言語聴覚士は放課後等デイサービスで何ができる?

放課後等デイサービスで言語聴覚士(ST)としてできること、役割を探っていくブログです

怒ってばかりに子への対策!「終わり(終点)」を理解することが大切だった

怒ってばかりの子は短気なのか?対応を考えてみよう

遊びや活動に誘っても、それを見もせずに怒って振り払ってしまう子がいます。

・この遊びは好きじゃないのかな?

・なにか怒っているのかな?

そう思ってしまうかもしれません。

 

ちょっと待ってください。

本当にそうなのでしょうか?

好き嫌いでも、気分の問題でもないかもしれません。

「分かっていない」だけという可能性もあるのです!

 

分かっていない?

 

分かっていなかったらなんで怒るのでしょうか?

 

ここでは障害を持つ子が遊びや活動に向き合えない原因について説明します。

さらに「終わり(終点)」を理解することで子どもの様子が変わってくることもお話しします。

 

 

 

 

 

 

応じられない理由とは?

障害を持つ子と一緒に遊ぼうとしても突っぱねられてしまうことがあります。

その子が拒んだのには理由があるはずです。

 

ex.

・ただ嫌いだった

・他のものに意識が向いていた

・そんな気分ではなかった

・どうすればよいか分からない

・何をされるのか分からない

 

気分が原因のこともあるでしょう。

しかし、それは子ども本人にしか分かりません。

だとしたら支援者は別の理由も考えておく必要があるはずです。

 

・どうすればよいか分からない

・何をされるのか分からない

 

遊びに誘われた。

しかし、なんだかよく分からない。

何をすればいいんだろう?

いつまで続ければいいんだろう?

 

発達が初期段階の子たちは、こういった思考で世界を見ていることが多くあります。

そのように考えていくと一つの仮説が見えてきます。

それが「終わり」が分からないからという理由です。

 

 

終わり(終点)とは?

そもそも「終わり」とは何なのでしょうか?

 

終わる

(時間的・空間的に)続いていた事象が完結すること。

広辞苑 第七版(岩波書店)より

 

 

 

 

 

 

なぜ「終わり」が関係あるの?

先ほど、「終わり」を理解できていないと、大人からどんなに楽しそうな遊びに誘われても拒むことが多い、というはなしをしました。

「終点(しゅうてん)」とも呼ばれる「終わり」。

「終わり」の何が拒む要因となるのでしょうか?

 

下記の例をみてください。

 

ex. 大人が玩具を持ってきた

嬉しそうに大人が「ほら遊んでみなよ」と差し出します。

しかし、どう使ったらよいか分かりません。

どこまで触っていいのか?

いつまでやればいいのか?

これがいつまで続くのか?

子どもも不安でいっぱいになるはずです。

そのため遊びを拒んでしまう。

 

発達が初期段階の子は、まだ「終わり」という概念(ルール)が理解できていないことがあります。

どんなことも「ずっと続く」と考えているのかもしれません。

楽しいことならいいのですが、すべてが楽しいとも限りません。

 

だからこそ「終わり」という概念(ルール)が分からないとつらいのです。

いつか必ず「終わる」と分かっていれば、提供された遊びや活動に対する意識も違うはずです。

 

 

「終わり(終点)」理解のメリット

ここでは「終わり」の概念を理解することのメリットを紹介します。

 

ポイント!

① 関係性の理解 

② 予測の理解

 

① 関係性の理解

「終わり」を理解していくと関係性に気づくようになってきます。

関係性というのは

・自分が動いたことによる変化(因果関係)

・自分はいろんな動きができる(動きの方向性)

のような物事の変化や関係のことです。

 


因果関係の発達

◆1ヶ月~

自分の動きに興味をもつ

◆4ヶ月~

動きだけではなく結果に興味を持つようになる

◆12ヶ月~

動きやが違うと結果も変わってくることを理解するようになる

 

■詳しくはこちらの記事もご覧ください

www.hana-mode.com

 

② 予測の理解

予測とは次に何が起こるか理解できるということです。

そのためには「終わり」を理解する必要があります。

「終わり」がくれば次は「始まり」が来ます。

 

