障害を持つ子を赤ちゃん扱いしないために
障害児と関わっていると自分は「相手を赤ちゃん扱いしていないか?」と考えることはありませんか?
特に障害が重い子たちの中には、自分で思うように動けなかったり、うまく理解ができなかったり、喋ることができなかったりする子がいます。
そんな子たちに対する「赤ちゃん扱い」とはどのようなことを指すのでしょうか?
赤ちゃん扱いをしていると、子どもの本当の力が見えなくなってきます。
そうならないためにも、大人は意識的に自分の言動を改めて考えてみるとよいです。
今回は、実年齢と発達年齢に差がある子たちを「赤ちゃん扱い」しないために、わたしたちができることを説明します。
「赤ちゃん扱いしないで」と言われるけれど
「赤ちゃん扱いしないでください」
障害児の施設で働くスタッフが新人スタッフに言いがちなセリフです。
指摘されれば「そうだよな。直さなくちゃな」と思います。
しかし、よくよく考えてみると何だかピンときません。
「赤ちゃん扱い」って何だ?
あなた(先輩スタッフ)がしているのは「赤ちゃん扱い」ではないのか?
「赤ちゃん扱い」でなければ「何扱い」すればよいのだ?
赤ちゃん扱いとは?
そもそも「赤ちゃん扱い」とはどのようなことを指すのでしょうか?
赤ちゃんは生まれたばかりで分からないことが多い。
そのため、大人は「やさしく」接しようとします。
・笑顔で
・高めの声で
・ゆっくり
・はっきり
・短い文で
・簡単な表現で
・できないことをやってあげる
これがいわゆる「赤ちゃん扱い」。
赤ちゃんへの扱い方だから違和感はありません。
しかし、これがある程度成長した子どもに対してだったらどうでしょう?
上記の例から考えてみましょう。
・笑顔で ⇒ ◎
・高めの声で ⇒ ◎
・ゆっくり ⇒ ◎
・はっきり ⇒ ◎
・短い文で ⇒ ◎
・簡単な表現で ⇒ △~◎
・なんでもやってあげる ⇒ ✕~△
簡単な表現で伝えるということ
何らかの障害によって理解することが苦手な子はいます。
そういう子にとって「分かりやすく」声かけしてもらえることは理解の助けとなります。
障害を持つ子への声かけも「赤ちゃん」への声かけを応用するとよいです。
しかし、「簡単な表現で」というのが曲者なのです。
簡単な表現=赤ちゃん語ではない!
障害を持つ子と関わるとき、簡単な表現は理解の助けになると説明しました。
しかし、この「簡単な表現」は赤ちゃん語とはまったく同じではないのです。
簡単な表現とは簡単な単語を使って文法的にも優しいものです。
「○○でちゅね」
「○○しまちょうね」
というのは簡単でも何でもない。
ちゅっちゅ言っているだけです。
こんなこと支援のときに言わないよ。
そう思われるかもしれません。
しかし、外から聞いていると言っている人は時々います。
自分では使っているのに他の人が使っていると「赤ちゃん扱いしないで」と怒る人もいます。
あなたは大丈夫ですか?
何でもやってあげるということ
さらに「なんでもやってあげる」ということ。
障害があるために物理的に「できないこと」というのはあります。
・車椅子に乗っているから高いところにある物が取れない
・指がうまく動かないから物をうまく握れない
この場合だったらやってあげたり手伝ってあげたりすることは問題ないと思います。
しかし、ちょっと頑張ればできることでも大人がやってしまうことがあります。
・靴や洋服をすべて着させてあげる
・子どもが答えを出す前に大人が答えを言ってしまう
これでは支援とは呼べませんよね。
これをやりがちな人のなかには
「この子には私がいないとダメなんだわ」
という疑似母性とでもいうべき誤った感性を持っていることも・・・。
子どもがかわいいのは分かります。
子どもがやるのを待つよりも大人がサッとやってしまった方が早いと感じるのも分かります。
しかし、自分の力でやらせてもらえない状況というのは不幸なのではないでしょうか。
※食事はこれに当てはまりません。
自分でスプーンを握ることができる。だから自分で食べてもらおう。
よく聞く支援です。
これには注意が必要です。
まだうまく食べられていないのに、無理やり自分で食べてもらうとどうなるかというと・・・
・正しい食べ方が身につかない
・悪癖がつく
という可能性が出てきてしまいます。
なので、食事ではすべて自分で食べてもらうのではなくて、半分は介助のように大人が介入できるようにするほうがよいです。
自分で食べられる=自立
と思っている支援者の皆さん!そうとは言い切れないのです!
今はいいのかもしれませんが、後々の子どもの「困った状態」も想像してみてくださいね。
赤ちゃん扱いするとどんな悪影響があるのか?
子どもを「赤ちゃん扱い」することは失礼なことです。
これは誰もが分かっているはずです。
それ以外の悪影響はあるのでしょうか?
一番の悪影響は子どもの本当の力が見えなくなってしまうということです。
子どもの力を把握できなくなる
「赤ちゃん扱い」とは相手のことを自分よりも下に見ることともいえます。
子どものことを観察したり評価したりする前から「下に」見ていては、本当の子ども像を把握できるはずがありません。
・実際はどんなことができるのか?
・どんな場面ならできるのか?
・できることに差はないのか?
発達の凸凹が見えなくなると、画一的な評価しかできなくなります。
・肢体不自由児だから反応が薄くて理解も弱いのだろう
・自閉症だから他者に興味なんてないんだろう
・ダウン症だから頑固なだけだろう
どこかで聞いたような障害の特徴をなぞっただけの子どもの評価に意味なんてないのです。
子どもとよい関係が築けない
「赤ちゃん扱い」は子どもに対しても親御さんに対しても失礼です。
たとえ無意識的に軽視しているのであっても、それは確実に子どもに伝わります。
それで子どもとよい関係性が築けるはずがないのです。
まずは子どものことを知ろうとすることが大切。
子どものことが完全に理解できるとは思いません。
しかし、大人が「発達状況」という視点を持つことによって、子どものことをより深く理解できるようになるのです。
支援者として大切なのは自分は親ではなく支援者なのだということです。
言い方は悪いですが他人です。
しかし、他人だからこそ見えることやできることが絶対にあります。
そこを考えていくことがチームで行う支援なのです。
実年齢と発達年齢をごっちゃにしない!
障害児に関わるときに難しいことがいくつかあります。
その中のひとつに実年齢と生活年齢が異なるという点があります。
これが支援におけるポイントとなります!
実年齢と発達年齢をごっちゃにしない!
たとえば実際には10歳なのに知的には3歳くらいという子がいます。
この場合、どちらの年齢を重視すればいいのでしょうか?
そのまえに「実年齢」と「発達年齢」を詳しく説明しましょう。
実年齢
実際の年齢です。
生まれてから何年がたったのか?
10年だったら10歳ですよね。
「生活年齢」という言い方をすることもあります。
発達年齢
発達段階という考え方があります。
障害のない子であれば「1歳で喋り出す」という平均値がまとめられています。
これを発達年齢・発達段階と言います。
「○歳で△△をする」
まとめとして
今回は、障害児支援で無意識的に子どもを「赤ちゃん扱い」していませんか?というはなしをしました。
人のやっている「赤ちゃん扱い」は目についても、自分がやっていることには気づかない。
そんなものです。
だからこそ障害児と関わるときに「自分は大丈夫?」と考えながら支援を行っていきたいです。
よかったら参考にしてみてくださいね。