、という視点は、保育スタッフは、わりと気がつきにくいようです(もちろん、分かっている人はわかっていると思いますが)。そういった、今まで考えてもみなかった視点が加わると、支援にも幅が出来ます。

一方、専門職が抜け落ちやすいのが子どもの気持ちという視点です。 保育職は、この「気持ち」を大切にしていまし、拾うのが上手です。

どちらかの意見が絶対的に正しい、というものはありません。本人にとって思ってもみなかった「新しい視点」を伝える、相手の意見を取り入れるというのも専門職の大切な仕事のひとつなのです。謙虚に、いつでも他者から学ぶ姿勢。忘れないようにしていきたいです。


 

伝え方がうまい人とは

伝え方がうまい人には、共通して意識していることがあります。それは、相手は誰なのか?を考えて、伝えたり書いたりするということです。 読み手のことを考えていない説明や文章は、相手を置いてきぼりにします。

誰が聞いて(読んで)くれるのか?相手は誰なのか?によって内容も書き方も変わってきます。相手がどう職種であれば「専門用語」を使った方がスムーズにです。しかし、他の職種や不特定多数に向けてであれば、誰が読んでも分かりやすく表現する必要があるのです。

専門職として助言を行うのであれば、新しい知識や正しいやり方をスタッフに伝えたいです。その際は、偉そうに教えるのではなく「こういうやり方がいいですよ」と提案という形で伝えると、お互い気持ちよく次につなげることができます。専門職と保育職って、結構、上下関係ができてしまうんですよね・・・。

 

 

 

まとめとして

施設によってもSTの役割は大きく変わるはずです。

検査や訓練を思う通りに出来ないけれど、保育の中で、その子の理解度や発達段階に合わせたやり方や声かけの方法をやってみることはできます。それらを保育スタッフに提案したり、個別支援会議で伝えたりすることもできるはずです。

もしも「療育嫌い」が多い現場であったならば、今は腐らず、知識を蓄えたり、子どもを見る目を養ったりして、来るときに備える時期なのだ、と考えた方がよいです。自分の心のバランスと相談しながらですが・・・。