言語聴覚士は放課後等デイサービスで何ができる?

放課後等デイサービスで言語聴覚士(ST)としてできること、役割を探っていくブログです

感覚と運動の高次化理論 用語集②(た行~は行)

​​感覚と運動の高次化理論 用語集②

 
 誰の許可もなく、感覚と運動の高次化理論の用語集をつくってみました。 このページは「た行」「な行」「は行」です。それ以外は下記のリンクへどうぞ。
 
 ​あ行~さ行 ​   ​た行~は行 ​   ​ま行~わ行 ​ 

 

 


​​​ た行​​ ​
​ た 
 
第一次循環反応(だいいちじじゅんかんはんのう):
自分の身体だけを使って繰り返す感覚運動的な遊びのこと。手をグーパーにしたり、同じ声を出したりするものなど。(生後2~6ヶ月程度)
これらの循環反応は、子どもの知的な発達にとってとても重要な役割となるといわれている(J.ピアジェ/心理学者)
 
対応知覚水準(たいおうちかくすいじゅん):
【感覚と運動の高次化理論】では、8つある水準のうちの、初期から5番目の段階。パターンや拒否も弱まってきて、徐々に様々なことに柔軟に対処できるようになってくる。指さしや身振りなど、意図伝達も上手になってきて、他者との間に相互的な関係を築くことができるようになってくる段階。
 
第二次循環反応(だいにじじゅんかんはんのう):
紐を引っ張り続けたり、ガラガラを振り続けたりするような、モノを取り入れた繰り返される行為。(生後4~8ヶ月くらい)
 
対応弁別(たいおうべんべつ):
弁別の種類の一つ。形が同じものを合わせること。手元にある複数の型の中から、一つの穴(見本)にはめる。【弁別(べんべつ)】の項目参照
 
対応弁別ポインティング(たいおうべんべつぽいんてぃんぐ)
弁別の種類の一つ。形が同じものを合わせること。手元にある一つの型を、複数の穴の中に選んではめる。【弁別(べんべつ)】の項目参照
 
代表性の分類(だいひょうせいのぶんるい):
色や形が違っていても「同じ車」とカテゴリー分けすること。
 
多語構文(たごこうぶん):
単語を組み合わせて、語連鎖的に作られた構文。=語連鎖構文
 
脱中心化(だつちゅうしんか):
「見て手遊びの拡がり(見立て遊びの質的な高まり)」の要素のうちのひとつ。お母さん役、お父さん役といった、他者になり替わる力。人形を使ってままごとをすることも、脱中心化の力。
cf.①脱文脈化→②統合化→③脱中心化
 
脱文脈化(だつぶんみゃくか):
「見て手遊びの拡がり(見立て遊びの質的な高まり)」の要素のうちのひとつ。積木をケーキに見立てる、といった、物を置きかえることが出来る力。
cf.①脱文脈化→②統合化→③脱中心化
 
タテの系(たてのけい):
優しい課題から難しい課題へのステップアップのこと。
cf.ヨコの系
 
縦割りグループ(たてわりぐるーぷ):
子どものグループ分けのひとつ。年齢や発達などが異なる集団。
cf.横割りグループ
 
多動(たどう):
場面や状況に合わせて集中することが難しい。ずっと動き回っている状態のこと。
現在は「注意欠如・多動性障害(ADHD)」と分類されている。以前は、「注意欠陥・多動性障害(ADHD/DSM-Ⅳ)」「注意欠陥障害(ADD/DSM-Ⅲ)」「多動性障害(ICD-10)」などと呼ばれていた。
 
妥当性(だとうせい):
発達検査や心理検査などの際に、測りたい対象が正確に測ることが出来ているかということ。
 
短期目標(たんきもくひょう)
個別支援計画、訓練計画などを立てるときに、「将来的にみて、達成までに、どのくらい先なら到達できるか?」という目標。短期目標は、大体3ヶ月後まで、という期間で設定することが多い。
cf.長期目標
 
 
 
​ ち ​
 
知恵(ちえ):
外の世界を「理解する」力。一般的には「知恵」とは、頭のよさという意味で使うことが多い。【感覚と運動の高次化理論】では、外の世界で起こっていることを判断して認識するという意味でつかわれている。認知発達とも重なる部分が多い。
 
