言語聴覚士は放課後等デイサービスで何ができる?

放課後等デイサービスで言語聴覚士(ST)としてできること、役割を探っていくブログです

質問ばっかりしていない?!喋れない子と関わるときのコツ【ポイント】

障害が重い子とコミュニケーションを取るためのコツ

障害を持つ子が通う施設が増え、メディアにも少しずつ障害児が出てくるようになってきました。

しかし、人の目に触れる「障害児」は障害が軽かったり、自分のことは自分でできる子がほとんどです。

実際には、コミュニケーションが取れない子たちがたくさんいます。

障害児施設で働いていると、重い子たちと関わる機会が増えてきます。

では、やり取りすることも難しい子たちとうまく関わるために良い方法はあるのでしょうか?

「こうすれば大丈夫」というベストな方法はないかもしれません。

しかし、ベターな方法はいくつかあります。

ここでは、障害が重い子に対する声かけの方法を説明します。

 

 

 

障害が重い子とは?

障害が重い子と聞いて、どのような子を思い浮かべますか?

・喋れない子?

・動けない子?

・周囲に注意が向かない子?

様々なタイプの子がいます。

上記のどのタイプのお子さんも、他者とコミュニケーションが取れない・取りにくいことが多いです。

では、

www.hana-mode.com

 

 

声かけのポイント

はじめて障害が重い子と関わるときには、迷うことばかりなのではないでしょうか?

・一緒にいて何をやればよいのか分からない

・子どもの反応がないので困る

・時間がたつのが遅い

 

わたしは言語聴覚(ST)として長年、障害児の施設で勤務してきました。

新しく入ってきたスタッフや実習生に助言する機会があります。

 

そいうときには「話しかけてあげて」とお伝えすることが多いです。

 

大人の声かけの意味を子どもが理解しなかっとしても話しかけるのです。

大人が話しかけなければコミュニケーションは始まりません。

 

 

2種類の声かけの方法

たとえ、子どもが理解していなくても声をかけてあげることが大切。

しかし、ただ話しかければよいわけではありません。

声かけには2つの種類があります。

 

・質問をする

・気持ちや状況を伝える

 

なんらかの障害によって喋ることができなかったり、理解できない子に話しかけるときは「気持ちや状況を伝える」やり方が結果的にうまくいくことが多いです。

それぞれの特徴を説明していきましょう。

 

 

質問をする

ひとつめが、子どもに「質問」をしてやり取りを進めようとするやり方です。

メリット
・話しかけるキッカケをつくりやすい
・話している雰囲気をつくることができる

デメリット
・会話が終わらない
・脅迫的になりがち

質問をしていると、何となくコミュニケーションを取っているような雰囲気になります。

しかし、声かけの返すことが難しい子に質問ばかりしてもやり取りは成立しません。

 

ex. 散歩中の会話

大人 「青い花と黄色い花、どっちが好き?」
子ども「・・・」
大人 「・・・あ!飛行機だ!見えた?」
子ども「・・・」
大人 「どこに行くんだろうね?」
子ども「・・・」
大人 「○○ちゃんは新幹線に乗ったことある?」
子ども「・・・」
大人 「・・・」

 

理解できない声かけで延々と質問されると子どももつらいはずです。

他の人の支援をみてみてください。

矢継ぎ早に質問ばかりしている人って結構います。

 

 

気持ちや状況を伝える

ふたつめは、子どもに気持ちや状況を伝えることでやり取りを進める方法です。

子どもが感じているであろう気持ちを大人が代弁する方法もあります。

メリット
・同じ場を共有できる
・ペースを調節しやすい

デメリット
・ズレた声かけになることもある
・やり過ぎるとくどくなる

 

「気持ちや状況を伝える」というのは、大人が今の状況を子どもに伝えたり、子どもの気持ちを代弁したりするということです。

 

ex. 散歩中の会話

大人 「花がたくさん咲いてるよ。」
子ども「・・・」
大人 「青い花と黄色い花があるよ。きれいだね。」
子ども「・・・」
大人 「暖かくなってきたから咲いたんだね。」
子ども「・・・」
大人 「寒くないし、風も気持ちいいね。」
子ども「・・・」

上記の「気持ちや状況を伝える」声かけの仕方だとコミュニケーションが成立しています。

子どもの興味や好き嫌いなどを知っているとさらに深い場の共有ができます。

知らない子の場合は探り探りになっても仕方がありません。

 

 

まずは話しかけてみよう

まずは子どもに話しかけてみましょう。

反応がないかもしれません。

泣かれるかもしれません。

でも大丈夫。

それはあなたのせいではありません。

まずはキッカケをつくるよう意識しましょう。

 

声かけのポイントは質問しすぎないことです!

質問するなとは言いません。

質問だってやり取りのキッカケになることもあります。

 

まずは状況やお互いの気持ちをことばにして大人が話しかけてみましょう。

・早口になり過ぎずゆったりと

・子どもの興味は何に向いているのかを考えて

・「この子はこれだけが好きなんだ!」なんて思い込みは捨てて

のんびりした気持ちで場面を共有してみましょう。

 

この人となら頑張れる

このような心地よい時間が過ごせると、子どもは「この人となら楽しくできるかもしれない」と考えます。

この大人となら頑張れるという思いが大切なのです。

今後、苦手な状況に陥ったときに、心地よい時間が共有できる大人となら課題を乗り越えられるという頑張りにつながるのです。

たとえ障害が重い子でも、です。

 

 

まとめとして

今回は、障害が重い子と関わるときにどうすればよいのか?そのコツをお話ししました。

身構えずに急かさずにゆったりと関わってみてください。

子どもだって楽しんでくれるはずです。

そんな子どもの姿を見ることができれば大人だって嬉しくなるはずです。

よかったら参考にしてみてくださいね。