言語聴覚士は放課後等デイサービスで何ができる?

放課後等デイサービスで言語聴覚士(ST)としてできることを模索しています

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障害児分野の施設内勉強会(研修)ではどんなテーマが人気なのか?

施設内勉強会(研修)って?

 

施設内で勉強会を開いているところも多いと思います。担当者や責任者は「スタッフに学んでもらいたい内容」を提供していきます。

しかし、スタッフも、意欲のある人や薄い人、学生や主婦、フリーターなど、立場は人それぞれです。経験も人によって異なります。では、どこにターゲットを向ければよいのでしょうか?

 

 

施設内勉強会での鉄則

① 複数の勉強会を用意する

経験に応じて「経験の浅いスタッフ用」と「経験の長いスタッフ用」に分けます。例えば、「障害の特徴と支援の基本」「子どもの全体像を捉えるための視点」という分け方があります。

 

② スタッフの負担を軽くする

勉強会の回数を多くし過ぎると、負担に感じるスタッフは意外と多いです。頻度を低くします。さらに、毎回、レポートを提出させるのも考えものです。

例えば、読書学習と称して感想をレポートにまとめる形を取っているところもあると思います。提出するレポートをアンケートに変えてA4用紙1枚にしてしまう。もしくは、読書学習ではなく1時間~1時間半の研修で「聞いて学ぶもの」に変更する等がよいです。

 

③ レスポンスをしっかりと返す

勉強会を行うと、スタッフからの質問が出ます。その場で返すことが出来ればよいのですが、全てを返すことは難しいです。読書学習のアンケートに質問が書かれている時も同様です。そういうときは、後日、質問の答えとして、研修担当者が専門職等に聞いて、まとめたものをスタッフに返していきます。答える場を設けることが難しいようでしたら、書面にまとめてスタッフに配布していきます。 

勉強会は、スタッフに「知っておいてほしいこと」や「考えてもらいたいこと」を提供する場です。勉強会自体の準備も、日々の業務の時間をぬって行っているはずです。日頃から、スタッフの様子や、業界の流れをみながら「役に立つもの」を提供していくとよいです。 時間と労力をかけて準備する勉強会。お互いに「よかった」と感じられるものにしていきたいです。

 

 

例えばどんなテーマが人気なのか?

障害児通所施設ではどんなテーマが人気なのでしょうか?実際にやってみてスタッフの食いつきがよかったものは下記のテーマです。 

テーマ①「感覚統合について」
 施設内研修の企画を任されたとき、テーマを何にするのか迷うと思います。保育スタッフの反応が比較的よいテーマは、
 
・感覚統合
・食事関連
・障害の基礎知識と対応 逆に、反応が弱かったり、関心に偏りのあるテーマは、
・特定の支援法に絞った研修(ex.○○法、○○アプローチなど)
・法律関連
・特定の障害に絞った研修
 
などがあります。
これらは「自分とは関係がない」と感じてしまいがちです。特に、学生のアルバイトスタッフは、そう感じて当然だと思います。法律関連のテーマは、放課後等デイサービスに関わる人間としては、知っておいて欲しいものもあります。しかし、強制するものでもありません。
 
  
感覚統合とは何か?

感覚統合理論とは、障害を持つ子の不思議な行動や問題行動は、感覚の過敏や鈍麻が原因のひとつとして考えられるという考えです。 

もともとは、作業療法士の分野です。特に保護者には人気があります。先程、○○法単独でテーマ設定していまうと、聴いている人が飽きやすい、と言いました。しかし、中身が分かりやすいので、支持されやすいテーマなのです。

・ みんなと一緒に部屋にいられないのは聴覚過敏があるから
・ 吊り橋を走って移動するのはバランス感覚に不安があるから
・ 他者に触るとき力が入り過ぎてしまうのは距離感や触る感覚に問題がある

などがあります。実際の子どもの様子と照らし合わせやすいのです。感覚統合理論が万能というわけではありません。しかし、障害児保育をする上で、大切な視点となり得ます。新しい視点は、支援の幅を拡げます。

ぜひ「感覚統合理論」も勉強会のテーマの候補にしてみてください。

  

 

テーマ②「摂食・嚥下」 

研修のテーマは施設によって様々です。支援に関する実技的なものや、各種障害に関する知識的なものが多いでしょうか?次におすすめするのは食事に関する勉強会です。

・食べ方や食事介助
・食べる力の発達
・嚥下食の作り方

などが考えられます。

 

 

情報は行き渡っているか?

