言語聴覚士がおすすめする専門書
障害を持つ子と一緒にいると分からないことが出てきます。
人に聞ければよいのですが、なかなかそうもいかないことが多いです。
それでも子どものこと、障がいのこと、支援や援助のことを知りたい。
障害児を理解するために本を読むことは有効です。
知識や情報量が増えれば視点が増えます。
それがよりよい支援につながっていきます。
そんなときに重宝するのが本です。
ネットと違って「これだ!」と感じた本はお守りになります。
今回は、言語聴覚士の視点からオススメできる本を紹介します。
発達・支援に関する本
①そうだったのか!発達障害の世界
おすすめ度 ★★★★☆
障害を持っている子は悪気があって「問題行動」を起こしているのではない。
当たり前のことですが、それを再確認できる本です。
いま子どもはどんな世界にいるのか?
何が見えているのか?
この本を読むことが子どもを理解するための第一歩となります。
読みやすい本です。
②家庭でできる生活・学習課題
おすすめ度 ★★★★☆
障害を持った子に何をしてあげられる?
事例を通して具体的な内容がたくさん書かれています。
遊びというよりは生活や学習に関する内容となっています。
③感覚運動あそび40選
おすすめ度 ★★★☆☆
障害を持つ子への遊びの提供。
難しい問題ですが、そのヒントになれば。
目には見えない「感覚」を活用した遊びの紹介です。
④子どもの発達と描画
おすすめ度 ★★★★☆
STは文字や数の指導をすることがあります。そのため、いくらか知識はあるはずです。しかし「絵」のことはほとんどしりません。放課後等デイサービスでは子どもと一緒に絵を描く機会もあります。ここで描画を押さえておくのも手です。
⑤障害のある子を支える 児童発達支援実践事例集
おすすめ度 ★★★★☆
一気に読むというよりは、自分が興味を持っている個所や必要に迫られているところを参考書的に読むとよい本です。参考になります。
⑥障害の重い子どもの指導Q&A
おすすめ度 ★★★★☆
肢体不自由の子の学習はどのようなものか?その道のエキスパートたちが書いた特別支援の入門書です。
⑦障害の重い子どもの発達診断 基本と応用
おすすめ度 ★★★★☆
アセスメントの大切さが書かれています。著者は保育寄りの考えなのか専門職が抜け落ちがちな視点などをよく書いている方です。少し難しいですが、読んでみると面白いです。
⑧発達支援学:その理論と実践 育ちが気になる子の子育て支援体系
おすすめ度 ★★★★☆
分理論的な基盤や具体的な療育方法の例、法制度などが書かれた本です。分厚く値段も高い本ですが、読んでみる価値ありです。
⑨発達障害のある子が楽しめるあんしんあそび
おすすめ度 ★★★★★
遊びの辞書代わりに使える本です。見やすくておすすめです。
⑩ワーキングメモリを活かす効果的な学習支援
おすすめ度 ★★★★☆
小児分野、特に放課後等デイサービスでは「記憶」に対する支援が抜け落ちがちです。特にワーキングメモリは弱い子が多くいます。復習の意味も込めて読んでみるとよい本です。
発達と運動の高次化理論
①障害児の発達臨床Ⅰ ②障害児の発達臨床Ⅱ
おすすめ度 ★★★★★
「感覚と運動の高次化理論」の教本というべき本です。新人STで放課後等デイサービスに勤務したけれど、どの理論を使ったらよいのか分からない!という方におすすめです。繰り返し読んで理解を深めることをお勧めします。
②発達支援実践講座 実践家(教師・保育者・支援者)へのメッセージ
おすすめ度 ★★★★★
発達支援における遊びの大切さが書かれています。一歩下がって、今自分にできることは何か?それを考えるきっかけになれば、と思います。
③発達方程式 発達支援実践塾
おすすめ度 ★★★★☆
感覚と運動の高次化理論や感覚統合がベースになった、実践化のための本です。難解な本ではなく分かりやすく書かれています。普段、何も考えずに行っているアプローチを考え直すきっかけに。
④感覚と運動の高次化理論から見た発達支援の展開
NEW!
