言語聴覚士は放課後等デイサービスで何ができる?

放課後等デイサービスで言語聴覚士(ST)としてできることを模索しています

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保育職が知っておきたい、放課後等デイサービスでの「吸引」の知識まとめ

 「排痰ってなに?用語がややこしいんですけど・・・」

今回は、排痰(はいたん)についてです。

用語がたくさん出てきます。

「吸引」?「吸入」?「スクイージング」?「ドレナージ」?

用語は覚えなくてよいです。排痰のイメージを持ってもらえればOKです。

今回、STが知っている範囲での「排痰」です。

 

 


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【質問】
そもそも吸引って何?

チューブを口や鼻に入れる範囲やチューブのサイズが決まっているんですよね?

その理由や効果が分かりにくいので教えください。

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痰ってなに?

痰というのは、肺に入ってきた異物をからめとって外に出されたものです。

この働きがあるので、肺はきれいな状態を保つことができ、病気を防ぐことができます。

乾燥すると、痰が硬くなってしまいます、また、生成されにくくなります。

硬くなると、肺の壁にへばりつくので、出しづらくなります。

 

 

吸引ってなに?

①吸引とは

私たちは無意識に呼吸をしています。

空気は気道を使って、口から肺へ出入りしています。

この空気の通り道である気道。ここに痰がこびりついていると、空気の通りが悪くなり、苦しくなってしまいます。

そういうときには、チューブを鼻や口から気道内に入れて分泌物を除去します。

それが「吸引」です。吸引器を使います。



吸“引”とは気道内の邪魔なものを“引く”(取り除く)ことです。

邪魔なものは、痰だけではなく、鼻水や唾液、逆流した胃液や栄養剤など、様々です。

吸引は医療的ケアです。

そのため、放課後等デイサービスで医療的ケアを実施するためには医師からの指示書が必要です。

私たちの施設では、半年に一度、主治医からの指示書をもらっています。

親御さんが病院まで取りに行きます。指示書を出してもらうにも、いくらかお金はかかります。


放課後等デイサービスで医療的ケアが行えるのは看護師だけです。

その指示書では、チューブの太さや入れる長さが決められています。

ときどき、指示書に具体的な長さや太さが書かれていないケースがあります。

そういうとき現場は混乱します。

なんのための指示書だ、と。

 

 

②チューブの太さは?

小児の施設でよく見かけるのは「8Fr」「10Fr」というサイズです。

太さの単位はFr(フレ)。

どのくらいの太さなのかというと・・・

Fr=mm×3 mm=Fr÷3

8Fr = 8÷3  →2.7mm
10Fr = 10÷3  →3.33mm


2~3mmの管が鼻や口から入ります。

年齢(体重、身長)、その他状況などから太さが決まります。

 

以前、私も吸引の講習会に参加しました。

その際、参加者同士、お互いにチューブを入れ合いました。

鼻から入れた時、10Frだと痛かったので8Frにしてもらいました。この1mm弱の差は大きいのです。

(一緒に参加した同僚のSTは鼻血を出して、そばにいた女の子に心配されていました。彼は鼻血を出しながらニヤニヤしていました。)

 

 

③窒息時に吸引器は有効?

もしも、窒息した場合でも、日常使用している吸引チューブでは内径が狭い(細すぎる)ため、食塊を吸引することはできません。

しかし、施設には「8Fr」「10Fr」しかありません。

そういうケースも多いかと思います。

うちには吸引器があるから窒息をしても大丈夫!

ではなく、常日頃から、窒息時、何ができるのか?という確認をして、対策を練っておくことが大切です。

重心の子であっても、その他障害の子であっても、です。


ex.
背部叩打法(はいぶこうだほう):
肩甲骨の間をトントンと強く早く叩く方法

 

掃除機を使ってのどに詰まったものを取ればいいじゃない?

