障害児福祉の仕事でも上を目指して頑張るべき?
仕事のモチベーション、どうしていますか?ありますか?
働く理由は人によって様々です。「お金」だったり「やりがい」だったり。
仕事で上を目指していますか?
福祉職、特に障害児福祉の人は「子どもと関われるのだから給料が安くても我慢してね」という風潮を感じているかと思います。
わたしも実際に障害児福祉の言語聴覚士(ST)として長年働いてきて、いろんな人からこのようなことを言われてきました。
「それだけでは働き続けられない」というのが現場で働く人たちの本音です。
福祉職は上を目指さなくてもよいのでしょうか?
今回は、上を目指すことの意味やメリット・デメリットなどを説明していきます。
仕事で上を目指すということ
一般的に仕事で「上を目指す」というのはどのようなことを指すのでしょうか?
・偉くなる
・給料が上がる
を思い浮かべるのではないでしょうか?一般企業ではそれが通用すると思います。昇給すれば給料も上がって、今よりも好きな物が買える。良いところに住める。
しかし、福祉職では偉くなるという概念がほとんどありません。給料だって一般企業の人から見たら薄給です。
では福祉の現場で働く人たちの仕事上の目標、キャリアパスはどのようになっているのでしょうか?
キャリアパスという考え方
最近、耳にすることが多くなってきた「キャリアパス」。
ビジネス用語なんだろうけれど意味はよく分からない。そんな人も多いと思います。
キャリアパス(career path)
「キャリア」は「職歴」、「パス」は「道」をあらわします。仕事での最終的な目標を定めて、そこに行きつくためにはどのような経歴を積めばよいのか?ということです。
・人事異動
・昇進
などが当てはまります。
たとえば「課長になって部長になって、所長になれれば給料もこのくらいもらえるな。頑張ろう」というように働く人のモチベーションを保つ効果が期待できるのです。
このキャリアパス。福祉職ではどのように扱われているのでしょうか?
福祉職にはキャリアパスの考え方が合わないこともある
一般企業であれば役職というランクが必ずあります。
・副社長
・専務
・本部長
・部長
・所長
・課長
・係長
・主任
しかし、福祉職では次のようなケースが多いのです。
・主任/リーダー
・正社員(常勤職員)
・パート、アルバイト
しかも、所長や主任は長年同じ人がやっていることが多いのです。
そのため、何年働いていても「ただの職員」のままという人がほとんどです。
偉くなれなくても、安い給料でも、
・子どもたちと楽しくかかわりたい
・子どもたちを守りたい
そんな気持ちで働いてくれている人ばかりです。
10年も20年も上層部の顔ぶれが変わらない、というのは一般企業ではありえません。これでは上昇志向もなにもありません。
そういう事情もあって、福祉職はある程度の期間働いたら別の職場に移っていく人が多いのです。
だって、いくら長く働き続けても昇進することはないに等しいのですから。
福祉職で上を目指すということ
福祉の仕事には役職の概念が薄い、というはなしをしました。では、福祉職は上を目指さないのでしょうか?
いいえ。ちゃんと前を向いて働いている人が多くいます。ここではメリットとデメリットを挙げていきます。
メリット
そのため、福祉職では「施設長を目指して頑張るぞ!」という人は少数派です。
・自分のスキルを高めよう
・子ども(もしくは患者さん)のために頑張ろう
という「自分のスキルアップのため」という考え方をしている人が多いです。
頑張って働き続ければ、それだけ長く子どもの成長を見守ることもできます。
・いまはこの職場で働いて、いずれは資格を取っていこう
働きながら通信講座や試験勉強をしている人もたくさんいます。
自分は社会人として何を目標にしていくのかが明確な人は強いです。ちょっとしたことではめげません。
目標がないとちょっと嫌なことがあると辞めてしまいます。
デメリット
福祉職で上を目指すデメリットというか問題はいくつかあります。
・目標(到達地点)が見えにくい
⇒ やはり「昇進」という分かりやすい制度がないのはモチベーションを高く保ちにくいです。役職以外のところに目標を持っていく必要があります。
・仕事+アルファで考えなければならない
⇒ 日常的な業務をこなしたうえで通信講座や試験勉強、研修などを受ける必要があります。これは結構大変です。
わたしも働きながら夜間の学校に通い、言語聴覚士を目指して勉強していました。知り合いは通信制の大学に通って社会福祉士の資格を取っていました。
本気で取り組まないと合格できなくなります。本気でも難しかったりしますし・・・。
上を目指すことはいいことだけれど・・・
福祉職で上を目指した方がよいです。しかし、目標はしっかりと持つべきです。ただでさえ毎日が忙しい職業です。給料も低いです。明るい未来を思い描きながら働いていくことは必須です!
曖昧に上を目指しても逆効果!
福祉職でも「偉くなりたい」と口癖のように言う人がいます。
偉くなってどうしたいのか?
・施設の色を変えたい
・お金が欲しい
・人にとやかく言われたくない
いろんな理由があると思います。理由は人それぞれ。しかし、何も考えずに「偉くなりたい」とやっていると、わたしたちの対象となる子どもや患者さんが必ず置いて行かれてしまいます。
将来像を思い描くことが必要
自分の理想を追い求めることは大切です。しかし、ときどき方向性を見失っている人もいます。
理想が高すぎて、正規職員で働き始めたのにすぐに辞めて別の職場を探す人。数回ならいいのだと思います。しかし、年に何回もそんなことをやっていると信用を失ってしまいます。
・完全に自分の理想とマッチする職場なんてない!
・どんな職場でも自分がどうやって働くかが大切!
ただし、頑張りすぎて心に傷を負ってしまったら、そんな職場は辞めてOKです。
人生を台無しにされる必要はありません!仕事と自分の生活のバランスを考えていくことが大切なのではないでしょうか。
上に立つ人間が考えるべきこと
こんな業界だからこそ、一緒に働いてくれる人のことは考えていく必要があるのです。
同じ職場で長く働いている人は自分の立場で胡坐(あぐら)をかいていませんか?そんな人にも新人の頃があったはずです。
もし自分が目の前にいる新人だったらどう感じるか?を考えていますか?昇進の制度がほとんどない業界なのに、他人を蹴落とす理由はありません。
・保育職だったら新人に対するフォローはきちんとしていく
・情報は正しくみんなで共有する
まとめとして
今回は、福祉の仕事で上を目指すとはどういうことなのか?得することはあるのか?というはなしをしました。
実際に働いていると、自分の目標に向かって頑張っている人がたくさんいます。そういう人を応援してあげられる職場の体制や周囲の目をつくっていくことが大切なのではないでしょうか?
よかったら参考にしてみてくださいね。