発達障害に似ているものがある?
ここ数年で知名度が上がってきた発達障害。名前は知っているけれど、中身はよく知らないという人は意外多いです。発達障害と間違われやすいものがあります。知的障害、ギフテッド、HSP。これらのと発達障害の違いが分かりますか?
今回は発達障害と似ているものに関するはなしです。
発達障害とは?
発達障害と聞いてイメージするのは自閉症が多いと思います。しかし、それ以外にもたくさん種類があります。まずは発達障害とは?ですが・・・
発達障害の定義
発達障害とは
自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるもの
「発達障害者支援法(2016年改正)」
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/main/1376867.htm
基本的に小さいころに発見される障害です。症状によっては見落とされるケースがあります。そのため「通常低年齢において」となっていると考えられます。
アスペルガーってなくなったんじゃないの?
そう思われる人もいるかもしれません。それは米国のDSM-5(ディーエスエム・ファイブ)での分類のはなしです。他国ではアスペルガー症候群という診断名を使っている国もありますし、日本の厚生労働省で採用されているICD-11(アイシーディー・イレブン)ではいまだにアスペルガー症候群があります。
発達障害の種類
・ 知的障害(知的能力障害)
・ コミュニケーション障害
・ 自閉スペクトラム症(ASD)
・ ADHD(注意欠如・多動症)
・ 学習障害(限局性学習症、LD)
・ 発達性協調運動障害
・ チック症
※DSM-5の分類
発達検査と間違えやすいもの
発達障害の基準はあるのですが、健康診断の数値のような判断ではありません。
そのため、普段から発達障害の子たちと関わっている人、もしくは勉強している人でないと「発達障害」と「それに似たもの」の違いが分かりにくいと思います。
では、似たものはどんなものがあるのでしょうか?
① 知的障害
② ギフテッド
③ HSP
間違われやすいはこの3つが多いです。それでは、それぞれを見ていきましょう。
知的障害
精神発達遅滞、知的な遅れ等、いろんな呼び方があります。
◆発達障害との違い
DSM-5の分類では「発達障害」の中に「知的障害」があります。ここで注意したいのがすべての発達障害に知的障害があるわけではないということです。これを知らない人がけっこういます。いわゆるアスペルガー症候群や高機能自閉症、学習障害などは知的障害がありません。
IQに関してはこちらの記事をご覧ください
⇒ IQと知的障害。子どもを理解するためにうまく活用しよう
ギフテッド
先天的に高い能力を持った人のこと。IQが高いだけではなくて・・・
・IQが130以上
・興味のあるものに熱中する
・高い成果を出す
という人たちを指します。障害や疾患ではなく、定義がはっきりとしていません。
通常よりも高い潜在能力を持っていますが、一般的な教育では効果が上がらない子です。
すべての能力が高いわけではありません。
・ 文字が読めない
・ コミュニケーションをとるのが苦手
・ 完璧主義
・ 孤立
などの発達障害に似た症状や能力面で凸凹がみられます。その個人差は大きいです。一般的な教育では補いきれないことが多いのです。
◆発達障害との違い
ギフテッドの人(子)の中には発達障害を併発しているケースがあります。学習障害(LD)、ADHD、自閉症(ASD)などを併発している子は2E( 二重に特別/twice-exceptional)と呼ばれます。
ギフテッドに学習障害が併発するはずがない、という周囲の思い込みに苦しめられる人(子)も多いようです。
HSP
HSPとは生まれつき持っている繊細過ぎる人たちの個人の特性(気質)のことです。米国のエレイン・N・アーロンが提唱して考え方です。
HSP(The Highly Sensitive Person)
HSC(The Highly Sensitive Child)
Cの方は繊細過ぎる子ども。もしくは子ども時代をさします。
特徴として
・ 他人に共感することができる
・ 物事を深く考えることができる
・ 感覚がとても敏感
・ とても慎重
・感情や想像力が豊か
一方で
・相手の言動の意味を考えすぎてしまう
・頑張りすぎる
・罪悪感や責任感を感じすぎてしまう
・先のことを考えておびえがち
そのため、毎日の生活の中で気疲れしてしまいがちです。
これは障害や疾患ではなく個人が持つ性質(気質)です。
◆発達障害との違い
発達障害は障害、HSPは気質ですから異なるものです。
しかし、状態によっては合併しているケースはあるといわれています。
・自閉症とHSCは少ないのでは?
⇒ 自閉症は他者の気持ちを捉えるのが苦手ですが、HSP/HSCは過剰なほど感じ取ることができます。
・ADHDとHSCはありえるのでは?
⇒ 周囲の気持ちを感じ取ってしまい、衝動的に動いてしまうタイプなど
まとめとして
障害や疾患の名前や分類は、年々増えています。逆にアスペルガー症候群のように消えてしまうものもあります。
障害児者に関わっている人でもアンテナを張っていないと新しく情報は入っていきません。古い情報、しかもあやふやな知識では人様に助言はできません。
なんだかこの障害は〇〇と似てるな、と感じたら決めつけるのではなく、可能性を考慮することが、その子にとって大切なのではないでしょうか
呼び方に関してはこちらの記事をご覧ください
参考資料
◆e-ヘルスネット 発達障害
厚生労働省
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-049.html
◆2Eの児童・生徒への支援について
ー社会からの支援が得られていない子供達ー
どんぐり発達クリニック
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/mirai_kyoshitsu/pdf/009_03_02.pdf
◆知的ギフテッドの子どもの持つ特別な教育的ニーズの理解
―特別支援教育の「個に応じた学習」を用いたインクルーシブな才能教育―
日高茂暢
http://portal.dl.saga-u.ac.jp/bitstream/123456789/124434/1/hidaka_202001.pdf
◆HSP診断テスト
https://hsptest.jp/
◆HSP/HSC(敏感すぎる人)のカウンセリング
心理オフィスK
https://s-office-k.com/complaint/hsp_hsc