子どもの「うがい」はどのように発達していくのか?
私たちはなぜ「うがい」をするのでしょうか?
・風邪予防
・歯磨きのあと
・口の中をきれいにするとき
だと思います。
うがいで筋や汚れを流し落とすことができるからです。
しかし、うがいの効果はこれだけなのでしょうか?
今回は、子どもとうがいの関係について説明します。
主に「発達」の視点で考えていきます。
「うがい」とは?
うがいとは、みなさんご存知の通り、口に水を含んで吐き出すことで異物を除去する行為です。
含嗽(がんそう)ということもあります。
ちなみに・・・
咳嗽(がいそう)は咳のことです。
ブクブク うがい ⇒ 口をきれいに
ガラガラ うがい ⇒ 喉の奥をきれいに
うがいの目的
先ほども説明しましたが、うがいの目的は口の中をきれいに保つことです。
それ以外にも目的があるのです。
①風邪の予防
うがいの効果
・ のどや口腔内の炎症
・ 抜歯創を含む口腔創傷の感染予防や消毒
・ かぜ等の感染の予防
慶応義塾大学病院
http://www.hosp.keio.ac.jp/annai/raiin/kusuri/kusuri_06.html
風邪やインフルエンザの予防のために、手洗い、うがい、マスク着用、咳エチケット等の感染予防対策を行うようにいわれています。
しかし『新型インフルエンザ対策行動計 行動計画案』では、疑問を持っているようです。
うがいについては、風邪等の上気道感染症の予防への効果があるとする報告もあるが、インフルエンザの予防効果に関する科学的根拠は未だ確立されていない。
行動計画の見直し案 厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001o0a2-att/2r9852000001o0pi.pdf
② 虫歯予防
うがいによって、食べかすや雑菌を除去することで口腔内がきれいになります。
また、口腔内の感想を防ぐので、菌の増殖を和らげる効果もあります。
その際には、上を向くガラガラうがいでなく、まっすぐもしくは下方を向いたブクブクうがいを行います。
③構音訓練
構音訓練(こうおんくんれん)とは、喋り方が苦手な子(人)が改善のために受ける訓練のことです。
その訓練で、うがいを使うことがあります。
ガラガラうがいの動きが「か」を言うときの動きと同じなのです。
【練習方法】
・少量の水でガラガラうがいをする
・量を少し増やしていく
・水なしで「ガラガラ」言ってみる
・「か」の音を出す
というのが、ざっくりした流れです。
発達からみた「うがい」
子どもは生まれすぐに「うがい」ができるわけではありません。
いつからできるようになるのでしょうか?
また、できないときはどうすればよいのでしょうか?
うがいができるようになる年齢
「うがい」ができるようになるのは幼稚園生になってからだと言われています。
ブクブクうがい ⇒ 4歳
ガラガラうがい ⇒ 5歳
※上記は健常児の子の場合75%の子ができる年齢)
うがいの練習を始めるめやす
4,5歳になれば突然できるようになるわけではありません。
少しずつ土台となる力をつけていくことが大切です。
遊びや生活を通して獲得していきます。
1歳 水を口にためて吐き出す練習
2歳 水を含まずブクブク練習
3歳 ブクブクうがいの練習
うがいの練習
うがいの練習はどのように行えばよいのでしょうか?
ガラガラうがい
ブクブクうがい
◆引用
日本歯科医師会
うがいの練習・指導
https://www.jda.or.jp/dentist/program/boshikenkou.html
うがいの注意点
では、うがいを行う際に気をつけた方がよいことがあるのでしょうか?
気をつけたいのは「誤嚥」と「薬剤」についてです。
① 誤嚥に気をつける
水分でムセる子は、うがいをやるときに注意が必要です。
口腔ケアがほとんどできていない子の場合は、口の中は菌でいっぱいです。
その状態で誤嚥すると、肺炎のリスクが高まります。
基本、自分の唾液でムセる子、水分にとろみを付けるくらいの子には、うがいはやらせません。
◆誤嚥とムセの違いはこちらから
② 薬剤は正しく使う
うがいの薬は多くの種類が出ています。
用途に合わせて、分量を守ることが大切です。
例えば、イソジンガーグル液。これはヨウ素が多く含まれています。
イソジンガーグルは強いため、口の中にいる“良い菌”まで根こそぎやっつけてしまう。
日常的に過剰摂取してしまうと甲状腺機能低下症、甲状腺腫、甲状腺中毒症などが起こりることもあります。
まとめとして
今回は子どもの「うがい」について説明しました。
「うがい」には様々な役割があります。
・口の中をきれいにする効果
・風邪などの菌を洗い流す効果
・喋るときの練習
「うがい」は口の中の衛生面だけでなく、口の動きの練習にもなるのです。
発達の順番があることも忘れてはいけません。
練習するときは楽しく進めていきたいものです。
よかったら参考にしてみてくださいね。
◆参考資料
障害者歯科保健医療対策マニュアル
東京都保健所
障害者のための8020生 活実践プログラム 5
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/iryo/iryo_hoken/shikahoken/pamphlet/hokenjosakusei.html
習慣的なイソジン咳嗽は止めましょう
かがやきクリニック川口
https://kagayakiclinic.jp/contents/kagayaki/040.html
うがいの練習・指導
日本歯科医師会
https://www.jda.or.jp/dentist/program/boshikenkou.html
話題の食品成分の科学情報
ヨウ素解説
https://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/detail680.html