連絡帳に何を書けばいいの?
障害を持つ子の通所施設には「連絡帳」があります。
子どもが通う日に毎回持っていくノートで、保護者と施設の申し送りみたいなものです。
わたしは長年、障害児施設で働いてきました。いろんな人の連絡帳を見てきました。
・細かい文字でビッシリと子どものことを書いてくれる人
・文字数は少ないけれど必要なことは書かれている人
・連絡帳を開いた形跡すらない人
連絡帳は親御さんの性格が表れるもののひとつです。
描くのが得意な人もいれば、苦手な人もいます。
感じの良い連絡帳もあれば、その逆もあります。
今回は、障害児施設の連絡帳のはなしです。スタッフは連絡帳を見て何を考えているのか?を紹介します。
連絡帳の役割
子どもが通う度に書いてもって行かなければならない連絡帳。
親御さん側からすれば、忙しいのに手間だと感じてしまう人もいるかもしれません。
連絡帳のやり取りには しっかりとした理由があります。
・家と施設のコミュニケーションツールとして
・子どもの現状把握
支援者たちは、子どもの家での様子を知りたいのです。
何を書けばいいの?
毎日、書いてくれと言われているけど・・・。正直、面倒くさい。気のきいた文章なんて書けない。
でも心配ご無用です。
忙しいときには、いくつかのポイントを書いてもらえればOKです。
必要な項目
施設側が「書いてほしい」と思っていることはあります。
・子どもの様子
・体調について
特に「体調」に関することは隠さず書いていただきたいです。
⇒ 特に、前日や当日の体調の変化。風邪を引いたというようなものばかりではありません。「体調不良」の他にも「期限の良し悪し」「食欲の有無」など、いつもと比べて今日はどうか?という情報が欲しいです。
⇒ 「熱があると預かってもらえない」そう思われている人は多いはずです。でも、ちょっと待ってください。障害のない学童とは違って、障害児施設には体調や病気が重症化しやすいお子さんがいるかもしれないのです。自分の子は平気でも、お友だちに迷惑をかけてしまうかもしれないのです。
自由記述欄(コメント欄)
施設によっては「自由記述欄(コメント欄)」がある連絡帳があります。これは堅苦しく考えなくてよいです。前日、もしくは最近のお子さんの様子を書けばOKです。
本当にちょっとしたことでよいのです。
・寝る前はとても機嫌がよかった。
・お兄ちゃんとケンカをした
・週末は○○へ行った
・最近、こんな遊びにはまっている
こうした「家の様子」は貴重な情報です。子どもの興味や嗜好から活動や訓練を組み立てることがあるからです。さらに、子どもとのコミュニケーションのきっかけづくりとして活用できます。本当にありがたい情報です。
「○○ちゃん、昨日、おうちで△△して遊んだの?今日は先生と一緒にやってみる?」
書いちゃいけないことはある?
