言語聴覚士は放課後等デイサービスで何ができる?

放課後等デイサービスで言語聴覚士(ST)としてできること、役割を探っていくブログです

発達検査や知能検査を受けたら次回の検査までどのくらい間隔をあければいい?

検査と検査の間隔をあけること

病院や施設で発達検査や知能検査を受ける子はたくさんいます。1回目は医師や周囲の人たちから言われるままに検査を受けた。しかし、次回受けるには、どのくらい間を開ければよいのでしょうか?

今回は、次回検査までの間隔についてのはなしです。 

 

 

 

発達検査はどのくらいの頻度で受けるのがいい?

 

考え方によって異なるのですが、一般的には

1~1年半もしくは2年は間をおく

ということが推奨されています。

 

 

なぜ次の検査までの間をあける?


ではなぜ次回の検査まで間をあけるのでしょうか?一番の理由としてあげられるのが子どもが検査の内容を覚えているからです。

 

数ヶ月に一度というようなやり方だと、子どもが内容を覚えてしまいます。検査の数値も正確なものが出せません。

 

そのため、どの検査でも1年もしくは2年はあけるようにしているのです。

では、こんな場合はどうでしょうか?

・毎年受けるのはどうなの?
・1年前でも覚えているんじゃないの?

 

 

検査を続けてやると学習してしまう


『再検査におけるIQの変化の調査(村山他)』によると

・4年間くらいは学習の効果がみらた
・特に6ヶ月くらいまでは学習効果が大きい
(IQの上昇を学習効果と仮定したとき)という研究があります。この研究結果から検査後、半年で再テストを行うのは意味が少ないということがわかります。

 

さらに『WISC-Ⅲの再評価間隔妥当性に関する研究(岡田)』では、

知能検査であるWISC-Ⅲでは、練習効果を避けるためにも2年はあけたほうがよいとしています。

 

 

すべての検査に「次回検査までの間隔」が決まっていないのは何故?

 

次の検査まで「○年あけてください」と明記されている検査もあります。実際に統計を取って確証をえているのだと思います。

たとえば、ほとんどの子は、1年あけていれば内容は忘れている。という研究結果が出ていたとします。しかし、全員ではありません。少人数ですが、なかにはまだ覚えている子もいるということです。

何年後なら完全に大丈夫と言い切れないものなのです。

 

 

検査は万能ではない


検査では、慣れない場所で慣れない人と一緒に課題をやらされます。なかには、面白がってやってくれる子もいますが、子どもにとって負担となるものです。

 

本当ならば、実際に子どもと接してみて、反応や様子をみながらその子のいまの状態を読み取っていくことが理想です。しかし、全ての支援者がそれを出来るとも限りません。もちろん私もそうです。だから、検査をつかって、数値や過程から実態を探っていくのです。


なかには検査を取って「お前の実態を暴いてやる!」くらいの勢いの人もいます。しかし、検査は万能ではありません。子どもの体調や状況によっても結果の数値は前後します。そのため子どもが検査を受けた「その時点での力」しか分からないはずなのです。謙虚にいかけないといけない。


ごめんね。検査を取らせてね。君のことを少しでも理解できるようにするからね。

くらいの気持ちでないと。

 

 

ポイント!  

・厳密には決まっていない

・同じ検査を受けるときには少なくとも1,2年はあけた方がよい

・あまりに続けて受けると前回の検査内容を覚えている可能性がある

・1回受ければ子どもは何かしらが頭に残っている可能性がある。検査者はそれを忘れないようにする!

 

 

 

  参考文献

◆WISC-Ⅲの再評価間隔妥当性に関する研究
https://kaken.nii.ac.jp/file/KAKENHI-PROJECT-20530620/20530620seika.pdf

◆周産期の質と安全の向上のための研究
3歳フォローアップ Q & A・資料集
http://www.nicu-intact.org/documents/3yr_follow_qa-v2.pdf

◆アセスメントについて
独立行政法人 国立特別支援教育総合研究所
http://forum.nise.go.jp/soudan-db/htdocs/index.php?key=muw7g4kzh-477

◆再検査におけるIQの変化の調査
http://www.boshiaiikukai.jp/kiyo_pdf/138.pdf