「やさしい」声かけを身につけよう
子どもに対してどんな声かけをしていますか?
相手が障害を持った子の場合は?
障害児の支援をしているとき、子どもがイキイキしている場面を目にすることがあります。そういうときは、たいてい子どもへの声かけが上手な大人が一緒にいることが多いのです。
子どもが言うことを聞いてくれたり、笑ってくれる。そんな声かけができれば支援だって楽しくなるはず。声かけが上手な人は、そんなことに気をつけているのでしょうか?
今回は「声かけ」についてです。障害を持つ子へ「やさしい」声かけをする方が良いのは みんな分かっています。しかし、実際に「やさしい」と言われても困ってしまう。ここでは、混乱しやすい2つの声かけ――「優しい」と「易しい」――について説明します。
障害児への声かけ
わたしたち大人は、あまり意識せずに子どもへの声かけを行っています。
そのため、障害を持つ子へ声をかけるとき「どうやって声をかければいいんだっけ?」と迷ってしまう。
・はじめて一緒に過ごすとき
・話しかけても反応がないとき
・話しかけると逃げていくとき
・子どもと もっと楽しく遊びたいとき
たとえば、障害児支援を行うとき、一番の基本となるのは声かけです。
2つの「やさしい」声かけ
支援は子どもが相手です。「声かけ」は「やさしい」声かけをしたほうがよい、ということは誰しもが知っています。しかし、大人にとって この「やさしい」が分かりにくいのです。
詳しく見ていきましょう。「やさしい」には2つの意味が存在します。
・「優しい」声かけ
・「易しい」声かけ
これらは何が違うのでしょうか?
「優しい」声かけ
ひとつめが「優しい」声かけ。「優しい」というのは ①言い方が優しい、②相手の気持ち思いやるという意味です。
① 子どもに話しかけるような柔らかい話し方
⇒ ゆっくり・少し高い声・乳幼児が使うような単語で
② 相手の気持ちを尊重する
声かけの場合、①に偏った言い方をしても伝わらないことが多いです。
ex. なかなか片付けができない子に対して
≪悪い例≫
※ 言い方だけ「赤ちゃんことば」にすればいいと思っている人って結構いるのです。それでは「優しい」声かけとは言えません・・・
↓
≪良い例(優しい声かけ)≫
◎ そこまで(きりの良いところまで)やったら終わりにしようね。上手にできたね。もっとやりたいけれど、ご飯を食べ終わったら、またやろうね。
※ 「そうだよね、あなたの気持ちは分かるよ」というスタンスです。大人の都合で子どもを動かそうとしていると、こういうふうには考えていないはず!
「易しい」声かけ
2つめが「易しい」声かけ。「易しい」とは、単純・簡単・噛み砕いたといった意味です。
・短い文で
・簡単な単語を使って
・分かりやすい文になるように
ex. 施設の玩具を手荒に使って遊んでいる子に対して
≪悪い例≫
※ 矢継ぎ早に難しいことばで長い文を使って声をかけても、相手には伝わりづらいのです。障害がある子ならなおさら。そうではなくて・・・
↓
≪良い例(易しい声かけ)≫
◎ 投げちゃダメだよ。次の人が使えなくなるよ?こういうふうに使ってみようか?(手本をやってみせる)
※ 何が悪いのか?どうなってしまうのか?どう行動すればいいのか?を短い文で伝えることで、相手が理解しやすくなるのです。
どちらが良いのか?
「優しい」声かけと「易しい」声かけ。どちらが優れているのでしょうか?
結果から言うと、両方とも必要です。・・・なんだ。と思われるかもしれません。しかし、声をかける相手は 何らかの障害や疾患、発達の遅れなどによって「理解していない(可能性がある)」子どもです。
・「優しい」声かけの 相手を尊重して、丁寧に ことばを届ける方法
・「易しい」声かけの 理解してもらおうとする方法
意識的に使うことが大切
意識して使わないと、「優しい」のか「易しい」のかが曖昧になってしまいます。100 % 完璧に使い分けろとは言いません。「使い分けよう」と思うことで「私のことを考えて言ってくれているかも」と大人の姿勢が伝わります。
そういった配慮によって、内容も伝わりやすくなっていくのではないでしょうか?
まとめとして
今回は「やさしい」声かけにも種類があるよ、という話しをしました。
大人が言ったことを子どもに分かってもらいたいときには、言い方だけ赤ちゃんことばにしても伝わりません。
声かけのときの単語、文の長さ、言い回しなど、相手の理解度に合わせることが大切になってくるのです。
ポイントは「どうやって言えば、相手が分かってくれるかな?」と考えながら接することです。
良かったら参考にしてみてくださいね。