放課後等デイサービスでアセスメントシートを使おう
子どもを評価するとき、どんなツールを使っていますか?
療育施設では各種検査やチェックリストなどが使われていると思います。
では放課後等デイサービスは?
使っている施設と全く使っていない施設、両極端なのではないでしょうか。
今回は、毛嫌いされがちな発達の評価ツール。
いったいどうすれば放課後等デイサービスでも導入できるか?というはなしです。
発達の評価が大切といわれる理由
子どもの視点にたつためには、いまどの発達段階にいるのか?を知ることが大切です。
・理解する力
・物事の捉え方
特にこの2つは欠かせません。
なぜなら
・いま子どもはどのくらい理解できているのか?
・目の前にあるものがどのように見えているのか?
を大人が十分に把握しないと子どもへの接し方が変わってしまうからです。
・理解できていないのにはなしを進めてしまう
・子どもにとって難し過ぎる課題や遊びを提供してしまう
こんな危険性も出てきてしまいます。
アセスメントとは
アセスメントとは子どもの実態を把握することです。
・どんな発達段階なのか?
・何歳レベルなのか?
・得意な分野、苦手な分野は?
・考え方の特徴は?
などを調べるためのものです。
放課後等デイサービスの種類
ここ数年で様々なタイプの放課後等デイサービスが出てきました。
・学習特化型
⇒ 算数や国語など学校の勉強をみてくれる。障害を持つ子の塾(グレーゾーンの子も受け入れてくれるところも多くある)
・療育特化型
⇒ 生活や社会性、認知などの力をつけるアプローチをしてくれる。個別活動と集団活動がある。
・超特化型
⇒ 運動、芸術など、特定の領域だけにスポットを当ててみてくれる。近年、感覚統合理論の人気が出てからさらに増えている。
などなど。
これらの施設では、何らかの評価のためのツールを使っていると思われます。
上記のタイプのほかに昔ながらの放課後等デイサービスというものあります。
昔ながらの放課後等デイサービスとは
このタイプの施設は「療育」よりも「障害児保育」ということばを好んで使う傾向があります。
・障害児保育は遊びの中から育っていくもの
・療育よりも子どもと心を通わせることが先決
子どもの気持ちになっていこうというものです。
そのため「できる・できない」で評価されるツールを使うことは少ないのです。
放課後等デイサービスで評価ツールを活用しよう
これまでアセスメントのツールを使ってこなかった。
今さら新しいものを導入するのは心配。
今まで積み重ねてきたものもあるし・・・。
まだうちの施設にはそんなツールは必要ないかな・・・。
そう思ってしまう人もいるかもしれません。
しかし、アセスメントのツールを使うことで得られるメリットはあります。
① 支援者の視点が広がる
アセスメントシートをつけるとき、様々な項目をみながらチェックしていきます。
・一人で歩ける
・積み木を2つ積むことができる
・「ちょうだい」に反応する
・殴り描きをする
などなど。これまで気にしていなかった内容のものもたくさんあるはずです。
しかし、この項目の内容を覚えておくことで「子どものこんな様子をみておけばいいんだな」ということが分かります。
これが新たな視点の獲得です。
これで支援がさらにより良いものになってきます。
② 子どもに合った遊びを提供できる
障害児保育のスタッフは保育職がほとんどです。
保育職とは遊びの専門家です。
遊びにも発達がありますよね?
・一人遊びの段階
・友達の輪に入って遊ぶ段階
などなど。
この遊びの形式の発達以外にも
・なんでも投げてしまう子
⇒ 「投げること」を発達的に考えてみましょう。置くという動作が身についていないのかもしれない。本来なら、置く前に「机に積み木を押しつける」という段階があります。その様子も見られない。投げて終わりにしている。もしくは投げること自体が遊びになっている。このような段階の子に「投げないで!」と怒っても本人は意味が分かなりはずです。
・うまく物が見られない子
⇒ たとえばボーリング。大人と一緒にボールを投げてくれる。しかし、最後まで見ないという子はたくさんいます。身体的に制限があって目が逸れてしまう子、注意がすぐにほかのものに移ってしまう子、など様々なタイプがあるはずです。それを考慮しないで大人だけが盛り上がる・・・。あるのではないでようか?
大人が発達的視点を持つ子とは、子どもの状況に合った遊びを提供できるということにつながるのです。
評価のツールが嫌われる理由
評価を好まない支援者というのは少なからずいます。
よくよく原因を聞いてみると、食わず嫌いであることがほとんどです。
二分評価を好まないから
先ほども話題に出ましたが、評価をするとき、どうしても「できる・できない」で子どもの力を判断する場面が出てきます。
本当はできるんです!
なのに✕なんですか?
鬼なんですか?
そういうふうに言ってくる人もいます。
評価のツールを普段から使っている私たちのような専門職でもそんなことは分かっています。
評価ツールでチェックするときには「できる・できない」で判断していく。そこから
・なぜできたのか?
・なぜできなかったのか?
を判断していくのです。
・できたようにみえるけれど、偶然できただけ
・指示が理解できなくて、できなかっただけ
・本当はできるのだけれど、生理的・環境的な要因でそのときできなかっただけ
いろんなケースが考えられるのです。これを考えていくことが支援に深みが出ていくということなのです。
冷たい感じがするから
この考えの人も多い。
数値で判断するなんて人としてどうなの?
なにかやらせてみて判断する?信じられない。
本当なら、検査やチェックリストなんてない方がよいのです。
だって、どちらも子どもにとって負担になるものだから。
実際に子どもと遊んでみて、そこで子どものすべてを把握できるなら検査やチェックリストは不要です。
しかし、なかなかそれができない。
しかたがないので「ごめんね。ちょっと検査(評価)させてね。本当にごめんね。でも、ちゃんと支援や遊びにつなげるからね」と思いながらとらせてもらうのです。
一見、冷たそうに見える各専門職。どの職種もこんなふうに子どものことを知ろうとしているのです。
何を使えばいいの?
これは悩むところです。
実際には
・すでにあるアセスメントシートを利用する方法
・専門職に施設オリジナルのシートを作ってもらう方法
があります。
『遠城寺式・乳幼児分析的発達検査表』を使うえばザックリとした子どもの評価もできます。
評価のためのシートがついている本もいくつかあります。
コミュニケーション面を重視したいならインリアルでおなじみの坂口しおり先生のこの本は使いやすいです。
発達というよりは障害児保育に重きを置きたいのならこちらも分かりやすい本です。
この2つは分かりやすい本です。
まとめとして
今回は放課後等デイサービスでツールを使って発達を評価しようというはなしをしました。
使えば自分の視点が拡がります。
それは支援というかたちで子どもたちへ還元されるはずです!
ぜひ使ってみてください。