知覚運動水準(ちかくうんどうすいじん):
【感覚と運動の高次化理論】では、8つある水準のうちの、初期から3番目の段階。「始まり」と「終わり」が理解できるようになってくる。目と手も同時に使うことができるようになってくるので、手を使った操作も上手になってくる段階。
 
知覚失認様行動(ちかくしつにんようこうどう):
視覚や聴力には問題がないにもかかわらず、モノの形が分からなかったり、ことばが分からなかったり、モノ自体がないように感じている状態(知覚失認)。それらの「失認」のような行動をとる状態のこと。
 
知覚の世界(ちかくのせかい):
【感覚と運動の高次化理論】の第Ⅱ層のこと。第Ⅱ層には「Ⅳ水準(パターン知覚水準)」と「Ⅴ水準(対応知覚水準)」がある。分類は【感覚と運動の高次化理論(かんかくとうんどうのこうじかりろん)】を参照。
 
知覚弁別力(ちかくべんべつりょく):
見分けたり、聴き取ったりする力。認知の基礎となる力。摸倣するための前提となる力。
 
知覚レベル(ちかくれべる):
様々な感覚刺激を、頭の中で処理するプロセス、段階のことここでのプロセスとは、感覚刺激の入力→形や色、大きさなど、刺激から得られた情報を受け取ること。
ex.情報を見分ける、聞き分ける
 
注意力(ちゅういりょく):
特定のものに意識を向ける、向け続けること。【注意の特性】は4つの種類がある。
①「持続性」とは、行為や行動を持続すること
②「選択性」とは、余計な刺激に惑わされずに、目的となるものに、選択的に意識を向けられること
③「転動性」とは、対象となる物に注意を向けつつ、他のものにも注意を向けること
④「分配性」とは、2つ以上のものに、同時に注意を向けること
 
中核となる発達レベル(ちゅうかくとなるはったつれべる):
定型発達の2歳半~7歳半の発達過程。障害を持っていると、この時期獲得される、認知発達、言語発達、対人関係につまづきが顕著になることが多い。
 
抽象的思考(ちゅうしょうてきしこう):
実体がない物事をイメージしたり、理解したりすること。
 
聴覚運動協応(ちょうかくうんどうきょうおう):
耳を使って、自分の身体の動きを調節すること。音楽遊びやダンスでは、必要な力となる。
 
聴覚入力系(ちょうかくにゅうりょくけい):
感覚入力系の中の、聴覚系のもの。「基礎聴知覚」「細部聴知覚」「全体聴知覚」のこと。
 
聴覚による始点と終点(ちょうかくによるしてんとしゅうてん):
音が出て(始点)、鳴り止む(終点)ことで、終始点を認識すること。
 
聴覚の過敏性(ちょうかくのかびんせい):
聴覚過敏。私たちには、何でもない音量のものでも、小さな音でも大きく聞こえてしまうこと。また、周囲のどの音も、同じ音量で聞こえてしまうこと。聴覚障害とは異なる。
 
聴覚優位(ちょうかくゆうい):
「優位」というのは、どちらの感覚を使った処理が得意か?ということ。聴覚優位は「耳で聞いて判断すること得意なタイプ」。
cf.視覚優位
 
長期目標(ちょうきもくひょう):
個別支援計画、訓練計画などを立てるときに、「将来的にみて、達成までに、どのくらい先なら到達できるか?」という目標。長期目標は、大体1年後まで、という期間で設定することが多い。放課後等デイサービスの保育目標では、長期目標を「卒業までに」という設定する施設もある。
cf.短期目標
 
聴知覚(ちょうちかく):
聴き取る力。耳から外部の情報を認識する力。
 
直接的な世界(ちょくせつてきなせかい):
目に入ったものをそのまま受け取るなど。まだ、ことばや記号など、間接的に物事を捉えられない時期。第Ⅱ層(知覚の世界)でみられる。
 
 
 つ 
 
 
 
