言語聴覚士は放課後等デイサービスで何ができる?

放課後等デイサービスで言語聴覚士(ST)としてできること、役割を探っていくブログです

発達検査の結果は聞いた?説明を受ければ子どもへの理解が深まる!

発達検査の結果が出たら説明をしてもらえるのか?

 

発達に遅れやつまずきがある子に対して発達検査を行うことがあります。検査を行うイコール障害があるというわけではありません。しかし、検査を行ったからには結果が知りたい。そもそも発達検査の結果って誰がどうやって教えてくれるものなの?今回は発達検査の結果についてです。

 

今回は2つのことをおはなしします。

① 検査を行う意味
② 検査結果の説明を聞く意味

 

実際に検査を受けた人やこれから受ける人、もしくは検査を行う新人の人に向けて。

 

 

 

検査って意味あるの?

病院や施設では発達検査を受けることができます。しかし、ひとつの検査で子どものすべてが分かるものなんてありません。

 

検査の目的って?

検査をすることイコール障害を診断することではありません。特に発達障害は実際の行動観察が欠かせません。あくまで検査結果は診断の補助的な役割です。
検査をすることで子どもの特性がみえてきます。それが子ども理解につながります。

・障害があるかもしれない子
・障害を持っている子

のことを少しでも理解していくための手段なのです。

 

 

発達検査と知能検査の違い

発達検査
⇒ 認知面、身体面、対人面などを調べるもの。検査によっては発達の領域間の凸凹がわかる。

知能検査
⇒ 知的指数(IQ)を調べるもの

※検査結果には、検査実施の「その時点」の力しか現れません。体調や情緒、環境などによっても結果は左右されます。

 

 

発達検査の問題点

発達検査をうまく使うことができれば子ども理解のための大きな武器となります。しかし、下記のような問題があります。

・扱い方のルールが曖昧
⇒ 誰がどのように実施すればよいのか?結果は誰がどのように伝えればよいのか決まっていません。

・数値に振り回される
⇒ 発達検査は「この領域の発達年齢が□歳だから○○障害」という判断はできません。血液検査とは意味合いが違うのです。

・結果が強すぎる
⇒ 「こういう結果だから□という状態なの」と示されると、検査を扱わない職種の人は恐縮してしまいます。あくまで検査実施時の状態であり、教本通りに検査を行ったとしても解釈自体が正しいとは言い切れません。

  

 

検査を学ぶ目的

そもそも発達検査って誰がやるのでしょうか?小児の施設では心理職がやることが多いです。ついで言語聴覚士(ST)。意外かもしれませんが作業療法士はペーパーのテストはあまりとらないです。(なかにはとっている先生もいらっしゃるとは思いますが)


ちなみに、言語聴覚士の養成校では、様々な検査の勉強をします。将来、成人の施設で働きたいと思っている人も小児の検査のことを一通り学んでいます。


検査を学ぶ理由は、結果を支援に活かすためです。

・検査を実施する
⇒ 自分が検査者として検査と取れるようになるため

・検査結果を説明する
⇒ 他施設で受けた検査結果を見て保護者に説明できるようになるため

 

 

検査を説明する

検査結果が出たら保護者に結果を伝えます。病院と施設ではその流れが異なると思われます。

 

病院の場合
⇒ 検査の結果が出たら、それをもとに医師が説明する

施設の場合
⇒ 検査をした人もしくは担当者が説明する

 

すべてがこの通りではないですが、

・医師がいるかどうか?
・説明する係がいるのか?などによっても変わってきます。

 

その施設に専門職が一人しかいない場合には、自分で検査をして、まとめて、説明して、というのが一連の流れになります。

 

 

こんなパターンも

保護者の方が外部で受けてきた検査結果の用紙を持ってくることがあります。

だだ結果の紙を渡されました。説明がありませんでした。もちろん結果の見方も分かりません。

 

このパターンは意外と多いです。こういうときは、ぜひ説明してください。
本当に数値しか書かれていないときは、それなりの説明しかできません。
しかし、できる限りのことはしてあげたい。

 

数値から傾向くらいは話せると思います。
説明をする役割の人がいればよいですが、検査だけ取って説明もしないって・・・どういうことなんでしょう。

 

実際に検査を取る職種は様々です。いろんな考え方の人がいます。役割もさまざまです。丁寧に説明をしたいけれど、できない立場の人もいるのも事実です。

 

 

数値がすべてではない

発達検査と聞くと、

子どもを評価されていると感じてしまうかもしれません。しかし、

子どもを理解するための「情報」が増えたと考えれば発達検査も捨てたもんじゃありません。

 

検査至上主義になる必要はありません。
検査を毛嫌いする必要もありません。

 

せっかく子どもが受けてくれた検査です。それが無駄にならないよう、今後の支援に活かすくらいのスタンスでいるのが一番です。

 

いま、どんな状態なのか?検査で分かったことを保護者に伝えていく。もちろんショックを受ける親御さんもいると思います。しかし、何も教えてもらえない方が余計に気になりますしショックなのではないでしょうか? 

 

 

まとめとして

検査だけでは子どものすべてを捉えることはできません。しかし、子どもへの理解のきっかけにはなります。普段から目につきやすい問題行動ばかりに着目するのではなく、

・なぜそれが起きているのか?
・発達のどこが関係しているのか?

という視点が大切なのです。

 

検査は受けたけれど、説明はもらえなかった、もしくは一言で済まされた、という人もいるかもしれません。その場合は、しっかりと説明を受けられるかどうか確認を取ってみるとよいです。可能ならば、その検査を実施した検査者からの説明が理想ですが。

 

今回は2つのことをおはなししました。

① 検査を行う意味
② 検査結果の説明を聞く意味

どちらも大切なことです。検査を受ける人も、検査を行う新人の人も、少しでも頭の片隅に置いていただけたら、と思います。

 

ポイント!

検査結果の説明は頼めばやってくれるところもある!
⇒ お金が別途かかるところもあるけれど、説明は聞くべき

 

発達の凸凹を把握する
得意なこと、不得意なこと、それによって起きていることを理解する

 

検査の数値に振り回されないようにする
⇒ 少しの変化は誤差の可能性大!

 

 

 

余談
まれに保護者の方がオージオグラム(聴力図)を持って来て説明を求めることがあります。言語聴覚士といっても聴力分野で働いている人以外は忘れがちなので気をつけておきたいポイントです。


この記事でも紹介しています。

オージオグラム(聴力図)の説明の仕方。ポイントをおさえて伝えられますか?