言語聴覚士は放課後等デイサービスで何ができる?

放課後等デイサービスで言語聴覚士(ST)としてできること、役割を探っていくブログです

放課後等デイサービスとは?どんなところなのか知りたい人のために

放課後等デイサービスとは何なのか?

障害を持った子たちが、学校が終わってから通う場所です。

・放課後デイサービス
・放課後施設
・子どものデイサービス
・児童デイ

など、様々な呼ばれ方をしています。

現在の正式には「放課後等デイサービス」です。

 

 

 

 

放課後等デイサービスの位置づけ

子どもたちは、毎日、家から学校に通っています。

放課後等デイサービスは、学校が終わったら施設に行って遊んだり、勉強したりして過ごす場所です。

家・学校・放課後等デイサービス

第三の場として活用されています。

厚生労働省から出された『放課後等デイサービスガイドライン』では、次のように位置づけされています。 

 

放課後等デイサービとは

支援を必要とする障害のある子どもに対して、学校や家庭とは異なる時間、空間、人、体験等を通じて、個々の子どもの状況に応じた発達支援を行うことにより、子どもの最善の利益の保障と健全な育成を図るものである。

厚生労働省『放課後等デイサービス ガイドライン』
 https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/0000082829.pdf 

 

それでは、放課後等デイサービスがどのようなものなのか、みていきましょう。

 

増え続ける放課後等デイサービス

下記は、厚生労働省が出した統計で、放課後等デイサービスの事業所数と通っている子ののべ人数です。

2012年4月に児童福祉法に位置づけられました。その直近の統計である2013年のものと、最近のものを記載しました。

 

2013年10月
・事業所数  : 3,909 箇所
・通っている子:68.755 名(のべ)

2019年8月
・事業所数  : 13,966 箇所
・通っている子:226,835 名(のべ)

2021年10月
・事業所数  : 16,718 箇所
・通っている子:

 

2012年に「放課後等デイサービス」が制定化されたので、かなりの増加です。

その中には「放課後等デイサービスは儲かるんだ」と思いこんだ人や、それを食い物にしようとする人たちが介入してきました。

そういう人たちが行う「ずさんな支援」としかいえないサービスを行う施設が増えていると思われます。

 

◆追記(2022.4.16)

行政が「ずさんな施設」を排除するべく動き出しました。

最近では施設数の増加は緩やかになってきています。

 

 

放課後等デイサービスのタイプ

「放課後等デイサービスはこういうやり方をしなさい」という指示は明確に出されていません。

大きく分けると2つのタイプがあります。

 

総合支援型

保育中心。遊びや活動を通して安心しながら発達を促していく

特化型

特定ものをウリにしている。音楽や運動などに特化したところ

 

また、
・知的障害児および発達障害児が中心
・肢体不自由児中心
・知的・肢体どちらも通う施設
・聴覚障害、ダウン症などの特定の障害児だけを集めた施設

など、所属している子も施設によって異なります。

本当にいろいろなタイプの事業所があるのです。

 

 

誰が運営しているの?

社会福祉法人やNPO、株式会社など様々な団体によって運営されています。

社会福祉法人だけが質の良いサービスを運営しているかと言われれば、そんなことはありません。

株式会社でもとてもすてきな障害児保育を行っているところはたくさんあります。本当に事業所の差が大きいのです。

なので、どの事業所も「質の良いサービス」が提供するよう、国が対策を立て始めました。

それが、
・放課後等デイサービスガイドライン
・指標判定と結果に伴う報酬区分制度

などです。せっかく始めてくれたことですが、しっかりとやっている事業所には「良い迷惑」としか言えなのが現状です。

 

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学齢期なのに「保育」なの?

放課後等デイサービスは、小・中・高等学校に通っている子が、学校が終わってから通う施設です。

しかし、障害を持った未成年の子たちが学びの場・遊びの場には「障害児保育」「保育」ということばが使われています。なぜなのでしょうか?

 

よく言われているのが「他に良いことばがないから」というものです。

ちなみに、事業所や団体によっては「療育」ということばを好まない傾向があります。

「療育」=「お勉強」。

放課後等デイサービスもは「遊びの場」という偏った意識が根強く残っているからです。

それもあって「障害児保育」や「保育」ということばが使われているのです。

 

 

保育だったら放課後等デイサービスの費用も無料になるの?

「子ども・子育て支援法改正案(2019年2月)」が閣議決定され、同年10月より「幼児教育・保育の無償化」が始まりました。

だったら同じ「保育」と名前のつく放課後等デイサービスも無償かになるの?と考えてしましますよね。

しかし『障害児の発達支援に係る閣議決定事項(H30.10.24)』によって「放課後等デイサービスについては、就学後の児童を対象としたものであるため無償化の対象とはならない」と決まっています。

 

 

放課後等デイサービスで働くには?

資格を持っていない人が保育スタッフとして働く際は「児童指導員」という位置づけ(職種)として扱われます。

しかし「児童指導員」という資格は存在しません。

 

 

放課後等デイサービスで働いている職種

放課後等デイサービスで中心となって働いているのは「保育スタッフ」「指導員」と呼ばれる人たちです。

それ以外にも様々な職種が介入しています。下記はその一例です。

 

【専門職員】
・保育士

・理学療法士
・作業療法士
・言語聴覚士

【その他 専門職】
・心理職
・音楽療法士
・サッカーのコーチ
・水泳のコーチ

【児童指導員】
・児童指導員
・下記の研修を受けた人
 ・強度行動障害支援者養成研修
 ・重度訪問介護従業者養成研修 行動障害支援課程
 ・行動援護従業者養成研修修了

【上記以外の資格保持者】
・教員免許
・社会福祉士
・精神福祉士
・社会福祉主事

【その他】
・ドライバー
・各種事務

  +

・ボランティア
・実習生(保育もしくは各専門職)

資格がなくても放課後等デイサービスで働くことはできます。資格を持っていないけれどすてきな保育をする人もたくさんいます。

 

 

放課後等デイサービスに通いたい

近隣の早期療育施設や市区町村の障害者支援課に問い合わせてみてください。

各放課後等デイサービスの相談会や見学会、空きの状況などを教えてくれると思います。

ちなみに、例年、秋くらいには次年度の説明会等が開催され始めることが多いようです。

 

 

児童発達支援や学童とは違うの?

放課後等デイサービスのような通所サービスは他にもあります。

・児童発達支援

・学童保育

これらとは違うサービスなのでしょうか?

ちょっと説明してみたいと思います。

 

児童発達支援

0歳~小学校に上がるまでの未就学児が対象で、幼稚園と併用している子もいます。

専門性も持った職員が早期療育を行う施設・事業のことです。

 

学童

保護者が、共働きやひとり親の小学生が対象。

放課後(土曜、長期休み、学校休業日)に子どもたちが安全で安心な生活を送れるようにするところです。

学童保育は、障害の有無にかかわらず利用ができます。

放課後等デイサービスと併用している子もいます。

 

 

まとめとして

今回は放課後等デイサービスの位置づけについて説明しました。

どんな活動をしているかは、その施設によってバラバラです。

特徴を把握してから通ったり働いたりするとよいです。

何も調べないで門をたたくのは止めた方がよいです!絶対に。

よかったら参考にしてみてくださいね。

 

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 参考資料
◆厚生労働省 

①障害児支援施策 
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000117218.html

②放課後等デイサービスガイドラインについて放課後等デイサービスガイドラインについて
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000082831.html

③統計情報
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/toukei/index.html

④平成30年(2018年) 放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況(平成30年(2018年)5月1日現在)
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000189556_00001.html