「因果関係の理解」が子どもの発達で大切な理由
因果関係ってよく聞くけれど、分かりやすく言うとどんなことなのでしょうか?
簡単に言ってしまえば自分がやったことで変化したものに気づく力のことです。
この力がどのように子どもの発達に影響していくのでしょうか?
今回は子どもが因果関係を獲得する年齢やメリットなどを説明します。
因果関係とは?
因果関係(いんがかんけい)とは何かしたことによる変化。原因と結果のことです。
自分が行動した(原因)
↓
対象のモノが変化した(結果)
というつながり。
ex.玩具のスイッチを押したら光った。
⇒ 原因は自分以外にも、他者や物であるケースもあります。
ex.風が吹いたら花ビンが倒れた
何歳ころ獲得するの?
この原因と結果を理解するという力。
いつ頃身につくのでしょうか?
実は、生まれてすぐに気づき始めて0歳から1歳半くらいの間に徐々に身についていくのです。
意外と早くから獲得しはじめるのです。
◆1ヶ月~4ヶ月
動く自分の身体に興味をもつ
↓
興味の対象が動きそのものに移る
↓
◆4ヶ月~8ヶ月
動きだけではなく結果に興味を持つようになる
↓
◆12ヶ月~18ヶ月
動きや物(対象)が違うと結果も変わることを理解するようになる
因果関係の理解が大切な理由
因果関係は原因と結果のことだとわかりました。
じゃあ、これを理解できれば、どんなよいことがあるのでしょうか?
メリット
◆目的を持った行動ができる
因果関係があやふやな時期には「スイッチを押せば音が鳴る」というような流れも理解できていません。
そのため「音を鳴らすために何かをする」という結果(目的)に向かって動くことも少ないのです。
今はまだ
・手で触ること
・玩具を操作すること
自体が目的となっている段階といえます。
「〇〇したら△△となった(=因果関係)」が理解できると、
「△△を見たいから〇〇をする」というように★行動に“目的”ができるのです。
ex. スイッチを押したら音が鳴った
↓
音を聞きたいからスイッチを押す
◆ものの理解が深まる!
「〇〇したら(原因)△△になった(結果)」
この原因と結果という考え方は日常的によく使われます。
・コップを落としたら割れてしまった
・イタズラをしたらお母さんに怒られた
・テストでいい点をとったらご褒美に玩具を買ってもらえた
自分の行動(原因)によって起こった変化(結果)
この因果関係に気づかないと自分の周囲で起きている変化にも全く気づけないのです。
◆「どうして?」と聞くことができる
標準的な発達であれば3、4歳くらいで「どうして?」と質問することが増えてきます。
ちょうどこの頃「○○だから△△する」と言うようになります。
これは「因果関係」の理解が深まってきているからと言えるかもしれません。
ちなみに子どもが「どうして?」と質問したときに返してほしいのは
A 質問の答え(説明)
なぜ○○なのか?の答えがほしい
B 納得いかない
理屈ではなく自分の気持ちを知って欲しい
※説明してほしいわけではない!
前提となる力は?(前提条件)
どの力にも言えることですが、ある日、突然、身につくわけではありません。
前提となる力というものがいくつも存在するのです。
代表的なものは下記の通りです。
① 自分以外の“もの”に気づくこと
当たり前だと思われかもしれません。
しかし、ものに気づくということは必要な力なのです。
周囲にあるものに意識を向けられなければ、その変化に気づくこともないのです。
② 終点の理解
終点の理解とは「終わり」が理解できるか?ということです。
ちょっと分かりにくいかもしれません。
例 ①:ピアノを使ったリズム遊び
⇒ 音が聞こえたら「始まり」
⇒ 音が聞こえなくなったら「終わり」
例 ②:積木遊び
⇒ 積みはじめるとき「始まり」
⇒ 手元の積木がなくなったら(すべて積み終わったら)「終わり」
というように、ものとごには「はじまり(始点)」と「おわり(終点)」があります。
障害を持った子のなかには「おわり」に気づけない子がたくさんいます。
そのため、永遠と同じことを続けていたり、いまやっていることの次に意識を向けられなかったりするのです。
「因果関係」もひとつのことが終わった後の変化についてなので前提として「終点」を理解する力が必要となります。
まとめとして
今回は因果関係について説明しました。
の力は自分の目的を達成するために必要となる大切な力です。
人と関わるときにも欠かすことができません。
子どもが因果関係(原因と結果)を理解しているかどうか?
私たちが子どもを理解する上でもおさえておくべき力のひとつです。
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