言語聴覚士は放課後等デイサービスで何ができる?

放課後等デイサービスで言語聴覚士(ST)としてできることを模索しています

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Ⅰ水準(感覚入力水準)とは

【感覚と運動の高次化理論】とは?

「感覚」と「運動」を使いながら、外の世界で起こっていることや原則を理解し、それを深めることで「発達」の段階を進めていくものです。 障害を持っている子は、どこかしらの発達段階でつまずくことがあります。そのため、どうしても「認知発達」に凸凹がみられます。その凸凹をとらえる考え方が【感覚と運動の高次化理論】なのです。

また、「感覚」と「運動」を別々に考えるのではなく、相互的に作用するものとして扱っています。

この理論には、発達検査のようなテストはありません。子どもが物や人と関わる様子をみながら、発達の段階やつまずきを丁寧にとらえていきます。 【感覚と運動の高次化理論】では、発達段階を4つの層(今、どんな世界にいるのか?)8つの水準(その世界の中で、どのくらいの段階にいるのか?)に分類しています。

 

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感覚と運動の高次化理論より

 

 

 

 

Ⅰ水準 感覚入力水準

感覚をうまく使うための練習していく段階です。発達初期の子は、外界からの感覚刺激を上手に受け取りづらい状態です。

 

感覚は一つずつしか使えない

周囲から音が聞こえると、今までの動きを止めて音を聞いている子がいます。この状態の子をみて、支援者は「○○ちゃんは、この音が好きなのね」とか「集中して聞いていて偉い」のような評価をしてしまうことがあります。表面上は、そのように見えると思います。

しかし、本当にそうなのでしょうか?

その子の「感覚の使い方」という視点から見てみると、音を聞く際、他の感覚器(身体など)は遮断されている状態だということができます。まだこの発達段階の子は、聞いたり感じたりする(聴覚や振動覚など)ときには感覚を1つずつしか使うことが出来ないのです。そのため、楽器を演奏するときに音を聞くと手が止まってしまうのです。 逆に、調理の際に、手を使って操作をすると視線が反対側を向いてしまうことがあります。これは、身体を使うと感覚が使われなくなるということです。発達初期の子に遊び(感覚遊び、玩具遊び、身体遊び、やり取り遊びetc.)を提供する際には「シンプルに」が鉄則です。

 

 

感覚の種類によって難易度がある

感覚にも難易度があります。どんな子も受け取り安いとされているのが「揺れ(前庭覚)」や「手足の曲げ伸ばしを伴う動き(固有覚)」です。次が「触った感覚(触覚)」。そして「聞くこと(聴覚)」、最後に「見ること(視覚)」の順番で感覚刺激の受け取りやすさが変わってきます。

 

【易】  前庭・固有感覚・触覚 > 聴覚 > 視覚  【難】

 

ならば「刺激は強ければ強いほどいいんでしょ?」と考える方がいるかもしれません。 しかし、この段階の子には逆効果となりえます。強すぎる刺激がくると感覚を遮断してしまうことがあります。逆に弱すぎる刺激だと受け取れなくなってしまう。

適度な刺激量というのは物理的に「〇ルクス、〇dBだ」とは決まっていません。個人が大きいです。 さらに「感覚過敏」のために少しでも大きいと拒否を示す子もいます。一見、感覚刺激かな、と思っても、これまであまり手を使っていなかったから「触ること」に拒否をするという子もいます。 その場だけの判断ではなく、その子の「これまではどうだったのか」という情報を押さえることも重要です。発達が初期の子でも、揺れや回転、音楽に対して笑顔を見せてくれる子は割といます。

 

 

反応が読み取りにくい

遊び場面で、支援者が声掛けをしたり、光る玩具を提示したりしても反応が弱い子がいます。

「なんで反応しないの?興味がないのかしら?」

「この玩具は好きじゃなかったんだね。」

と思ってしまうことがあると思います。この段階の子は、他者からの声かけや玩具などの刺激を受け取ることが得意ではありません。そのため、どんな刺激が来たのか理解できていない場合があります。どうしても、支援者は、次々に新しいもの、光って振動して音が鳴って・・・等の複雑な玩具を提示しがちです。

しかし、一見楽しそうな玩具でも、その子にとっては複雑過ぎる刺激で受け取り切れていないということがあります。また、支援者からの働きかけに対して反応が出るのに時間がかかってい場合もあります。っかく「楽しい!」という感情を表出したり「今から見てみよう」と子どもが動こうとしても、支援者がせっかちだと、子どもは反応することが出来なくなってしまします。

また、発達初期の子は「快」か「不快」で物事を判断していると言われています。細かいことをいうと、もっと前の段階の子は「不快」か「不快ではない」かで判断しています。そのため「この子は何が好きなのか分かりづらい」と感じる子がけっこうな数いるのです。

 

体調の良し悪しが気持ちや反応を左右する

この段階の子は、生理的な要因が情動を左右します。コンディションが悪かったり、眠くて覚醒度が低い時には反応が悪いことがあります。そういうときに、その一場面だけを切り取って「反応しなかった。できないのか。」という評価をしてはいけません。日と改めて再度みてみることが大切です。

 

 

 

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<参考文献>

[rakuten:book:12072401:detail]

[rakuten:book:12072405:detail]