言語聴覚士は放課後等デイサービスで何ができる?

放課後等デイサービスで言語聴覚士(ST)としてできること、役割を探っていくブログです

無意識的に先輩を小馬鹿にしていない?福祉職で失敗しないためのポイント

福祉施設で先輩と上手くやるための必須スキルとは?

障害児や高齢者などの福祉施設では、様々な職種のスタッフが働いています。

福祉の分野で働く人たちに欠かせないのが「知識の活用」と「情報の共有」です。

障害や病気、支援の知識をもとに、子どもや高齢者の状態をスタッフ間で共有することが求められるからです。

簡単に言うと、スタッフ間で「利用者の情報のやり取り」することが大切だということ。

 

・利用者(児)の引継ぎ

・支援の内容

・目標設定の相談

 

なかでも「同じ職種」の人とのコミュニケーションは欠かせません。

たとえば・・・

 

・指導員や保育職

・言語聴覚士

・看護師

 

職種間で話すことはたくさんあります。

同僚と話し合うこともありますが、それ以上に同じ職種の先輩と話す機会が圧倒的に多いのです。

 

そんなとき 急に先輩がムっとした なんて経験はありませんか?

自分では普通にしゃべっていただけなのに。

突然、先輩が冷たくなった。

なぜでしょう?

もしかしたら、あなたが無意識的に先輩を小馬鹿にしてしまったからかもしれません。

 

悪いことを言った覚えはないのに・・・。

 

今回は、福祉の仕事で、同じ職種の先輩を無意識的に小馬鹿にしている可能性があるかもよ?という話しをします。

気まずい思いをしないためにも、今一度確認をしていただければと思います。

 

 

先輩を小馬鹿にするとは?

小馬鹿にするとはどのようなことを言うのでしょうか?

一番やってしまいがちなのが、先輩が「知らないこと」を笑うということ。

実際に笑わなくても「知らないんですか?」と言ってしまうこと。

もしくは顔や態度に出てしまうこと。

これは後輩が無意識でやってしまいがちなことです。

言われた先輩は悔しいし恥ずかしいし・・・。そりゃ怒ります。

では、なぜそのようなことが起こってしまうのでしょうか?

 

 

先輩にも「知らないこと」はある

福祉の仕事で扱う情報は範囲が広いです。医療的な内容もあります。

 

・病気のこと

・障害のこと

・支援のこと

 

なかには先輩が「知らない」情報もあります。

特に「新しい情報」「自分の得意分野でない情報」は、すぐに手に入らないこともあるからです。

新人は知っているのに、同じ職種の先輩が知らないのはそのためです。

 

 

新しい情報は特に気をつけよう

医療的な情報というのは、日々更新されていきます。

数年前まで「正しい」と思われていたものでも、現在では「間違っている」「あまりよくない」と嫌煙されているものがたくさんあります。

訓練方法のスタンダードなやり方が突然変わったりもします。

 

ex. 過敏性を取るアプローチ

脱感作とは、過敏さを軽減させるためのマッサージのようなものです。以前は「手の先⇒肩」という流れで行うのが一般的でした。あるとき「やっぱ違うんじゃないの?」となって「中枢⇒手の先(末端)」という方向に変更となりました。

ネットで「脱感作」と調べると、手順のイラストがバラバラになっているのはそのためです。

 

新しい情報は自動的に誰かが教えてくれるわけではありません。

学生ならば先生が教えてくれるかもしれませんが、臨床に出てからは誰も教えてくれません。

自分で情報を手に入れるしかないのです。

専門的な職種の人たちが「勉強」=「情報収集」が大切だと言われるのはそのためです。

 

 

得意分野でない領域の知識

どの職種も その職種が専門とする領域があります。

たとえば言語聴覚士であれば

・ことば

・きこえ

・のみこみ

という領域に分かれています。

 

さらに

・小児

・成人(高齢)

・その他(障害児者など)

と対象によっても専門が異なります。

 

わたしは長年、小児の言語聴覚士として働いてきました。そのため、高齢者の「失語症」や「脳血管障害」などは分かりません。

分からないというか、養成校では習ったのですが、今となっては ほとんど覚えていません

わたしのように、同じ言語聴覚士であっても、その人によって「何が専門なのか?」が違ってきます

そのため、自分の専門でないことを聞かれても「知らない」「よく分からない」と答えざるを得ない状況が たくさんあります。

 

 

学ばせてもらおうという姿勢は大切

自分と同じ職種の新人が入ってきたら、ほとんどの先輩は張り切って あなたに「たくさんのこと」を教えてくれようとするはずです。

すべての先輩が教え上手だとは限りません。なかには回りくどい言い方になってしまう人もいるかもしれません。

 

それを「あ、知ってますんで」「よく分からないから結構です」と言ったり、態度に示したりするのは よくありません。

 

どんな先輩からでも学べるところはある

現在、わたしは言語聴覚士として小児の分野で働いています。それ以前は、高齢者の介護をしていました。どちらの職種でも、いろんな先輩方と一緒に仕事をしてきました。本当にいろんなタイプの先輩方がいました。

 

・面倒見がよいタイプ

・先輩の仕事っぷりを「見て覚えろ」というタイプ

・まったく干渉してこないタイプ

・関係ないことばかり教えたがるタイプ

 

共通しているのは 今日までその職種で活躍してきた(やってこられた)ということです。

仕事ができる・できないはある人によってあります。しかし、先輩から、その人が今まで続けてきた「やり方」や「信念」を学ぶよい機会なのではないでしょうか?

もちろん、「反面教師」とさせてもらうこともありますが・・・。

 


反面教師(はんめんきょうし)

見習い学ぶべきことではないものとして、悪い手本・見本となる事柄・人物。

岩波書店『広辞苑(第七版)』より

 

 

まとめとして

養成校を卒業したばかりの人や、資格を取ったばかりの人は勉強したことを まだたくさん覚えている状態です。しかし、時間とともに薄れていき最終的には忘れてしまいます。

いま覚えているだけの、習っただけの知識を知っているからといって、聞かれてもいない知識を披露してはいけません。

確かに、情報のすり合わせは大切です。

しかし、それをするのは「今」ですか?先輩から聞かれてからでもよいのではないでしょうか?

こんなことで先輩との関係がギクシャクしてしまうのはもったいないです。

同じ職種の先輩から得られるものはたくさんあるはずです。

そこから教えてもらったものは、これからのわたしたちの力となります。

 

あなたは無意識的に先輩を小馬鹿にしていませんか?