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障害児を理解するために『感覚と運動の高次化理論』を使ってみよう!

子どもの理解をどう深めていくための理論とは?

 

子どもの発達を捉えるための理論はたくさんあります。

しかし、障害を持った子にみられる発達の凸凹や、発達の領域ごとの差(個人内差)を読み取る理論は意外と少ないです。

そのなかでも、今回は「感覚と運動の高次化理論」についての話しです。

 

 

 

障害を持った子どもを理解するにはどうすればよいか?

子どもを理解するには、まずは発達を細かくみていく必要があると思います。

 

特に、肢体不自由児と呼ばれる、動きの少ないお子さんは、自分からことばを発したり、動き出すことが少ないです。

表情の動きもわずかなお子さんも少なくありません。そんな子たちの「発達」は何を使って、どう捉えていくのがよいのでしょうか?

 

子どもをみるためには、セラピストに何らかの指標が必要となります。

現在、障害児の分野では、様々な理論があります。

それらのどの理論を使おうが自由な施設が多いとおもいます。病院や施設によって指定はありますが・・・。

 

そこで役に立つ考え方が『発達と運動の高次化理論』です。

「理論」何か難しい感じになります。

しかし、大枠をつかんでしまえば、子どもと関わる際に、どんなところに気を付ければよいのか、に気づくことが出来ます。

 

 

『感覚と運動の高次化理論』の特徴

子どもの発達を理解して支援につなげていく理論

理論だけではなく、支援者としてどのようにアプローチしていくかの実践

子どもの発達の個人内差(凸凹)を捉えることが大切

 

というものです。この理論の特徴は、

 

・子どもが、(自分の)外の世界から、どのように情報を取り入れるのか?

・その情報(もの・人を含む)を活用して、外の世界とどうかかわっていくのか?

・そのためには、どのような力が必要なのか?

 

というような、発達の初期の問題も含まれているので、自分からの表出が少ない、分かりづらい肢体不自由の子にも応用できます。

特に言語聴覚士などのリハビリ職で一人職場の人、他の専門職の助けを借りることが出来ない人におすすめです。

 

 

感覚と運動の高次化理論とは

淑徳大学の発達臨床研究センターで障害児の発達の臨床研究としてまとめられたものです。

故宇佐川浩先生が中心となって作り上げた発達理論で、障害を持った子どもの発達状況を知るため理論と診断システムです。

現在もこの「感覚と運動の高次化理論」は現在の障害児に合った支援が行えるよう、日々進化しています。

 

大まかにいうと

・発達初期の子から対応しているシステム

・障害名というラベリングではなく、感覚と運動のつながり方を発達的にとらえる

・発達のバラつき(個人内差)をとらえる

・縦の発達だけではなく横の発達も大切にする

 

というもので、前言語期の子にも、ことばが出ている子にも使うことが出来る理論です。

自閉症スペクトラムだけでなく、肢体不自由の子へも使うことが出来ます。

もちろん、ひとつの理論だけを重視することで考えが偏ってしまう危険性もあります。

 

しかし一人職場で「子どもの何をみればよいのか分からない」「評価の指標が分からない」と困っている新人セラピストには強力な「武器」となるはずです。

実際、私もこの理論に助けてもらっています。

 

感覚と運動の高次化理論は、発達の段階を4つの層と8つの水準で整理しています(図参照)。

 

対象となる子がどの段階にいるのかを考えていきます。

 

先ほど、個人内差といいました。

これは、一人の子の発達に対して「この水準です」とは言い切れないということです。

認知発達は「感覚運動水準」だけれど情緒面は「パターン知覚水準」というケースもありうるのです。

これが、発達の凸凹を捉えるということです。

 

 

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