障害を持つ子をどんなふうに見るべきか?
障害を持つ子は様々な大人たちと関わっています。
大人の種類は大きく分けて2つあります。
・親もしくは家族
・支援者
この2つは子どもに対しての考え方が異なります。
立場が違うので当たり前です。
相手も自分と同じように考えていると思ってしまうかもしれません。
しかし、それでは思わぬトラブルが起きるかもしれません。
・あの人は分かってくれない
・子どものことをちゃんと考えてくれない
本当なら親と支援者は手を取り合って、子どもの育ちを応援していかなければならない立場のはずです。
両者で争っていると、子どもへの支援が行き届かなくなってしまします。
子どもにとっては とばっちりです。
そんな無用な争いを避けるためにも、互いの立場や考え方の違いを知っておくことが大切なのです。
今回は、障害児支援での親と支援者の考え方の違いについてです。
さらに支援者だからできることを考えていきます。
障害児施設とは?
障害児施設は、何らかの障害もしくは疾患を持つ子が利用する施設です。
福祉サービスのひとつとして位置づけられています。
大きく分けると「通所」と「入所」があります。
・通所 ⇒ 家から通う施設
・入所 ⇒ 施設で生活する
通所には、児童発達支援、放課後等デイサービスなどがあります。
親とスタッフでは考え方の違いが出やすい
どちらの施設でも子どもに支援を行っています。
支援を行うために、支援者(スタッフ)は子どもの「現状」と「これから」について考えます。
・この子はどんな子なのか?
・どういう支援が必要なのか?
子どものことを「知ること」が支援の土台となるはずです。
子どもの周囲にいる大人たちの間で考え方のズレが出てくることがあります。
このズレがトラブルのもとになるのです。
それぞれの視点をみていきましょう。
親御さんの目線
まずは親御さんの目線。
親もしくは家族の視点とはどのようなものなのでしょうか?
子どもへの評価
親御さんにも様々なタイプの人がいます。
・高すぎる評価
・低すぎる評価
・良く分析して冷静に判断している
・あまり関心がない
よくあるのが高すぎるかなと思う評価をしている親御さん。
「この子はすべて理解しています」
実際に検査や評価をしてみても、その通りだと思われる子はごくわずかです。
逆に低すぎる評価をしている親御さんもいます。
「この子何もできないんですよ」
実際には、やり方や環境次第で「できること」がたくさんあるケースは多いです。
支援者に求めること
多くの親御さんが「今後どうなっていくのだろう?」という不安を抱えています。
なかでも子どもの発達が後退するのでは?という不安を持つ親御さんは少なくありません。
そのため、どうしても先ばかりを見てしまう。
専門家による療育や訓練を受けている子も少なくありません。
不安を抱えている親御さんは、子どもが簡単なことをやらされている(と親御さんが感じると)ことがあるかもしれません。
その際、専門家にクレームを言いたくなります。
専門家は発達の流れを目安に訓練や活動を組み立てています。
・今はこの発達段階かな
・目標はこのくらいだな
・じゃあ、いまはここから始めよう
・さらに、土台となる力もつけておこう
外から見ると専門家が狙っていることが分かりづらいケースがあります。
一見「簡単すぎる」訓練内容に見えてしまう場合もあるのです。
しかし、ねらいは必ずあるのです。
ひとりでご飯を食べることはできている。
しかし、よく見てみると丸飲みをしているし、おぼれながらお茶を飲んでいる。
このまま続けたら大きくなってから事故が起こるかもしれない。
だったら食形態を下げて(軟らかい食事の硬さのものを提供して)、正しい食べ方を身につけてもらおう。
上記の例は、将来的に起こりそうな事故を防ぐために、大人からは簡単にみえることを子どもにやってもらっているケースです。
簡単なことはやらせないで、もっと難しいことができるような訓練をしてほしい。
良くも悪くも、親御さんからの要望で多いのはこれです。
一歩進んで二歩下がるのが「発達」
子どもの発達は階段に例えられます。
しかし、それは普通の階段ではなく螺旋階段のことをさしています。
一歩進むごとに高い段に上がるというよりは、同じ高さの段を少しずつ進んでいくイメージです。
親御さんのなかには不安から焦りが出る人がいます。
その不安をやわらげるのも支援者の仕事なのです。
伝え方ひとつで変わります!