感覚と運動の高次化理論のテキスト、新刊が出ました!テキスト的な位置づけのものは宇佐川浩先生が書かれていたものだけでしたが、時代の変化に合わせたものとなっています。大きいサイズの本で見やすくなっています!おすすめです。
「放課後等デイサービス」に関する書籍3冊
はじめて放課後等デイサービスに携わる保育職の人にとって、役に立つ本です。PT、OT、STが読んでも、実際の放課後等デイサービスの障害児保育についてイメージしやすくなると思います。
①放課後等デイサービスハンドブック
放課後等デイサービスの現状、課題など、法律も含めて、分かりやすく書いてあります。放課後等デイサービスについて書かれている本は、現在でも少ないです。
②障害児保育ワークブック
障害児保育の事例や、個別支援計画のワークシートなど、イラスト満載で書かれています。
ドリル形式で、自分の支援を書き入れていきます。
療育でも教育でもない「障害児保育」の考え方ではなしが進んでいきます。
本当にはじめての人には、イメージが持ちやすい本です。
③障害のある子を支える放課後等デイサービス実践事例集
上記のワークブックよりも療育的な内容で書かれています。
この本も読み込めば、さらに放課後等デイサービスへのイメージが持ちやすくなります。
書かれている事例は障害が「重くない子」の子のものが多いです。
「障害受容」と「保護者支援」の本
障害を持った子どもと関わっていると、度々耳にすることばです。
支援目標に「障害受容」が入ることがあるかもしれません。
本当にケースバイケースなので「絶対、入れるな」とは言い切れません。
しかし、もう一歩踏み込んで考えてみる必要があります。
私たち支援者は、第三者だから行える支援、考え方などがたくさんあります。
しかし、親御さんが自分の子が障害を持っていることを、全て受け入れられるのでしょうか?
親だからこそ受け入れられないこともあるのではないでしょうか?
支援を仕事にしていると、保護者にまで自分と同じ視点を求めてしまいそうになることもあります。
そんな時は「親の立場」から子どものことを考えてみると別のものが見えてきます。
① 発達障害の子どもと親の心が軽くなる本「心の声」を聴いてみよう!
前川あさ美
わかりやすい保護者支援の本です。
ペアレントトレーニングの本はたくさんあります。
しかし、保護者の気持ちを軸に書いた本はなかなかありません。
保護者の方にもオススメです。
/p>
② Q&Aで考える保護者支援発達障害の子どもの育ちを応援したいすべての人に
中川信子
2018年4月20日に発行されたSTの中川信子先生の本です。
子どもの味方であると同時に保護者の味方であるべし。
という考え方が基本になっている本です。
「こんな保護者の方から相談を受けたら、どのようにたいおうすればよいのか?」
STとして、どのような立ち位置にいるとよいのか、ということが分かりやすく書かれています。
保育職の方が読んでも面白いと思います。
その他の本
学童保育に作業療法士がやって来た 困った行動には理由がある作業療法士の視点に学ぶ発達
本の紹介です。
小児の分野では、まだまだ認知度の低いコメディカル(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)。
この本には、作業療法士が学童保育に来たことが書かれています。
学童保育に専門職が来ると、保育スタッフにどんな変化があるのか?
この本の内容を一言で言うと 「視点の違いに驚いた」 本書では、言語聴覚士ではなく、作業療法士が取り扱われていますが、同じことが言えると思います。
そして、学童保育と専門職がテーマになっている本は珍しい。
ただし、本の舞台は「学童保育」です。
グレーゾーンの子も通っている学童のようですが。
放課後等デイサービスと、まったく同じだとは言えませんが、保育職から見た専門職とは?が少しだけ分かります。
シリーズもののようです。
次回、言語聴覚士編が出るのを楽しみにしています。
感覚遊び
感覚遊び&感覚統合の本をお探しの方はこちらもご覧ください。
まとめとして
今回は障害児に関する本を紹介しました。
障害を持つ子と一緒にいると「?」と感じることがあります。
本を読んで知識をつけることで、親御さんや支援者の視点が変わります。
視点が変われば支援が変わります。
自分の気に入った本をお守りがわりにして、子どもたちとせっしていきましょう!
その他のオススメ本
ブログ内の他の記事の紹介です。
① ダウン症の本はこちら
② 教材の本はこちら
③ 新版K式発達検査の本