なぜ放課後等デイサービスに専門職が集まらない?
最近、名前が知られるようになってきた放課後等デイサービス。働いている人は保育スタッフが中心です。法律も整理されはじめてその他の職種も増えてきました。看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士など。しかし、それらの職種は募集してもなかなか集まらないのが現状です。今回は、なぜ放課後等デイサービスの施設が保育職以外の職種(専門職)を募集しても集まってこないのかを説明します。
放課後等デイサービスとは?
放課後等デイサービスとは、障害を持った子が通う施設です。
放課後や学校が休みの日に集まって遊んだり活動したりしています。
ここでは保育スタッフを中心に様々な職種のスタッフが働いています。
最近は医療職やリハビリ職も増えてきました。
・看護師
・理学療法士(PT)
・作業療法士(OT)
・音楽療法士(MT)
・言語聴覚士(ST)
などなど。これらの職種は「専門職」呼ばれています。
※本来なら保育職も「専門職」です。しかし、放課後等デイサービスのスタッフは8割がた保育スタッフなので、その他の資格を持つ職種を「専門職」として扱うケースが多いです。
募集しても集まらない理由とは?
どの放課後等デイサービスにも専門職がいるのでしょうか?
実際はいない施設が多いです。
なぜかというと施設が求人の募集をかけても集まってこないのです。
専門職にとって小児の施設は魅力的な職場のひとつです。
子どもと関わる仕事がやりたくてリハビリ職になった人もたくさんいます。
しかし実際に働く数が少ない。
では、なぜ放課後等デイサービスで働く専門職はすくなく、募集をかけても集まらないのでしょうか?
そもそもどういう施設なのか分からない
放課後等デイサービス?
最近、名前を聞くし、子どもの施設だということは知っている。でも、どんなことをするところなのか分かりにくい。こんなふうに思っている言語聴覚士は意外と多いです。
ここ数年でいろんなタイプの放課後等デイサービスができました。
・典型(古くからあるタイプ)
・療育型(療育、訓練中心)
・特化型(音楽中心、運動中心など)
細分化されて「昔からあるような放課後等デイサービス」のいうイメージがあやふやになってきています。これも分かりにくさの原因のひとつです。
給料が安い
子どもの分野は給料がとにかく安い!
保育士はその代表です。
言語聴覚士も同じです。最近は徐々に金額が増えてきて、労働条件も改善されてきました。しかし、病院など成人の施設と比べるといまだ給料が安い傾向があります。
これは働く側からするときびしい。家庭を持つ人ならなおさらでしょう。
個別訓練がしにくい
療育や教育というと「個別訓練」というイメージがあると思います。
実際の放課後等デイサービスはどうかというと・・・
保育職とともに保育に入りながら、評価や助言などを行っていくというパターンが多いです。
そのため、新卒や小児経験の少ない言語聴覚士は「イメージと違う」と感じやすいです。
※個別療育専門の放課後等デイサービスであれば
・個別訓練だけ
・個別訓練+集団療育(グループ)
がメインの施設もあります。
理解がない
STって何する人なの?
とりあえず雇っちゃおうか。
施設側に理解がないケースは意外と多いです。
私がSTとして働いていた施設では「2年間は"指導員として"勤務してもらいます」と言われました。勤務時間も勤務内容もです。
「まずはこの施設のやり方を身につけてもらおう」
このような施設側の考えは理解できます。
しかし、専門職も人間です。
「自分の職種の知識や技術」を活かしたくて働きはじめたのです。
その"志し"を潰してしまうのはちょっと・・・。
まずは施設側にもある程度「専門職って何をする人なのか?」ということは理解してもらいたいです。
専門職が偉いのではない!
逆に保育職に対して理解のない専門職もいます。
保育よりも療育の方が「偉い」と思っている専門職もいます。
もちろん、これは間違っています。
これでは保育職の人は嫌な気持ちになります。
保育職から指摘してもらってもよいのですが、それはトラブルの元になりやすいです。
本当なら同じ専門職の人が指摘してあげるのが一番よいです。
そのほうが相手も受け入れやすいはずです。
まとめとして
今回は、なぜ放課後等デイサービスに専門職が集まらないのか?というはなしをしました。今回書いたことは専門職側の意見です。
専門職を採用する際に参考にしてみてください!
さまざまな職種が介入できる放課後等デイサービスは魅力的です。
専門職はそれぞれの視点や考え方を持っています。いろんな視点から子どもをみていければ、子どもにとってもプラスが多いはず。
複数の専門職がいる放課後等デイサービスが増えたいいなと思っています。