「終わり」を理解すると「次」を意識するようになると言えます。

 

ex. いないいないばあ

「いないいない・・・」で顔を隠す(始まり)

「ばあ」で手をどけて顔を見せる(終わり)

 

この一連の流れを楽しむようになることで「次」を期待して待つようになります。

そういった経験の積み重ねが「予測する力」を育むのです。

 

 

「終わり」の種類

この「終わり」ですが、いくつか種類があります。

・感覚

・長さ

それではみていきましょう。

 

「感覚」による種類

使う感覚によっていくつかの種類があります。

 

 視覚 

視覚(目で見ること)

見えなくなった、動かなくなった、等で目に見える変化に気づく。

ボールが見えなくなったり、止まったりすることが「終わり」となります。

 

 聴覚 

聴覚(耳で聞くこと)

音の「終わり」です。

この場合、音が止まったら「終わり」。

 

 触覚 

触覚(手で触ること)

触って感じる「終わり」です。

型はめ(パズル)でピースが穴に「カチン」とはまった。

この「はまった!」が感触の「終わり」。

 

それ以外にも「揺れ(前庭覚)」「行動」など、感覚や動きにも「終わり」があります。

それぞれ経験しないと理解することもできません。

 

子どもは物事を直観的に理解でき量になるわけではありません。

理解にも順序があるのです。

・触って理解する

・見て理解する

まずは触らないと理解できないのです。

 

パズルをするとき、明らかに入らなそうな穴にもピースを押し込もうとしたりしまうよね?

あれが「触って理解する」段階(=まだ目で見るだけでは理解できない段階)なのです。

 

 

「長さ」による種類

「始まり」から「終わり」までの長さはものによって様々です。

イメージしやすいのは 100メートル走。

ヨーイ、ドンで走り始めて、ゴールで「終わり」となります。

それ以外にも様々な長さの「終わり」があります。

 

 長い 

例えば「学校の授業」。

1時間や1時間半で「終わり」ます。

この場合、終業のチャイムが鳴ったら「終わり」です。

 

 短い 

例えば「ボールを箱に入れる」。

ボールが箱に入って下に落ちたら「終わり」です。

箱を缶にすると「ゴトン」という音がするので「終わり」が分かりやすくすなります。

 

長さも、その子が今いる発達段階によって異なります。

発達が進んでいくほど(時間的に)長い状況も理解し続けられるようになっていくのです。

まずはすぐに「終わる」ことが理解しやすいと言えます。

 

 

「終わり」理解を促すために

「終わり(終点)」理解を深めていくためには、分かりやすい「終わり」をたくさん経験することです。

 

ex.

・球を缶の箱に落とす

・楽器遊びで急に音を止めてみる

・型はめ

・スイッチの玩具

などなど

上記の他にもシンプルな遊びや玩具はたくさんあります。

ぜひ子どもと一緒に楽しんでみてください。

 

 

注意点

★発達初期段階の子に複雑な遊びや玩具を与えない

どうしても大人は楽し気な玩具を選びたがります。

光ったり揺れたり喋ったり。

いろんな機能が備わった玩具がたくさんあります。

子どものためを思って、なので仕方がない。

 

しかし、子どもにとって難し過ぎる玩具だと楽しむことはできません。

せっかくなので、子どもの発達に合った玩具を提供しましょう。

 

発達初期の子に「合った」玩具とは

・シンプル

・変化が分かりやすいもの

・操作が簡単なもの

 

市販の玩具でなくてもOKです。

ちょっと重さのあるボールを缶の箱に入れるだけでも充分に楽しい遊びになるのです。

 

 

まとめ

今回は、なぜ遊びに誘ってもすぐに拒む子がいるのか?

それが「終わり」の理解と関係しているとはどういうことなのか?について説明しました。

 

子どもが「終わり」を意識するようになれば

・物事の変化

・予測の理解

という大切な力も育ってきます。

目の前の大人とも向き合えるようになるきっかけとなります。

 

このことを念頭において子どもと接してみてくださいね。

支援の幅が広がりますよ。

よかったら参考にしてみてくださいね。

ポイントは大人が思っているよりも単純なものを子どもは喜ぶです!