指示や注意ばかりしていませんか?声かけのヒントとは?
普段から子どもと一緒に過ごしていたり、子どもと関わる仕事をしていると「声のかけ方」に迷うことがあるのではないでしょうか?
子どもが悪ふざけをしているときに注意したり、フラフラしている子に指示を出したり。
自分では良かれと思っていても、外から見ると見ていられない関わり方だったりすることがあります。
今回は、「不適切」と言われるような声かけの仕方についてです。
・ダメな声かけの例
・どのような声かけがよいよか?
・オススメの本
を紹介していきます。
やりがちな例
よくある「悪い例」を紹介します。
良くないだけではなく、よく「やってしまう」「やっている人を見る」パターンです。
無意識的に大人がやりがちな例をあげてみます。
あなたに当てはまっていませんか?
「叱ること」=「障害児支援」ではない!
たとえば、障害児支援。
わたしは障害児施設で言語聴覚士(ST)として長年、勤務してきました。毎日、子どもたちとコミュニケーションをとっています。
周囲のスタッフが「どんな声かけをしているか?」は意外と耳に入ってきます。
障害を持っている子の場合、遊びや生活、勉強の場面で「上手くできない」ことがあります。それは、発達上の「つまずき」があるために起こっているものなのです。
しかし、子どもが「できなかったこと」「やってしまったこと」に対して叱って正そうとしてしまう。良かれと思ってそういった声かけをする大人は多いです。
なぜ注意ばかりしてしまうのか?
子どもに対して「注意」や「ダメ出し」ばかりしてしまう。
そのやり方では「うまくいかない」と思っていても やってしまう。
なぜなのでしょうか?
自分が受けた子育ては正解ではないかもしれない
大人たちは、小さいころに親や養育者から「子育て」「しつけ」を受けてきたはずです。子どもは親から受けた「子育て」「しつけ」を「正しいこと」として受け止めます。
だって他に比べるものがないから。
自分を養ってくれる人が言っている以上、他の選択肢はないのです。これまで受けてきた「子育て」「しつけ」を、自分の子どもにもする。もしくは障害児支援でやる。大人本人は「良かれ」と思ってやっている。
本当に親や養育者の「やり方」は正しかったのでしょうか?まあ、「正しい」「正しくない」は さておき、自分と同じやり方を 目の前にいる子どもにやってもよいのでしょうか?
こんな人に注意しよう
冒頭でも書きましたが、こんな人・やり方には気をつけましょう。
A
口調だけ優しいけれど、言っていることが難しすぎる。一方的に「あなたは間違っていますよ」と言っているだけ。解決法や代替え案を示さずに「自分は正しい!私に従いなさい!」と喚き散らす。まったく「子どものため」とはいえません。
B
言っていることは「注意」だけれど、実際には「自分の感情をぶちまけている」だけ。親なら仕方がない部分もあります。しかし、祖父母がやってしまってはダメです。もしも、親が怒ってばかりだったら 祖父母は子どもに優しくしてあげるべきなのでは?一緒になって喚き散らすのは本当に見苦しいです。
C
子どもは、遊びに夢中になって悪いことをやっている場合もあります。しかし、一生懸命がゆえに時間をオーバーしてしまうこともあるはずです。そういう場合は ただ「時間内にやりなさい!」と怒るだけではなくて、「どんなことに夢中になっているのか?」「どこまでやれば本人の気が済みそうか?」と考えてあげることも必要です。
どうすればいいの?
では、子どもに声をかけるとき、注意をするとき、どのようなことに気をつければよいのでしょうか?
否定的な ことば は使わない
「○○しないで!」「○○やめて!」
このような否定的な言い方はNGです。ことばを理解するのが苦手な子は、否定的な言い方も分かりにくいのです。
上記のように、否定語以外のことばしか頭に残らなかった子もいます。
もしくは、否定されたことで頭がいっぱいになってしまい、固まってしまった子もいます。
子どもの「理解度」を考える
オススメの やり方としては、子どもの「理解度」を考えるというものがあります。
言われても分からないことを延々と言われても、子どもはそれで修正できるはずがありません。それを大人が分かっていないとお互いにつらくなります。
子どもは年齢によって理解できることが違います。特に障害を持っている子の場合、生活年齢(実年齢)と比べて理解する力が弱い子がたくさんいます。
「もう中学生なんだから、ちゃんとしなさい」
「そんことをしていたらロクな大人にならないよ」
「そんなことをしたら困るのは自分だよ」
上記のように抽象的なことば、言い回しも子どもに伝わらない原因のひとつです。
「注意」ではなく「伝え」よう
注意をされても「じゃあ、どうすればいいの?」となってしまいます。子どもはオロオロするばかりです。
だったら「指示」をすればいいんじゃないの?そうなんです。しかし、「指示」ではなく「感情をぶつけているだけ」という大人が多いのです。
「いいかげんにして!早くしなさい!」
「遅い!ちゃんとして!」
これでは 感情をぶつけているだけです。
「○○をここに入れよう」「入れた?じゃあ、次は■■をこっちに入れよう」というように自分が何をすればいいのか?を理解できるような言い方に変えてみる。その際に、否定的なことばは極力排除する、がよいのではないでしょうか?
オススメの本
声かけの本って意外と少ない!というか見つけづらいです。専門家である言語聴覚(ST)である わたしですら見つけるのに手間がかかるくらいです・・・。
そのなかでもオススメできる本を紹介します。
魔法の言葉かけ
声かけで子どもの行動を変えていこうというものです。難しくはなく、家庭でも導入しやすい本です。読み込むというよりは、参考書的に使っていくのがオススメです。
コミック版 『語りかけ』育児
月齢ごとに書かれています。お子さんの成長に合わせてポイントを知ることができます。この時期に どのような玩具やかかわり方が必要かなどなど。漫画版なので気楽に読むことができます。すべてやろうとするのではなく「できそうなところ」からでOKです。
まとめとして
今回は「子育て」や「保育」、「障害児支援」などで よくある「ダメな声かけ」について説明をしました。
子どもへの声かけ&言葉かけが指示ばかりになっていませんか?「子どものため」といって注意ばかりしていませんか?
支援者などのプロの人でも「注意」「ダメ出し」ばかりする人が結構います。これでは、子どもも嫌になってしまいます。嫌な気持ちになるだけで何も残らない。
こんな悪循環に陥らないためにも、大人自身の「こだわり」は捨てて、子どもに向き合ってみてはいかがでしょうか?
きっと子どもと接するのが 今よりも楽しくなるはずです。
よかったら参考にしてみてくださいね。