 て 
 
定型発達(ていけいはったつ):
障害がない(と思われる)子の発達。いわゆる健常児。定型発達の子でも、発達は個人差が大きいことを忘れてはいけない。
 
手の操作性(てのそうさせい):
手指を使って、ものを操作する力。ボディイメージや、手指の巧緻性(細かい動き)が弱い場合でも、操作がうまくいかないことがある。
 
伝達意図(でんたついと):
相手に伝える(伝えたい)気持ちや情報のこと。
 
伝達行動系(でんたつこどうけい):
相手に自分の意図を伝える手段のこと。発声や構音だけに限らず、その他の身振りなどもこれに含まれる。
 
伝達手段(でんたつしゅだん):
自分の意図や気持ちを伝えるための手段。ことば(音声)に限らず、身振りサインや実物呈示なども含まれる。
 
 と ​
 
統合化(とうごうか):
「見て手遊びの拡がり(見立て遊びの質的な高まり)」の要素のうちのひとつ。
鍋で煮てから、皿に盛り付ける、といった、行為をつなげて流れで遊ぶ力。
cf.①脱文脈化→②統合化→③脱中心化
 
 
 
​​ な行​​ 
​ な ​
 
内言語(ないげんご):
頭の中で使うことば。思考に使われる。音声などの表出には使われない。
内受容感覚(ないじゅようかんかく):
揺れなどの「前庭感覚」や、筋や関節の曲げ伸ばしなどの「固有感覚」といった、身体に直接働きかけてくる感覚のこと。
 
 
​ に ​
 
認知発達(にんちはったつ):
自分自身やの周囲(外界)のことについて、知識や記憶と照らし合わせて理解していくこと。認知の力が育つことで、情緒、自己像、コミュニケーションなどの土台となっていく。障害を持った子の場合、認知発達の凸凹が多いため、それらを把握することが支援の第一歩と言うことができる。
 
認知優位関係性遅滞タイプ(にんちゆういかんけいせいちたいたいぷ):
関係性の発達臨床類型のひとつ。「認知発達」に比べて「自己像(関係性)発達」が弱いタイプ。よく喋ってはいて、数や文字も分かっているが、三項関係の成立や、他者との共有関係が築きにくいタイプを指す。
cf.【関係性優位認知遅滞タイプ】【関係性・認知バランスタイプ】
 
 
 
​​ は行​​ 
​ は ​
 
パターン化(ぱたーんか):
ひとつの動作や活動などを“ひとくくり(パターン)”にして、身に付けていくこと。パターンに囚われすぎると、こだわりになってしまうこともある。その都度、状況に応じて対応するためには、様々な力が必要。とっさの選択や変更に対応できない場合にも、パターンを活用する。
 
パターン知覚水準(ぱたーんかすいじゅん)
【感覚と運動の高次化理論】では、8つある水準のうちの、初期から4番目の段階。
見分ける力や聴き分ける力が育ってくる段階。感覚を使って身体の動きを調節でき始める。要求などの手段もみられる。好き嫌いも明確になってきて、拒否も強く表れるようになる。
 
パターン弁別(ぱたーんべんべつ)
弁別の種類の一つ。形が同じものを合わせること。手元にある1つの型を、複数の穴の中から同じものを探して、はめる
【弁別(べんべつ)】の項目参照
 
パターン摸倣(ぱたーんもほう):
繰り返されたものであれば、大人と一緒に摸倣動作を行うことが出来る段階。
【摸倣(もほう)】の項目参照
 
発語(はつご):
ことば(音声)を言うこと。言い始めること。
 
発達課題(はったつかだい):
発達における、現段階での、乗り越えるべき課題、身に付けるべき力のこと。闇雲に“より高い”課題を乗り越えさせるのではなく、一段下がって、少し簡単な課題を、十分にできるようになることも大切。
 
発達水準(はったつすいじゅん):
発達を捉える上での基準となるもの。様々な理論で様々な水準がある。「感覚と運動の高次化理論」では、ⅠからⅧまでの8つに分類される。
【感覚と運動の高次化理論(かんかくとうんどうのこうじかりろん)の項を参照】
 
発達性失語(はったつせいしつご):
認知面は育ってきているのも関わらず、ことばがほとんど出ていない状態。
 
発達的文脈(はったつてきぶんみゃく):
発達の過程というような、発達のタテの流れを理解すること
 
発達の全体性(はったつのぜんたいせい):
様々な領域の発達段階をそれぞれ網羅するのではなく、相互的な流れを含めて考えること。
ex.「認知や自己像、情緒の発達などが複雑に絡み合って育って行くのか?」 子どもを評価する際には、各発達領域にこだわるのではなく、トータルな視点で全体像を考えることが大切。
 