支援者の目線
つづいて支援者の目線。
指導員、保育職、専門職などの支援者の視点はどのようなものがあるのでしょうか?
子どもへの評価
スタッフにも様々なタイプの人がいます。
・高すぎる評価
・低すぎる評価
・良く分析して冷静に判断している
・親身になりすぎる
支援者であっても高すぎる評価をする人は意外と多いです。
それは「発達」などの基準を持たない人が陥りやすい傾向にあります。
親身になりすぎるというのは、自分に子どもを重ね合わせてしまうということです。
子どもが辛そうだと自分も辛くなってしまいます。
大人自身の神経が持たなくなってしまう傾向があります。
優しい性格の人に多いです。
支援者がおちいりやすいこと
障害児施設で働いていると、自分の立場があやふやな人と出会うことがあります。
支援者(施設スタッフ)は様々な障害を持つこと関わります。
どんな子でもかわいい。
それはスタッフの大多数が感じていることだと思います。
しかし、度が過ぎているケースがあるのです。
・「こうするべきだ」という押し付けが強い
・「支援目標」が「願望」になってしまっている
・自分がやる支援が一番だと思い込んでいる
その他にもあります。
しかし、上記のような、支援者なんだか家族なんだか分からない考え方をしている人はいます。
支援者であれば、子どもの発達状況や現状をおさえて支援や活動に活かす方がよいです。
支援者は家族ではない!
家族だと距離が近すぎて見えないこともあります。
へんに感情が強く出てしまうこともあります。
その点、支援者は他人です。
言い方は悪いですが、第三者なのです。
支援者だからこと「できること」があるはずです。
支援者だからできること
支援者だからできること?
支援者がやった方がよいことがあります。
・親御さんや家族の「時間」をつくる
・一歩引いて子どもと関わることができる
詳しく見ていきましょう。
時間を作ってあげられる
どのような障害があったとしても、家族は基本的に 24時間、その子と一緒にいます。
学校が6時間あったとしても、残りは18時間もあります。
母親もしくは父親がひとりで子どもの面倒をみているケースもあります。
それを少しでも軽減するために福祉サービスがあるのです。
・放課後等デイサービス
・ヘルパー
などなど。
親御さんが自由に使える時間が増えれば、息抜きだけではなく働きに出ることも可能です。
「障害児を持つ親は働くな」
そんなことを言われていた時代がありました。
今は違います。
現代でそんなことを言ってくる支援者や施設も少なからずあるようですが・・・。
時代遅れも甚だしい、としか言えません。
一歩引いて子どもと接することができる
自分の子どもと接しているときには妙に力が入ってしまう場面があります。
子どもに障害があってもなくてもです。
たとえば、子どもが言うことをまったく聞かない場面。
毎回、丁寧に対応できている親なんて少ないはずです。
そこで「他人」である支援者の出番です。
「他人」だからこそ丁寧にできることがあるのです。
親は最大でも 2人しかいません。
一方、支援者はたくさんいます。
これは支援者の強みのひとつです。
まとめとして
子どもの成長がみられると嬉しくなります。
それは親御さんも支援者も同じこと。
もちろん支援者も一緒に喜んでOKです。
しかし、支援者はそれを一歩引いた状態で子どもをみておく必要があります。
・本当にそうなのか?
・偶然ではないか?
・この状態を継続させるためにはどうすればよいのか?
・次のステップは何か?
支援者は一定の期間しか子どもと関わることができません。
上記のような視点を持って、将来、自分たちが関わらないときにまで思いを巡らせる必要があるのではないでしょうか?
支援者だからできることは、一歩引いて冷静に子どもをとらえることです。
そのうえで子どもの成長を親御さんと一緒に喜んでいきましょう。
よかったら参考にしてみてくださいね。