言語聴覚士は放課後等デイサービスで何ができる?

放課後等デイサービスで言語聴覚士(ST)としてできること、役割を探っていくブログです

スプーンの選び方は決まりはあるの?障害児への食事介助で使うスプーンのはなし

子どもに合わせてスプーンを使い分けていますか?

身体に障害を持つ子に食事介助をするとき、どんなスプーンを使えばよいのか迷うことはありませんか?銀のスプーン以外にも、柄が長いもの、シリコン製のもの、レンゲ、カレースプーン、デザートスプーン・・・。種類が多い。

今回は、自分で食べる子ではなく全介助で食べる子に対して、どんなスプーンを使えばよいのか、というはなしです。

 

 

 

 

スプーンの選び方

食事介助用のスプーンを選ぶときにはいくつかポイントがあります。

一番大切なのが介助者が使いやすいものではなく、子どもが食べやすくなるものを選ぶことです。

選ぶときのポイントとしては

スプーンの形
食事の問題

の2つから考えていきます。例えば・・・

・スプーンの大きさ
 ⇒ ボウル部分の深さ、幅

・スプーンの素材
 ⇒ 硬さ、重さ、素材

・口が開きにくい子
 ⇒ SUDスプーン

・スプーンを噛む子
 ⇒ シリコンスプーン

というぐあいです。

どうしても大人は見た目で選びがちです。

・デザインの良さ
・大き目のスプーン

しかし、子どもの「食べる力に合った」スプーンというのがあるのです。

 

 

 

スプーンの種類 

例えば、どんな種類があるのでしょうか?

 

 

SUDスプーン

チタン製のスプーンです。ボウル部分が極端に浅くできています。

・口の空きが小さい子
・上唇でうまく食物をとることのできない子
・金属アレルギーや金属を嫌う子
 ⇒チタンなのでアルミやステンレスのときのような拒否反応は減ります。

※まずは口唇を使って食べることを学んでいきます。

舌突出がある子の舌を押し戻すために使っている人もいますが、本来、力づくで舌を中に入れる支援は少ないと思われます。

 

もしも入れたいなら

・舌の先をチョンチョンとつつく
・「舌はお口のなかだよ」等の声かけを行う

などの支援があります。

 

 

口あたりやさしいスプーン

 

いわゆるシリコンスプーンです。似たようなスプーンは様々な会社から販売されています。私はこれが一番使いやすいです。

サイズも小・中・大の3種類。子どもは小もしくは中でよいと思います。大はよっぽど身体や口の大きい子でないと使いません。たくさん食物が乗るから、という理由で台を使うのは危険です。事故につながります。

カラーはピンク・黄色・緑。

 

こんなのもあります。便利 ↓

 

  

その他のシリコンスプーン

 

IKESHOの一体型カラーシリコンスプーン。

これを使っている子もけっこういます。

ポイントはスプーンに「継ぎ目」がないので清潔さを保つことができる(かもしれない)。少なくとも目に見える黒カビはつきにくいということ。


サイズは小・大の2種類。

カラーは5種類
・ココア(茶)
・マーマレード(オレンジ)
・ミルク(白)
・ラズベリー(ピンク)
・キウイ(黄緑)

 

 

レンゲ

 

中華料理屋で見かけるアレです。

汁ものの啜り取り(すすりとり)を促すときにつかいます。

介助では基本的に横向きに口につけます。

(縦方向で使うと一気に口の中に流れ込むため危険)



スプーン噛みがなければプラスチック製のものでもOKです。

自分で食べる子で、かつ持つ力が弱い場合にはプラスチック製のものを使うこともあります。

 

 

 

スプーンの使い方

 

食事介助のとき、スプーンに食物をたくさん盛って口の奥まで入れるやり方をしている人は少なくありません。

早く食事が終わるかもしれませんが、発達を促す介助とは言えません。

介助のポイントは

スプーンは下唇に乗せるイメージで
上唇で食物を取ってもらう
スプーンはまっすぐ引き抜く

 

 

くわしくは ↓ の記事で。

www.hana-mode.com

 

 

 

ネットで食具を買うとき注意すること

最近はネット通販で簡単に目当てのものを探すことができます。

しかし気をつけたいことがあります。それは・・・

値段がピンキリ

送料もピンキリ

お店によって驚くくらい値段が異なっています。

同じ種類のシリコンスプーンでも400円台から2,000円台まで様々。

送料も無料のお店もありますが、1,000円以上取るところもあります。

 

グレーなやり方で稼ごうとする店はたくさんあります。

買うときはパッっと決めてしまうのではなく、いくつかの店舗を比較しましょう。

近所の店で買えるのが一番楽なんですけどね・・・。

 

 

 おすすめの本

子どもの摂食・嚥下障害

北住映二/尾本和彦 永井書店 2007年09月
売り上げランキング :
by ヨメレバ

 

 

 

参考資料

◆『子どもの摂食・嚥下障害』永井書店

◆スプーン・フォーク スプーン・フォークの選び方&使い方
 社会福祉法人 豊田市福祉事業団
 https://www.fukushijigyodan.toyota.aichi.jp/pdf/spoonfork.pdf

◆発達障害児の自立した食事動作に向けての支援
https://shizuokadevelopmentalsig.jimdo.com/app/download/12323095892/3.%E7%99%BA%E9%81%94%E9%9A%9C%E5%AE%B3%E5%85%90%E3%81%AE%E8%87%AA%E7%AB%8B%E3%81%97%E3%81%9F+%E9%A3%9F%E4%BA%8B%E5%8B%95%E4%BD%9C%E3%81%AB%E5%90%91%E3%81%91%E3%81%A6%E3%81%AE%E6%94%AF%E6%8F%B4.pdf?t=1447219209

◆未来の食習慣の形成のために 離乳についてのすすめ
 http://www.jdss.or.jp/info/201709/20170929_2.pdf