重症心身障害児が通う放課後等デイサービスでは、言語聴覚士が保育スタッフに対して食事介助のやり方をレクチャーすることがあります。理想を言えば、すべてのスタッフが通ってくる全ての子の食事介助に対応できるとよいです。しかし、なかなかそのようにはいきません。

・重症心身障害児の子と関っているスタッフ
・発達障害の子メインで関わっているスタッフ

に分かれると思います。重症心身障害児の子メインで関わるスタッフには、食事介助や摂食・嚥下に関する情報を伝える機会が多いと思います。しかし、主に発達障害の子と関わるスタッフまで、その情報が行き渡らないことがあります。年に数回、重症心身障害児の子の食事介助に入るスタッフもいます。その場合、食事介助が難しい子に入ってもらうことはないとは思います。

しかし、子どもの現状や注意点という情報を知っておかないと

・次から次へと口に食物を入れている
・今、大事にしていることが守られていない

など、最悪、事故につながることもあるかもしれません。

 

 

今、スタッフが悩んでいることを知る

そこで、可能であれば「摂食・嚥下」をテーマに勉強会を開いて、情報の共有を行うとよいです。普段から重症心身障害児と関わっているスタッフには、再確認の場になります。

勉強会の中身は、

・基本的なこと
・子ども別の注意点
・Q&A

くらいでよいのです。いろんなスタッフが参加してくれれば、普段、私たち、重症心身障害児をメインでみているSTが、あまり意識していない質問をもらえたりします。

以前、私も下記のような質問を受けたこたがあります。

・ 反芻(はんすう)について
・ ダウン症の食べる機能の発達について
・ 偏食について
・ 食具の使い方について

もちろん、その場で、すべての質問に答えられるわけではありません。答えられなかったものは、宿題にして、後で歯科医師やOTの先生から教えてもらえばよいのです。それらをまとめて、改めて口頭もしくは紙でスタッフに返す。お互いに成長できるチャンスにもなります。

 

 

摂食嚥下の研修(勉強会)を成功させるために

・ 解剖学や生理学的なことは出来るだけ分かりやすく
・ 専門用語は避ける
・ 体験型の研修は目的を明確に
・ 通っている子を例に出す
・ 介助のやり方によっては悪癖につながることも伝える

などなど。

専門的な用語は聞く人の興味をなくします。「輪状咽頭筋が・・・」と言っても混乱するだけですし「中期食」くらいの用語でも拒否するスタッフは結構います。この場合は、実際には、どのくらいの硬さなのか具体的に伝える(ex.中期食=絹ごし豆腐くらい)。

また、嚥下食の試食や、食事介助体験も楽しいですが、目的を明確にもたないとグダグダになりやすいです(ex.食形態の違いを知る、姿勢の角度を体験する、など)。

研修の内容は、一般的な”基礎”よりも「今、この施設で必要なことはどんなことなのか」「子どもの今後のために、今、何が出来るのか」を伝えるようにすると、スタッフにも、スッと落ちていきやすくなります。 安全で楽しい食事をどんなスタッフも、自分の施設で事故を起こしたいとは思いません。STとしても、食事場面の事故は、出来る限り避けたいです。窒息時の対応も含めて、スタッフ間で情報共有して安全に楽しい「食事やおやつ」を提供していきたいです。

施設内研修(勉強会)を活用してみてはいかがでしょうか。

 

投稿日:2018年11月27日
更新日:2020年9月23日