言語聴覚士は放課後等デイサービスで何ができる?

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子どもはどうやって外界を捉えているのか?感覚と運動の高次化理論を使ってみよう

外の世界をどう把握しているのか?

 

感覚と運動の高次化理論では、様々な発達を段階的にみることができます。

しかし、「〇歳にはが出来るようになる」といった年齢は明記されていません。


皆さんもご存知の通り、発達段階の年齢は個人差が大きく、子どもによっては、その項目の得手不得手もあるため基準になりづらいからだと思われます。

 

では、まずは子どもが「外の世界をどう把握しているのか?」を感覚と運動の高次化理論を通して考えていきたいと思います。

 

 

 

 

外からの情報を手に入れ活用するための流れ

 

 

1層「初期感覚の世界」


意識が内に向いていて、周囲からの情報を受け入れられなかった子が、自分の身体を通して「感覚」という外からの情報を徐々に受け入れられるようになってきます。

 

2層「知覚の世界」


感覚などの外からの情報に気付き始めてはいるものの、自分から手を伸ばす等の「外の世界への働きかけ」は、まだ頻度も種類も少なく、パターン的になってしまいます。

 

3層「表象化の世界」


生活や遊び通して情報をパターン的に受け取ったり、事物に働きかけたりする経験も増えていきます。今までは「目の前にある事象が全てだ」と思っていました。しかし、徐々に、パターンを使わなくても、目の前にない事物ことばのような意味づけが出来るようになってきます。ことばの理解や表出が上手になったり、見立て遊びで箱を車の代わりに使ったりするようになる段階です。

 

4層「概念化の世界」


さらに、ことばを使う経験を重ねていくうちに、ことばやイメージで物事を考えられるようになってきます。また、様々な基準を自分で見つけらえるようになってきます。そのため、自分が経験したことや事実を言語化することも上手になってきます。

 

 

 

 

各層の特徴

 第1層(Ⅰ~Ⅲ水準)


「感覚」を通して自分以外の物事のことを知り、生活している段階です。

感覚を理解するためには、身体を介して通して感覚に気づく必要があります。

この段階の子は「始まり」と「終わり」に気が付いて、徐々に外の世界が見え始める段階であり「発達が初期段階」ということができます。

 

  

第2層(Ⅳ・Ⅴ水準)


「手に持った玩具を振ると、音が出る」といった、パターン的な行為を使いながら情報を蓄積させていく段階です。

このような行為を続けていくことで、外の世界の様々なことに気付いていきます。

そのため、固い思考から柔らかい思考へと変化し始める段階ということができます。

 

これまで、揺れなどの身体全体を通して感覚を受け取っていました。

それが、目や耳を介して情報を受け取り「パターン」として行動を作るようになってきます。

また、「玩具をとるために(自分で)手を伸ばす」といった「手段」を使えるようにもなります。

目を使うようになってくるので、「目で見た情報」と「意味」が一致してきます。

 

  

第3層(Ⅵ水準)


これまで蓄積してきた情報を基にして、イメージやシンボルというような象徴機能を使うようになってきます。

思考に深みが出てくる段階です。

 

これまでパターンを使って周囲の世界を把握しようとしてきました。

それが、パターンから離れて、イメージやことばを使って、様々な事象に意味づけするようになってきます。

目に見えないものに意識が向くので、他者の意図が分かるようになってきます。


【象徴】

ある対象や行為が別のものを表すこと(ex.見立て遊びの際に、箱を使って車とする)

【表象】

目の前にないものを思い浮かべる力 

ex.目の前にいない犬の絵を描く、「まる(〇)」という「ことば」を思い浮かべる)


 

  

第4層(Ⅶ・Ⅷ水準)


物事を「概念」的に考えられるようになってくる段階です。

イメージやことばで考えるようになってきます。考えにより深みが出てきます。

 

 

 

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子どもの理解をどう深めていくか

感覚?認知?

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