そう思うかもしれません。

しかし、掃除機の吸引力は強力過ぎます。

掃除機を喉に突っ込んだら、大人でさえ肺の中の空気がなくなってしまいます。

子どもならなおさらです。

掃除機に取り付けて、吸引力を調節する「吸引ノズル」は市販されています。

 

 

④チューブを入れる場所

チューブを入れる場所は

・「鼻」

・「口」

・「気管切開をした場所(気管カニューレ)」

の3カ所です。

どこまでいれるか?

本来は、異物がある場所まで入れられればよいですが、実際には、指示書に書かれている箇所までの挿入です。

 

 

⑤吸引のリスク

・粘膜が傷つけば血が出ます

・嘔吐反射の誘発部位に触れれば「オエッ」となります

・強すぎる吸引力では肺にダメージを与えます

 

子どもの症状にもよりますが、本来、吸引は、毎日ルーティーンで行うものではありません。

本来、少し頑張ばれば自力で痰を出せる、というのが理想だと思います。

体位を変えるだけでも出せるケースもあります。

しかし、体調や状況にも左右されることも多いのです。

 

 

放デイの問題

「何を基準に吸引を実施するのか?」

この判断が放課後等デイサービスでは難しいのだと感じています。

看護師に判断をお願いする

とはなっているはずですが、いろんなところで大人の意地の張り合いになっています。

・どの段階から看護師が介入してよいのか?
・どこまで子どもに自力で痰を出してもらうのか?

ドレナージ等の手技をやらせてもらっている私の反省でもあるのですが・・・。

子どもの利益を最優先にやっていきたいです。

 

 

吸入

吸“入”は煙を“入”れる方です。「ネブライザー」と呼ばれる機器をつかう方法です。

 

 

耳鼻科でも診察後に吸入を勧められますよね?あれです。

小児耳鼻科に行くと、ネブライザーの霧に甘い香りを付けてあるところもあったりします。

一般的にはネブライザーに薬を入れて使います。

例えば、気管支喘息などがある人は、ネブライザーを使って、ステロイド剤や気管拡張剤などを霧状にして取り込みます。そのほうが、効率的に患部に効くからです。

薬を入れない場合があります。それが加湿を目的としているときです。

保育中に使っているネブライザーには、薬剤は入っていません。水道水+精製水or生理食塩水です。

のどを潤すだけではなく、ネバネバした痰を加湿することでサラサラにすることで、出しやすくします。

薬剤を使わなければ、医師や看護師でなくても使うことができます。

 

 

吸引以外の排痰

保育中に理学療法士の先生が、子どもの身体をゴロゴロ転がしたり、触ったりしているを見たことがある方もいるかもしれません。

あれが「吸引以外の排痰」です。

その中の「スクイージング」と「体位ドレナージ」と呼ばれるものです。

①「スクイージング」

呼吸に合わせて胸郭に手を当てて、圧迫させることで、溜まった分泌物(痰)を気道へ移動させる手技。

②「体位ドレナージ
重力を利用して溜まった分泌物(痰)を移動・排出させる方法。


これらは、本来は、理学療法士(PT)の分野で、排痰理学療法と呼ばれています。まれに言語聴覚士(ST)でもやっている人はいます。

この2つを併用して使います。ただマッサージをしているわけではありません。

子どもの呼吸を補助しながら、肺の内側の壁にこびりついた痰を、重力で落とそうとしているのです。

手技の途中で聴診器を使っているのは、「肺のどの部分に痰がくっついているかな?」と確かめているのです。

肺から痰を追い出すのが役目です。

しかし、追い出した時点では、肺の少し上、首辺りに潜んでいます。


気道から出てきた痰を排出する方法は2つあります。

・咳で口から出す
・飲み込む

のどちらかです。


これが自力でできない子は、

・重力を使って口から出す
・吸引をする

などの方法で対応します。

 

 

 

 

 

おすすめ資料

 

 

参考文献

人工呼吸 第 27 巻 第 1 号 50 〜 56 頁(2010 年)
小児の気管チューブ管理
http://square.umin.ac.jp/jrcm/pdf/27-1/kikanshi27_1_pdf01.pdf