食事介助の基準
食事介助がうまくいかない。何を基準に介助を進めていくのがいいの?
介助がうまくいかないと支援者の自信がどんどんなくなっていきます。うまくいかないと「あの子の食事介助はやりたくないなぁ」という気持ちになってしまいます。こんなふうに考えながら、恐る恐る介助を行うと、その子にもそれが伝わってしまいます。
まずは子どもの状態を知ることから
食事介助で自信を無くす前にできることはあるのでしょうか?
一番大切なことは子どものことを知ること。当たり前のことのように見えて、意識しないとできていないことも多いです。なかでも「タイミング」と「食べる力」が重要です。
自分の力のなさを責める前に
食事介助をしていると、うまく行かないことがあると思います。
・自分の介助がいけないのか?
・目の前にいる子が応じてくれないからなのか?
・周囲の人が協力してくれないからなのか?
いろいろ考えてしまうと思います。特に、経験の浅いセラピストは「自分のせいだ」と悩みがちです。
では、誰が悪いのか?
答えはもちろん「誰も悪くない」です。支援で関わる全ての人が、目の前にいる子に「少しでも多く食べて欲しい」「食事を楽しんで欲しい」と思っているはずです。子ども自身も楽しく食べたいはずです。
介助がうまくいかない時や、食べづらい要因が見つからない時には、その子が今日、どのように1日を過ごしていたかを知るとヒントが見えてくると思います。
例えば、給食をあまり食べられなかったために、夕方、筋緊張が強くなり過ぎて、結果、夕食が食べられないということもあります。筋緊張をやわらげる薬を飲めていなかった、という可能性もあります。 自分を責める前にやることがあるはずです。
①タイミングを知る
放課後等デイサービスでは子どもの食事介助を行う機会がたくさんあります。
ひとりの子と繰り返し食事(介助)を行っていると、その子への食べ方に慣れてきます。慣れると、子どもの食べるタイミングが分かってきます。そのタイミングを踏まえて介助を行うと、子どもも安心して食事を進められるので、お互いに力まず食事を進められます。
「慣れ」で食事介助がスムーズになってくることは多いです。
スムーズになると「食べるのが上手になってきた」と感じます。
それは、子どもの「食べる機能」が育ってきたからか?
それとも、お互いの「慣れ」なのか?
評価する際には注意が必要です。
しかし、それが「慣れ」であったとしても、大人の介助を受け入れられるという力がついたことには変わりありません。「慣れ」ることで食事介助を受け入れられるとよいです。
②食べる力はどのくらいなのかを知る
現在、どのくらい食べる力があるのか?それを把握することは大切です。
判断の基準はたくさんあるのですが、たとえば食形態。
学校給食の食形態は何なのか、は押さえておかないといけないことです。
「普通食」「後期食」「中期食」「初期食」というのは、放課後等デイサービスで食事を提供するとき、介助を行うときにも欠かすことの出来ないヒントとなるからです。
食べる能力にあった食物、介助は何か?
これを考えることが「上手に食べる」「楽しく食べる」につながっていきます。
後期食のものを食べているということは、その子にとって「舌で潰せる硬さ」の食材がちょうどよいと予測できます。さらに、
・それ以上硬い食材を処理出来ない
・舌が左右に動いていない
・食材を奥歯の上に乗せられない
などなど。様々な理由があるはずです。
何となく食べさせるだけの介助
大人が「何となく」食べさせてしまうと、ムセたり詰まらせたりすることがあります。
子どもが求めるタイミングと「正しいタイミング」が異なるからです。
特に、後期食~練習食くらいの食形態の子は、何でもパクパク食べるイメージでみられがちです。そのため、おとなもどんどん口の中に食物を入れてしまいがちです。
・「このくらい硬くても食べられるでしょ」
・「食べるスピードをもっと早くしても大丈夫でしょ」
食事介助をしながらこんなことが頭をよぎります。
そういった「慣れ」や「油断」が事故につながるのではないでしょうか?
取り返しがつかなくなる前に「この子は何故、この食形態なのか」を思い出すようにするとよいです。