放課後等デイサービスの言語聴覚士です
障害児保育の現場では、様々な職種の人が働いています。放課後等デイサービスは、というと、保育士や教員免許保持者が目立ちます。リハビリ職、特に正職員として働いている人に、ほとんど会ったことがありません。「言語聴覚士って何?」「PT、OT、STの違いって何?」と聞かれて答えられる人は少数なのではないでしょうか。
これまで、放課後等デイサービスには、リハビリ職はほとんどいませんでした。2012年4月から児童福祉法が一部改正され、放課後デイサービスが新たに法制化されました。その時に国が「重心の子を通わせたいなら看護師とリハビリ職を配置しなさい」と言ってきたのです。
「言語聴覚士」という名前とその存在だけは知ってくれている人は時々いますが、今までにSTと一緒に働いたことがあるという人は稀です。
「どんなに喋れない子でも話せるようにできるんですよね」
と無茶なことを言われることもあります。そういう時、私は「その子の発達の状況をみながら、その子が少しでも“生きやすく”なれるようにコミュニケーション面での提案やお手伝いはできます」と返すことが多いです。
ちなみにSTとは、【ことば】や【聞こえ】【食べること】に、つまずきのある子に対してお手伝いをする職種で、子どもの発達状況をみながら、その子の“コミュニケーション面”や“認知面”の発達のお手伝いをします。
放課後等デイサービスで言語聴覚士は”STらしい“仕事が出来る?
新卒で、STの資格を取ったばかりの人が、放課後等デイサービスで働くケースも、少しずつではありますが、増えて来ました。セラピストとして「STらしいことをしたい」と考えている人も多いと思います。 一般的に「小児のSTらしい仕事」というと、「言語訓練や発達検査をバリバリやって、いろんな相談を受けて、助言をして・・・」を思い浮かべると思います。 しかし、放課後等デイサービスは、“保育”がベースとなるところです。言語訓練として、個別に対応出来る施設の方が少ないです。もしも、訓練を中心にやりたいのであれば、病院や未就学児の施設で働いた方が、納得できると思います。
まだ可能性がたくさんある放課後等デイサービス
放課後等デイサービスは、始まって日が浅い分野です。やりようによっては、自分が「やりたいこと」を進めていくことも出来ます。まずは、「ことばに関することはSTに」「食事に関することはSTに」と、ひとつでもいいので、STの仕事・領域を周囲の保育スタッフに知ってもらうことが大切です。そして、「これだけは、どの(保育)スタッフにも負けない」「この人に任せても大丈夫」と思ってもらえると、その施設で“出来ること”が増えていきます。いかに、保育メインの現場で、自分の分野を活かせるか?
どんな業務内容なの?
はっきりいって、その事業所ごとで異なります。
「実際の保育スタッフとして保育に参加」
「専門職として一歩引いた位置で保育に関わる」
上記の2つのパターンが多い印象を受けます。どちらにしても、子どもを評価するとき、支援計画をつくるときは、言語聴覚士としてかかわっていきます。
これは、私が実際に参加しているときの例です。少し前のはなしですが。
STの苦悩
放課後等デイサービスで求められることと、言語聴覚士としてやりたいことのギャップに苦しんでいるSTは、意外とたくさんいます。
・個別訓練が出来ない ・療育的な考え方を受け入れてもらえない ・保育スタッフの頭数として使われている
などなど。放課後等デイサービスは、保育がメインと考えるスタッフが多いです。確かに、いろんな意味でメインだと私も思います。しかし、多角的な視点の重要性は、様々なところで叫ばれています。
自分から歩み寄ってみよう
STが、自分は何もしなのに、「STの全てを分かってもらいたい」というのは、いささか虫が良過ぎます。自分から歩み寄っていかないと、何も変わりません。まずは、保育職の立場に立ってみる。そこから、
・何に困っているのか?
・どんな知識を伝えるとよいのか?
少しでも保育職に歩み寄っていく姿勢が大切。保育内容を良くしていくために、ほどよく助言をしていく。出しゃばり過ぎない取り組みを続けていると、不思議と味方になってくれる保育スタッフが現れます。STの必要性を分かってくれる保育スタッフが増えると、断然、仕事がやりやすくなります。
味方になる・見方をみつける
もしも、同僚や後輩のSTが悩んでいたら、“味方”になってあげて下さい。もともと、同職種は仲間です。そこから、もう少し歩み寄って“味方”になるのです。一緒に「放課後等デイサービスの中で出来ること」を探ってあげて下さい。一番近くにいる人が味方になってくれるのは、本当に心強いものです。
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