基本的にはありません。
世間的にタブーとされている、自分が支持する「政党」「宗教」については書かない方がよいです。書かれても困ります。
支持している「野球」や「サッカー」チームなどは書いてもOKです。
保護者が書く連絡帳
親御さんもいろんなタイプの人がいます。
コメントの量だけでは連絡帳の良し悪しなんて判断できません。やはり「内容」です。
感じの良い連絡帳
親御さんが書く「感じが良い」連絡帳は、毎回、何かしらの情報をくれるものです。
・昨日は寝るのが遅かった
・今朝は食欲がない
些細なことでよいのです。箇条書きで充分です。家の事情だってあるはず。連絡帳にあまり時間を割けないことだってあります。
感じの悪い連絡帳
非難めいた書き方をしてくる連絡帳。
・医療的ケアがある子の場合、処置の指示が細かくなることはあります。支援者側もそれが「めんどうくさい」と思う人はいません。
ここでいう「感じが悪い」は「お金を払っているんだから、あなたがたはちゃんと仕事をしなさいよ」と遠回しにいってくる人。世の中どんなものだって「ギブ・アンド・テイク」なはずです。「責任」は果たさないのに「義務」ばっかり主張してくる。そんな人の意見なんて聞きたくなくなります。これは保護者だけでなく支援者にも言えることではありますが・・・。
支援者の連絡帳の書き方
支援者も連絡帳に書きます。
・本日の活動
・子どもの様子
・連絡事項
どこの施設の連絡帳でも、上記の3つが柱となります。
支援者が書くコメントにも「感じの良し悪し」が出てしまいます。
感じの良い連絡帳
大切なのが「キレイに書く」ということです。これは意外と大切。
キレイといっても「書道の先生のように」ということではありません。「丁寧に書く」ということです。わたしも普段から連絡帳には「丁寧に」書くよう心がけています。
以前、保護者から「あなたの書く字は読みやすい」と言ってもらったことがあります。内容を褒められたわけではなかったのですが・・・。ただ、文字ひとつで人の印象は変わります。プラスにもマイナスにもなります。
もうひとつが「ちょっとしたコメントを添える」ということです。
日々の連絡帳は、親御さんが色々と書いてきてくれます。それらのコメントを見るだけ見て終わりではありません。ひと言くわえておくことをオススメします。
保護者「週末は家族で1時間かけて散歩をしてきました」
↓
支援者「そうなんですね。すごい!頑張りましたね!」
ただの感想でOKです。これだけで「ちゃんと読んでくれているな」と思われ、印象もよくなります。
感じの悪い連絡帳
逆に感じの悪い書き方もあります。
ひとつが「書き殴ったコメント」。どんな人でも「汚い文字」では読む気がなくなります。
どんな施設でも連絡帳を書く時間は、たいてい活動の終盤か帰る直前になってしまいます。これはちょうど忙しい時間帯なのです。正直言って連絡帳をじっくり書いている時間がない日だってあります。「丁寧な字を書く」は大切なのです。
もうひとつが「定型文?というようなコメント」。
・今日は○○を食べて、△△して遊びました。とても楽しそうでした。
・みんなと楽しく遊びました。
上記のような一文しか書かれていないもの。これが意外と多いです。
時間がないのは分かります。しかし、これでは「うちの子はちゃんと見てもらえてるのかしら?」と思われることがあります。
活動内容はサラッと書いて、子どもの様子を大めに書くとよいです。
ちなみに、連絡帳には「良かった様子」を書き、口頭で「悪かったこと」「問題」などを伝えるとよいです。活動後に親御さんに会えることが前提になってしまいますが・・・。
もしも、会えないのならば誤解されない書き方を心掛けましょう。子どもを非難するような書き方はNGです。
その他のちょっとアレな連絡帳
支援者のコメントで意見が分かれるのが「誇張がすごいコメント」です。
「あれもできた」「これもできた」と、本当はできていないまで できたように書かれたものです。
「感じが悪い」ではないかもしれませんが「誇張がすごい」連絡帳は引く人は引きます。
・活動中、○○君は、ちゃんと自分で考えて選んでくれました。質問にもちゃんと「はい」と笑顔で答えてくれます。
ウソはいかん。
まとめとして
今回は、障害児が通う施設の連絡帳には「何を書けばいいの?」という話しをしました。
連絡帳は支援者にとって大切なコミュニケーションの材料となります。特に「喋れない子」の場合はこの意味合いが強くなります。
忘れてはいけないことがあります。
親御さんは「施設に子どもを預かってもらっている」ということ。
支援者が「お子さんを預からせてもらっている」ということ。
このバランスが難しい。
「施設何だかちゃんとやれ」
「親なんだからちゃんとやれ」
こんなことを言い合ったって堂々巡り。無駄なケンカです。こんなことで争っているんだったら、子どもの「これから」について話す時間に費やした方がよっぽど有意義です。
人対人だから難しい。福祉は普通のサービス業と比べてとてもナーバスなのです。
連絡帳には「書くポイント」があります。ポイントを押さえればお互いの印象も変わります。
堅苦しく考えないで、保護者と施設のコミュニケーションツールのひとつとして活用してください。よかったら参考にしてみてくださいね。