言語聴覚士は放課後等デイサービスで何ができる?

放課後等デイサービスで言語聴覚士(ST)としてできること、役割を探っていくブログです

協応動作と協調運動の違いは?「他と協力する」という用語の整理

協力、協調、共同などの意味の違いと「協応動作」の発達を知ろう!

療育や教育などの障害児・発達の分野では専門用語が多くあります。

「何かを一緒にやる」という意味のことばでも似たようなことばがたくさん。

 

「協力」「協応」「協調」「協同」「共同」「同調」・・・

 

なんとなくは分かる。しかし、細かい意味の違いや使い方が分からない。それぞれ、どのような違いがあるのでしょうか?

 

 

今回のポイント

 今回は各用語の違いと

・協応動作
・協調運動

について説明します。

 

 

発達分野における用語の違い

 下記はすべて他のものとあわせるというときに使うことばです。

 

協力(きょうりょく):

力を合わせて事にあたること

 

協応(きょうおう):

異なる器官や機能が協力し合って、それらがかみ合って働くこと。
手と目、右手と左手などのバラバラに動くものをひとまとめにすること

 

協調(きょうちょう):

利益や立場が違うもの同士が協力し合うこと

 

協同(きょうどう)

複数の人または団体が、力や心を合わせて物事を行うこと。
お互いに目標に向けて進んでいく
ex.協同組合

 

共同(きょうどう):

2つ以上のものが力をあわせて行うこと。目的や用途が同じ物事。「協同」と同じ
ex.共同購入、共同注意

 

同調(どうちょう)

調子を他のものとあわせること。同じ調子である物事。物事を合わせるだけ
ex.同調圧力

 


・「同調」は他にあわせるだけ。その他は目標に向けて進む

 

 

協応動作(きょうおうどうさ)

「手と目と手の協応」のように、何かと何かを一緒に使う、という意味で使うことが多いです。 

 

「協応動作」と「協調運動」の意味

様々な動きをまとめて一つの動きをつくることを

・協応動作(きょうおうどうさ):
・協調運動(きょうちょううんどう):

といいます。「協調運動」のひとつとして「協応動作」があります。 

療育・教育の分野では「協応動作」と「協調運動」は同じ意味で使われることが多いです。 

手や目、筋肉などの身体の各部分は本来別々に動きます。これらの動きが互いに調整しつつ、一つの運動・動作をつくりあげること。全体としてなめらかで調和のとれた動きになるのです。

ex. 縄跳びやスキップ、ボールを蹴ることなど

 

 

協調運動
⇒ 複数の動作を同時に行う運動の機能のこと

この機能がうまく働かないと不器用だったり動きがぎこちなくなったりしてしまう。

ex. 食事、着衣ことば、文房具や楽器の使用、まっすぐ座るなど

 

 

協応動作
目と手、口と手など、それぞれの器官や部位が機能を発揮しながら総合的に適切な行動をすること。

ex.  手と目の協応

 

 

手と目の協応

身体の各部位がそれぞれ動いていくことで一つのことを成し遂げる。この目的に向かって調和のとれた動きが「協応動作」と呼ばれている。

 

「手と目の協応」

目や手を別々に使ってもうまく操作することができません。一緒に使うことでひとつの動作が成り立つのです。

例えば、積み木をつみ上げるには「手を動かすこと」と「目で見ること」が必要です。

 

目で見ること
・見ることで積み木の場所を把握する

手を動かすこと
・積木を移動させる
・場所を間違えたら手を使って修正する

 

 ※「手と目が同じ目的のために動いて協力しあうこと(協調)」が「積み木を積むという動作(協応)」になるのです。

  
すぐにできるものではありません。手や目など、それぞれの発達が進んでいることも重要なポイントとなります。

 

「目の発達」と「手の発達」。どちらも必要なのです!

手(運動・操作)の発達はこちら

目(視覚)の発達はこちら

 

 

ちなみに・・・

「協応動作」と「協調運動」と似たことばが他にもあります。

 

共同運動
⇒ 脳梗塞や外傷による後遺症の一つ。力を入れると肩や肘、手が同じ方向に動いてしまうこと。発達の分野、特に療育や保育ではあまり出てこない用語です。

 

  

身体をうまく使えない子への支援・配慮

今回は「複数の動きをまとめる」という意味のことばを紹介しました。

私たちはふだんから無意識でいろいろな動きをしています。身体のいろんな部分が協力し合って、より高度な動きや運動ができているのです。

障害があったり、発達が遅れていたりすると、動きをまとめることができず、ぎこちなく不器用になってしまうこともあります。

 

縄跳びが苦手な子がいたら、跳ぶことだけを練習するのではなく

・ちゃんと目を使っているか?(見ているか)
・手首を回すことはできているか?
・同時にできるか?

などの動き一つ一つにも目を向けてあげられるとよいです。

 

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