発達のつまづき(はったつのつまづき):
各発達の流れの中で、何らかの理由で課題が通過できないことがある。「感覚と運動の高次化理論」では、発達過程でいきづまっている、もしくは抜け落ちているものを“発達のつまづき”と表現している。
 
発達プロセス(はったつぷろせす):
発達の過程のこと。外界から情報を受け取って、行為や行動へ移すまでの流れを重要視している。このプロセスから考えると、子どもの“つまずき”が分かりやすくなる。「感覚と運動の高次化理論」では4つの段階に分けている。
 Ⅰ「感覚の入力」
 Ⅱ「知覚レベル(視知覚・聴知覚)」
 Ⅲ「中核となる発達(象徴化・概念化)」知恵・情緒・自己
 Ⅳ「表出系」視覚運動協応、手を使う、粗大運動、構音発語、聴覚運動協応
 
発達臨床的アセスメント(はったつりんしょうてきあせすめんと):
子ども理解を深めるために、子どもの様子や行動、特徴から支援へとつなげていくためのもの。アセスメントを行う際は、発達の凸凹や個人内さ、支援目標や方略、教具やかかわり方への配慮が大切。
 
発達臨床的類型(はったつりんしょうてきるいけい):
「感覚と運動の高次化理論」と「個人内差の発達理解」に重点を置いた、子ども理解のための仮説や支援を考えるための類型。8つの段階があり、それぞれの現状と要因を考えることで、支援方略の助けとなる。
 ① 発達水準はどれくらいか?
 ② 感覚の優位性はあるか?
 ③ 感覚の過敏性はあるか?
 ④ 細部と全体知覚のバランス
 ⑤ 関係性と認知のバランス
 ⑥ 情緒不安定の発達的要因
 ⑦ 入力系と表出系のバランス
 ⑧ パターン化の発達臨床類型
 『感覚と運動の高次化による発達臨床の実際(学苑社)宇佐川浩 P.158~』
 
場面の構成(ばめんのこうせい):
子どもと関わる場所や場面を整えること。環境設定のひとつ。部屋をただ決めるだけではなく、スペースの広さや明るさといった「部屋の選び方」、静かな活動なのか?動きのある活動なのか?また、その組み合わせ方という「活動の中身」などが重要な要素となる。
 
 ひ ​
 
非構造化(ひこうぞうか):
構造化されていない場面や状況のこと。障害を持った子は、自由であればあるほど「何をしていいのか分からなくなってしまう」ことが多くなる。
 
被転導性(ひてんどうせい):
一つのものに注意を向けていても、すぐに他の刺激に意識が持っていかれる状態。
 
表出系(ひょうしゅつけい):
「感覚と運動の高次化理論」の発達診断モデルでは、感覚入力系・処理系・運動表出系と大きく分類されている。中でも「表出系」は、手先運動、粗大運動、発語の3つに分。かれる
 『感覚と運動の高次化からみたこども理解(学苑社)宇佐川浩 P.189~』
 
表象機能(ひょうしょうきのう):
何かを思い浮かべる力のこと。「象徴機能」とは、具体物を別のもので表示する力のこと。「視線の共有」「指さし」「摸倣」「象徴あそび」などが表象の基盤となる。⇒象徴あそび:つもり遊び・見立て遊びのような、あるものを別のもので表すといった遊び。
 
 
 ふ 
 
 
 へ 
 
 
弁別(べんべつ):
物事の違いをはっきりと区別すること。ex.色の弁別、形の弁別
あわせる弁別にも発達段階がある。
 ① パターン弁別
 ② 対応弁別
 ③ 指さし対応弁別
 ④ 対応弁別ポインティング
 ⑤ 指さし―指さし対応弁別
 
 
​ ほ ​
 
方略(ほうりゃく):
「方法」と意味はほとんど同じ。しかし、「方法」よりも範囲が広く、もっと「手当たり次第、何でも使っていく」もの。
 
 
 
感覚と運動の高次化理論 用語集

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