言語聴覚士は放課後等デイサービスで何ができる?

放課後等デイサービスで言語聴覚士(ST)としてできること、役割を探っていくブログです

【小児】言語聴覚士になって気づたこと【7年目】【放課後等デイサービス】

思い描いていたSTとは程遠かった現実  
養成校にいた頃は「小児のSTは、訓練と検査ばかりやっているんだろうな」と思っていました。  
 確かに、病院や未就学児通所施設では、言語訓練やSST(ソーシャルスキルトレーニング)中心という STも多くいます。 
 しかし、放課後等デイサービスは、保育が中心である施設が多いため、「個別訓練や検査ばかり」というところは少ないと思います。
 
 
保育職と専門職の違い  
保育職のスタッフは「療育って何?」とか「放課後等デイサービスは、遊びの場だから、お勉強(訓練)は必要ない」と言われることも多かったです。  
 
私はSTになって9年目、放課後等デイサービスで働き始めて7年目となりました。はじめは、思い描いていた「小児 ST像」と現実のギャップに苦しみました。保育スタッフの考え方を、保育から療育へと変えるための手立てばかり考えていました。しかし、放課後等デイサービスで働いているうちに、保育の良いところもたくさんみえてきました。今では「必要に応じてSTとしての専門性を発揮できればいいかな」という考え方に変わってきました。
 
 
STとしての居場所を作るために  
例えば「摂食・嚥下」。歯科医師が嘱託医として出入りしていない施設では、子どもの食事、特に機能や介助、対応などが適当になりがちです。 
 例えば「発達」。保育では、子どもの「気持ちや心の動き」を大切にします。そのため、スタッフによっては、発達段階を無視した目標設定で支援を進めているケースがあります。ここで、専門職としての STの出番です。
 
・いかに、安全な食事(介助や食形態など)を提供できるか?
・発達を踏まえて子どもを捉えることの大切さを伝え、支援につなげられるか?
 
 施設として、子どもをみるための「視点」を増やしていくことに力を注いでいくのです。偉そうにスタッフや子どもに指示ばかり出すのではなく「一緒に考えていきましょう」というスタンスで「参加」していきます。 
 STだから「ことばやコミュニケーションしかみません」という考え方では、保育職から受け入れてもらえません。(自分の出来る範囲で)どんな相談が来たとしても、一応受けてみる。その場で解決できないことは、PTやOTなどに力を借ります。そこから助言へとつなげていきます。
 ただでさえ、PTやOT、 STなどの専門職の介入が少ない放課後等デイサービス。専門職に対する偏見をなくしてもらうためのチャンスでもあります。
 
 
STの仕事はひとつではない  
私の現在の仕事は、
・ことばの面もみるけれど、嚥下や発達もみる専門家
・PTやOT、歯科医師などの専門職と保育職との橋渡し
・時々、各種検査(主に発達検査) を行うこと。
 
他施設で受けた検査結果を噛み砕いて保育職や保護者へ伝える などがメインです。
 
養成校の学生が思い描く ST像とは異なると思います。しかし、 STの領域から大きく外れているわけではありません。資料作成が多いのですが、やりがいはあります。
 
放課後等デイサービスのSTは、まだまだ未開拓な分野です。自分の興味があることだけやれるわけではありません。あまり知識がない部分は様々な職種に助けてもらっています。助けてもらっているうちに、少しずつ知識もついてきました。理想のST像を追い求めるのも、ひとつの働き方だと思います。しかし、遠回りをしながら開拓していくのも、得るものが多い働き方だと感じています。