言語聴覚士は放課後等デイサービスで何ができる?

放課後等デイサービスで言語聴覚士(ST)としてできること、役割を探っていくブログです

【失敗談】障害児の施設で起こりやすい食事支援の失敗とは?

失敗から学ぼう!食事支援の失敗を紹介

わたしはこれまで言語聴覚士として長年、障害児施設で働いてきました。

・入所施設
・作業所
・放課後等デイサービス
・児童発達支援 などなど

今なら当たり前にできることでも、以前は失敗ばかりしていました。

ここでは、実際にわたしがした失敗をお話したいと思います。今回は「食事」に関する失敗です。

 

 

 

食事の支援とは?

障害児を持つ子のなかには、ひとりで上手に食べられない子がいます。

そういった子たちに「食事介助」というかたちで支援を行うことがあります。

介助の比重は子どもによって様々です。

 

食事介助の種類!

・100%介助を行う「全介助」
・半分くらい介助を行う「半介助」
・少しだけ介助で手伝う「一部介助」
・場合によっては手伝う「見守り」

 

どの場合でも事故が起こる危険性はあります。

だからこそ適当にはできません。

しかし、注意をしていても失敗することがあるのです。

どんな失敗があるのか おはなししたいと思います。

 

 

食事編

わたしは言語聴覚士(ST)という専門職として障害を持つ子たちと関わっています。

専門家ではありますが、失敗もたくさんしてきました。

過去にわたしがやってしまった失敗を紹介します。

 

 

カッコつけて失敗

わたしは言語聴覚士という「食べること」の専門職です。

他の支援者に食事介助のお手本を見せる機会があります。

いつも通り介助を行えば特に問題もないはずです。

しかし、専門職だって若いころはカッコをつけることがあります。

 

まだ若かった頃、スタッフに囲まれながら子どもの食事介助をしたことがありました。

失敗できない。勝手にそう思っていました。

いつもより「速く」介助をしてみたり、いつもより「多く」スプーンに持ってみたり。子どもの様子もよく見ないでカッコつけてしまいました。もちろん、こどもはムセてしまいました。

 

いま考えても情けない。その子には申し訳なかったです。

専門職でなくても、他の人の目があるところで介助を行うのは緊張すると思います。

他のスタッフを見るのではなくて、目の前にいる子どもを見てあげてください

 

 

早すぎる介助

介助のスピードは子どもにあわせないと事故が起こる要因となりえます。

 

一口食べるとすぐに「次をくれ!」と怒る子はけっこういます。

こういう子の要求にすぐに応じられるのがプロだと思っていました。(もちろん昔のはなしです)

その子に「食べる力」がちゃんと備わっていればよいのですが、そうでない場合は・・・。口の中がいっぱいになるのでムセてしまい、結局口から吐き出してしまいました。

 

障害が重い子のなかにも、要求を表現できる子がいます。

ことばだったり、怒りだったり、方法は様々です。

一口食べるとすぐに「次をくれ!」と怒る子はけっこういます。

しかし、介助のテンポをすべて子どもに合わせてしまうと失敗します

まだ上手に口の中で食べ物の処理ができていないからです。

次から次に口の中に食物を入れても処理しきれないので、ムセたり、詰まったり、丸飲みしたりしてしまうことが多いのです。

 

 

食べさせるものを取り違える

施設によっては一度に複数の子どもを同時に食べさせることがあります。

本来ならば食事介助は一対一。

しかし、人手の少ない施設では同時に介助を行わないと時間内に食べ終わらないことがあります。

 

その日も2人の子の食事を同時に行っていました。2人とも順調に食べ進めています。しかし、気づいたらAちゃんのお皿のものをBちゃんに食べさせていました。

2人とも同じ食形態(食べ物の形状)で、施設で調理したものだったので大きな問題は起こりませんでしたが・・・

 

どうしても複数の子を同時に介助しなければならないのであれば、介助者が見ただけで分かるようにしなければなりません

・トレーで分ける

・皿を置く場所を分ける(左右など)

 

ちなみに、新型コロナウイルス拡大の前には、介助者も食事介助をしながら自分もご飯を食べていました。

感染症対策が始まってからは、介助者は後で食べるルールになりましたが・・・。

 

 

食物アレルギーの失敗

子どもによっては食物のアレルギーがある場合もあります。

よくあるのが「ピーナッツ」「玉子」です。

飲んでいる薬によっては「グレープフルーツ」禁止になっている子もいます。

食物アレルギーがある子が原因となる食材を食べてしまうと呼吸困難になることも。

本当に気をつけなければなりません。

食物アレルギーで一番「しまった!」と感じたのは「とろみ剤」に関してです。

 

以前、ピーナッツ禁の子がいました。しかも、工場の製造ラインでピーナッツを使っていても症状が出てしまうのです。

さらに、その子は水分にトロミ剤を使っていました。その施設では、すべての子に同じ「とろみ剤」を使っています。

その「とろみ剤」にはピーナッツが含まれていたのです。その子に症状は出なかったので、大事には至りませんでした。

親御さんに謝罪をして、今回の件をスタッフ間で情報共有しました。

 

食物アレルギー。

トロミ剤とアレルギーはむずびつかなかったです。

意外と抜け落ちやすい視点です。

それ以降は、トロミ剤なども成分を確認してから使用するようにしています。

 

 

まとめとして

今回は障害児施設での「食事」「食事介助」に関する失敗談をお話ししました。

失敗以降は気をつけていますし、他のスタッフにも正直に伝えるようにしています。

小さな失敗は積み重なると重大な失敗につながっていきます。

そうならないためにも、他人の失敗談から学んでいただけたらと思います。

よかったら参考にしてみてくださいね。

 

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