言語聴覚士は放課後等デイサービスで何ができる?

放課後等デイサービスで言語聴覚士(ST)としてできること、役割を探っていくブログです

障害児保育と個人情報。子どもの情報でマウントをとってはいけない!

障害児保育で個人情報をどのように扱うか

障害を持った子どもと関わっていると、たくさんの個人情報に触れる機会があります。

障害名や既往歴、住所や家族構成などなど。

これらは支援を組み立てていくうえで大切な情報となります。

しかし、扱いが難しい。一歩間違えると個人情報の流出やプライバシーの侵害になりかねません。

今回は、障害児保育において情報の扱い方と気をつけるポイントを整理していきます。

 

 

ポイント!

① 個人情報とプライバシーは他人から知られないような配慮を!

② 子どもの情報でマウントをとるのはやめよう!

 

 

個人情報保護法ってなんだ?

個人の権利や利益などを守るための法律があります。それが「個人情報保護法」です。

今回、個人情報保護法が改正されました。

・2020年6月交付(国民に知ってもらうために通達すること)施行
・2022年4月施行(その法律が効力を持つこと)

令和になってから個人情報保護法は3年ごとに見直しされることになっています。

今回は以前と比べて内容が強化されています。改定の強化されたポイントは

個人の権利保護が強化
法令に違反したときの罰則が強化

 

 

個人情報とプライバシー

「個人情報」と「プライバシー」は似ていて違いが分かりにくいです。「個人情報保護法」では次のように定義されています。

 

個人情報

個人を特定することのできる情報を指します。

個人情報とは

1) 個人に関する情報であること
2) 特定の個人を識別できること

 

一般財団法人 日本情報経済社会推進協会
https://privacymark.jp/wakaru/kouza/theme1_01.html

 

プライバシー

個人の秘密を指します。

プライバシーとは

「個人や家庭内の私事・私生活。個人の秘密。また、それが他人から干渉・侵害を受けない権利。」(小学館「大辞泉」より)という意味があるほか、最近では、「自己の情報をコントロールできる権利」という意味も含めて用いられることがあります。

 

一般財団法人 日本情報経済社会推進協会
https://privacymark.jp/wakaru/kouza/theme1_03.html

 

 

障害児保育の現場で出会う個人情報

実際にどのような情報があるのでしょうか?

・氏名
・生年月日
・住所
・電話番号
・メールアドレス

・障害名(診断名)
・疾患等の既往歴
・主治医

などなど。数えきれないくらいあります。

さらに家族構成、家庭環境、保護者の職業、収入なども支援計画をたてるうえで大切な情報となることがあります。

上記の者は名前と組み合わされば立派な個人情報です。

 

 

何に気をつければいい?

「個人情報に気をつけよう」

よく聞くことばです。では一体何に気をつければよいのでしょうか?

 

① 名前の扱い

福祉業界では個人情報をやり取りする際、伏字やイニシャルにしていることが多いです。

ex. 山田太郎 ⇒ 山●太●、YT、Y田T郎 など

 

 

② メールでの扱い

メールは誤送信で全く関係のない人に届いてしまう可能性があります。そのため、もし間違って送っても書かれている子が特定できないようにする必要があります。

 

ex.

本文には個人情報は入れずにワードやPDFなどのデータを添付する。そのデータには鍵をかける。その鍵(暗証番号)は別のメールで送る。データと鍵を一緒に送らない。

ただし、施設によって考え方は大きく異なります。個人の情報はメールで送らない、と徹底しているところもあります。あらかじめ、どのようにメールで送ったらよいか相手に確認を取った方がよいです。

 

 

③ 写真の扱い

簡単にスマートフォンで写真を撮ることができます。保育中も記録として写真を撮っておく機会がたくさんあるかと思います。行事等でとって施設で保管しておくだけなら個人情報保護の違反とはなりえません。

しかし、ホームページや施設の新聞に載せたり、SNSでアップしてしまうのは違反になる可能性が高いです。

 

ex.  SNSでの扱いも注意!

仕事中に撮った写真を勝手に自分のSNSにあげてしまうのは絶対にやめましょう。どうしても載せたいのであれば保護者の方に確認を取ってからです。

 

 

④ 施設外でのこと

コロナ禍では激減していますが、スタッフ同士で外食をしているときに子どものことを話題に出すのは注意した方がよいです。どこで誰が聞いてるか分かりません。

 

ex. 外での会話がトラブルになりやすい

⇒ その場に知った顔がないからといっても安心はできません。

・子どものことを話したら(面識のない)父親がそばにいた
・個室だから安心して話していたら隣の席に保護者がいた

なんていうことも実際によくあることです。

 

 

情報でマウントをとるのはやめよう!

個人情報が外に漏れないようにすることは必要です。しかし、施設内でもだれがどの情報を持っておくかという問題があります。

家庭環境の詳細を事細かにアルバイトのスタッフやボランティアさんに話す必要はないかもしれません。

子どもの障害や疾患の詳細をどこまで伝達するかというのも難しいです。入院の予定や余命などが決まっている子もいます。

これらは慎重にやり取りすべきです。

しかし、そこには隠れた問題が出てくることがあります。それが「情報でマウントをとる人が出てくる」ということです。

 

マウントをとるとは?

「 マウントをとる」とは 自分の方が相手よりも優位だとアピールする行為です。

障害児分野でも子どもの個人情報を使って「 マウントをとっている」人がたまに出てきます。

ちょっと考えてみてください。

もしも、自分の子どもの情報を利用して自分が優位に立とうとする人がいたとしたら。

 

正直、気持ち悪いです。

わたしたち支援者が子どもの個人情報を使うのは支援や援助を組み立てるために必要だからです。

自分がどのように子どもの個人情報を扱っているかもう一度考えてみてもよいのかもしれません。

 

 

まとめとして

今回は障害児保育の現場で個人情報がどのように扱われているのか?について説明しました。意外と曖昧になりがちな子どもの個人情報。この機会に、ぜひ自分の施設での扱いも考えてみてくださいね!難しいけれど大切な問題です。

 

参考資料

◆個人情報保護法等  個人情報保護委員会
https://www.ppc.go.jp/personalinfo

◆個人情報保護委員会
https://www.ppc.go.jp/index.html

◆一般社団法人 日本情報い経済社会推進協会
プライバシーマーク制度
https://privacymark.jp/index.html