言語聴覚士は放課後等デイサービスで何ができる?

放課後等デイサービスで言語聴覚士(ST)としてできることを模索しています

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Ⅲ水準(知覚運動水準)とは

ステージIII 知覚運動水準

 

これまでの段階では、比較的容易な感覚刺激である「触った感じ(触覚や固有覚)」や「揺れ(前庭覚)」といった初期感覚から情報を受け取ることがほとんどでした。

Ⅲ水準になると、少しずつ目や耳を使うようになってきます。また、動き(運動表現)も増えてきます。

 


感覚と運動がつながり始める

少しわかりづらい言い方ですが、この段階では、感覚と運動のつながりが芽生えてくる時期です。
例えば、振ると音が出る玩具。そこから出てきた音に気づくと、その音を聞きたくて自分でその玩具を振って音を出そうとします。「聞こえた(聴覚)」という感覚から、実際に振るという運動がつながって出てきたということです。

この「玩具を振る」→「音が鳴る」という行為は、自分の行為と結果の因果関係でもあります。

 

 


手をよく使うようになる

様々な物に対して手が出るようになってきます。さらに、手の使い方も変わってきます。これまでは「触れる」動きがほとんどだったのが「叩く」ようになり、「滑らせる」「押し続ける」といった動きが出てきます。

この時期の子どもに渡す玩具のポイントは「つかみやすさ」「はなしやすい大きさ」「適度な重さ」です。子どもの手よりも少しだけ大きい木のボールなどが考えられます。

しっかりと握ることができるもの。小さ過ぎると今度は手を離せなくなってしまいます。また、それが重過ぎると落としてしまいますし、軽過ぎると握った実感が薄れてしまいます。

 

 


目を使って自分の動きを調整するようになる

手を使って物を操作することが増えてきました。物を操作するときに、うまくいかないこともあります。

例えば、玩具を手元に引き寄せようとしたときに、何かに引っ掛かって止まってしまったとします。そのときに(瞬間的にですが)チラリと対象物に視線を向けて、引っかかっているのを取るために、さらに強く引いたり、別の角度から引いたり、というように自分の動きを調節し始めます。

この「目で見て動きを調節すること」は、「見比べ」「選択する」ために欠かせない力です。

 

 


終わり(終点)の理解と運動の関係

また、運動を調節するということは「最終的にどのような状態に持って行きたいのか?」という「終点」に向かうということです。

実際に手や身体を動かしたり、耳で聞いたり、目で見たりしながら「終わり」に気づいて、そこへ向かっていく。

「何がどこで終わったのか?」ということに実感が伴うと理解しやすくなります。

遊びや教具では「入れる」ことが分かると、できることが拡がっていきます。終点が分かってくると意図的で自発的な動きがでてきます。これも外の世界(外界)へ意識を向けるための第一歩です。

終点の理解は、大人も子どももなかなか難しいです。

特に支援者の「ことばの選び方」「タイミング」などが終わりの理解を妨げてしまうことも・・・。

セリフや口調がダラダラしてしまうと「いつ終わったのか分からなかった」という事態が起こりやすいです。

これは障害がない子でも同じ。声かけの際には気をつけたいです。

 

 

 

 ***

Ⅰ水準・Ⅱ水準・Ⅲ水準まとめ

 

それでは、これまでのおさらいです。

感覚と運動の高次化理論では発達を5層8水準に分類しています。そのなかでも発達初期と呼ばれる1層(Ⅰ~Ⅲ水準)についてです。

 

 

自分の世界から出られない!どうやって出ていく?

私たちの周りにはたくさんの感覚刺激があります。それらの刺激にはたくさんの情報が含まれています。発達初期の段階の子は、それら感覚刺激を受け入れることが苦手で、周囲の世界に気づいていないことがあります。そのため自分の内側へと意識が向かいがちなのです。

 

 

外の世界に気づけばいいんじゃない?

外の世界に気づくためには、まずは感覚刺激を受け入れられるように必要があります。発達初期の子でも分かりやすい感覚刺激―――触覚や振動など―――を通して、感覚を受け取る練習をしていきます。

最初のころは、上手く刺激を受け取ることができずに拒否することがあります。それは感覚過敏と間違えやすいので注意が必要です。

それは「未経験からくる過敏性」です。生理的な過敏とは異なり、受け入れる経験を重ねると過敏が弱まってきます。

 

 

 

 外の世界へ意識を向けるよう

姿勢を調整しつつ、玩具や教材を活用しながら、手を使うことや使い方の経験を重ねていきます。

その際、その子にとって「終わり(終点)」が分かりやすいように設定することが大切です。そして、操作をしながら終点へと向かえるようにしていきます。

それが、視覚や聴覚などを使いながら、能動的に外の世界(外界)に向かうということです。初期感覚を通して、自分と外界の境目に気づいていくことが大切です。

「反応を引き出す」ことだけを目的にするのではなく、それまでの上記のような過程をしっかりとおさえていきます。玩具や教材を与えるだけでは何も拡がりません。

 

 

 

子どもの原則って?

子どもたちにも、その子なりの原則(ルール)が存在します。

それは、ただの「こだわり」ではなく、その子が今いる発達段階の土台となるものです。発達初期の子はまだ他の原則を受け入れることが難しいです。

そのため、支援者が子どもの原則に合わせることが欠かせません。

子どもの原則に合わせて何でも言うことを聞く、ということではありません。

「この子は、この感覚刺激なら気付きやすい。でも刺激が複雑になると気持ちが逸れやすい。だったら、こういうやり方で支援を組み立てていこう」という支援の方向性を作る、ということです。

 

 

 

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参考資料