言語聴覚士は放課後等デイサービスで何ができる?

放課後等デイサービスで言語聴覚士(ST)としてできること、役割を探っていくブログです

水分を加工して飲みやすくしたいときのポイント【小児の嚥下障害】

上手く飲めない子への対応と支援の考え方

何らかの原因によって、うまく食べることができない子は少なくありません。

食べることだけではなく、飲むことも苦手な子もたくさんいます。

そういった子たちへの食事支援、どうしていますか?

親御さん以外にも、施設や学校の先生など、様々な人たちが関わっています。

なんとなく介助をしていませんか?

 

なんとなくでは事故が起こります。

そうです。

水分でも窒息や誤嚥が起こりうるのです。

 

そうならないためのポイントが水分の加工です。

 

ここでは、長年、障害児と関わってきた言語聴覚士(ST)であるわたしが「食事支援に

ついての基本的な考え方」を説明します。

姿勢や介助方法というよりは「加工」にポイントを絞ってお話しします。

なるべく簡単に説明しています。

難しくとらえずに読んでみてください。

 

 

 

軽視されがちな食事支援

私たちは毎日あたりまえのように食事をしています。

そのため、障害を持った子どもたちへの食事介助や支援を何となく行っているケースが

本当に多いのです。

 

三角食べをしていれば大丈夫?

ストロー飲みなら安全?


そんなことあるわけない。

歩行訓練や学校の勉強などと比べると食事は軽視される傾向があります。

命に係わるのは間違えなく食事です。

 

 

水分のいろいろ

水分は様々な状態に変化させることができます。

・液体  ⇒ 水、お茶など

・半液体 ⇒ ゼリー、ジュレ、プリンなど

・固形  ⇒ 氷など

それによって食べやすさも変わってきます。

・口から喉の奥へ進む速さ

・口の中での保持しやすいさ

・口の中で溶けるかどうか

タイプによって特徴はバラバラです。

では、飲みやすくするためにはどんなことに気をつければよいのでしょうか?

 

 

水分を飲みやすくするために

水やお茶などの水分でムセてしまう子への対応は下記のようなものが考えられます。

 

ex.

・水分を加工する

・飲むときの姿勢を整える

・コップを変えてみる

・介助方法を見直してみる


ここでは「加工」について説明します。

 

 

水分の加工とは?

水分はお米やおかずと比べて、あっという間に喉の奥へと流れ込んでいきます。

これは水分の移動するスピードの問題が大きい。

だったらその流れをゆっくりにしてあげればよいのです。

 

ex.

・トロミをつける
・ゼリーにする
・ジュレにする

 

 

どうやって?

トロミ剤などを使って水分を「加工」します。

ただし、むやみにトロミ剤をたくさん使えばいいというわけではありません。

トロミ剤を使いすぎると「お餅」のようにベタベタになってしまうのです。

こうなったら喉に張り付くので余計に飲みにくくなってしまいます。

逆に危険なのです。

安全に使うためには決められた分量を使う、もしくは少量ずつ加えていくことが鉄則です。

 

 

おすすめの水分を加工するグッズ

オススメのグッズを紹介します。

 

トロミ剤など

最近はトロミ剤自体の性能が上がっているのでダマ(混ぜたときの塊)になりにくくなっています。

 

気をつけるべきは次のとおりです。

定期的に手に入る商品か?

⇒近所のドラッグストアやネット通販で手に入るか?

なかなか見かけない商品もあります。

 

・食物アレルギーはクリアできているか?

⇒トロミ剤に小麦等のアレルギーとなるかもしれない物質が使われていることがあります。

材料では使われていないけれど製造ラインで使用されているというものもあります。

これは盲点なので気をつけたいポイントです。

 

・高価すぎないか?

⇒人によって高価は違ってきます。

しかし、たとえ良いものであったとしても、値段が高すぎると長期的に使うことが困難になりやすいです。

 

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ちなみに、どのトロミ剤も少しずつ入れて、漢字の「井」を書くように混ぜるとダマになりにくいです。

 

 

食具など

・マドラー

スプーンを使ってもOKです。

しかし、マドラーを使うと楽です。

100均でも買うことができます。

 

 

まとめとして

今回は、水分をうまく飲むことができない子への対応のポイントをお話ししました。

水分にも「加工」という視点を持ってみてください。

お子さんが楽になるはずです。

 

ポイントは変に障害のない子と比較しないことです。

わたしたちと同じ形態のものを提供しても辛くなるのは子どもです。

子どもの現状に合った「状態」のものを提供してあげる。

その積み重ね自体が飲んだり食べたりする練習になるのです。

 

よかったら参考にしてみてくださいね。

 

◆介助方法はこちらをご覧ください

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◆コップやストローのはなしはこちらをご覧ください

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