放課後等デイサービスでの「遊び」と「勉強」は違うのか?
放課後等デイサービスで「遊び」は重要な役割をはたしています。
「遊び」を通して楽しい時間を過ごしたり、他者と心を通じ合わせる経験を積んだりできるからです。
では「勉強」はどう捉えられているのでしょうか?
今回は放課後等デイサービスでの「遊び」と「勉強」の捉え方について説明していきます。
ここでの「放課後等デイサービスと」は、特化型の施設ではなく昔ながらの施設を想定しています。
- 放課後等デイサービスでの「遊び」と「勉強」は違うのか?
- 放課後等デイサービスのタイプによっても違う
- 放課後等デイサービスでの「遊び」
- 「遊び」と「勉強」の違い
- 「遊び」と「勉強」の共通点
- まとめとして
本来は同じ意味を持つもの
「遊び」と「勉強」は発達という視点からみると似ています。
・どちらも「子どもの育ちを促す」もの
・どちらも「楽しい」もの
「遊び」と「勉強」で気づいたことが力となって子どもの発達を後押しするのです。
放課後等デイサービスのタイプによっても違う
ひとえに放課後等デイサービス(放デイ)といっても様々な種類があります
昔ながらのタイプ
⇒ 学校が終わった後は施設でゆっくり遊ぼうよ。遊びを通して他者と心を通わせるすべを学んでいこう。という昔からあるタイプの施設です。NPO法人や社会福祉法人が多い。
総合型
⇒ すべての発達を総合的に育てていくタイプの放デイです。現在ある問題の解決と今後の発達を促す「療育」を行うタイプです。これも昔からあります。NPOや社会福祉法人に多いです。
特化型
⇒ 運動や音楽などに特化した放デイです。様々な種類があります。身体を使いながらその他の発達も促していこうというタイプです。最近増えています。株式会社が多い。
学習塾型
⇒ 特定のやり方で「勉強」や「療育」に重きを置いているタイプです。
数やことばなど、学習で使われる能力を中心に学んでいく放デイです。このタイプも近
年増加傾向にあります。株式会社が多い。
放課後等デイサービスでの「遊び」
上記の「昔ながらの課後等デイサービス」とは、法律が整備される前からある、自分たちで築いてきた施設をさします。このタイプの施設には、子どもの気持ちを読み取って、子どもに寄り添った保育をしてくれる人たちが多いのが特徴です。
自分たちのやり方を確立しているので、専門職の視点をなかなか受け入れられないこともあります。
この考え方の要因として考えられるのが「遊び」ということばの捉え方の違いです。
「勉強」が嫌われる理由
放課後等デイサービスは、学校から帰ってきた子たちが過ごす「場」です。ゆったりとした気分でいろんな友達と一緒に遊べるところ。
それは大切な視点です。しかし、その考え方が極端になると
「ここは遊ぶ場所。お勉強は学校でやればいい」という意見が増えてくるのです。
誰にとって「楽しい」のか?
「ここは遊ぶ場所。お勉強は学校でやればいい」という考え方には支援者の視点での「楽しさ」が強調されています。
・「勉強」は学校でやってるでしょ
・「勉強」は楽しくないでしょ。子どもの負担だ
↓
放課後に「勉強」やらなくてもいい。かわいそう!
本当でしょうか?
・「勉強」と「遊び」を分けて考えていない子
こんな子もたくさんいるのです。
専門家を毛嫌いする原因になる
「遊び」と「勉強」を切り離して考えると、こんな偏見?が生まれることがあります。極端な例ですが・・・。
リハビリ職とよばれる
・理学療法士(PT)
・作業療法士(OT)
・言語聴覚士(ST)
特に、OTとSTは教具を使ったり、卓上で療育を行うことが多くあります。
教具とは教材や玩具のことです。この名称も気取った感じに取られてしまうんですよね・・・。
これらの理由から「勉強」を「オベンキョウ」といって毛嫌いされることがあります。
「遊び」と「勉強」の違い
そもそも「遊び」と「勉強」の違いとは何なのでしょうか?
学校が勉強でそれ以外が遊び?
なんとなくは理解しているけれど、聞かれると「上手く答えられない」という人も多いかと思います。
「遊び」とは?
いまを楽しむこと。その行為自体。
【遊ぶ】
① スポーツ・趣味など好きなことをして楽しい時間を過ごす。
② 何もしないでぶらぶらして時を過ごす。決まった仕事・職がなく暇でいる。
③ 飲酒・色事・ギャンブルなどに身を入れる。遊興する。
本来遊びはいろいろな意味で使われることばです。子どもの場合は「楽しい時間を過ごす」という意味で使われることが多いです。
「勉強」とは?
先にある目標を見据えた手段
【勉強】
① 学問や技芸などを学ぶこと。
② 物事に精を出すこと。努力すること。
③ 経験を積むこと。
④ 商人が商品を値引きして安く売ること。
「遊び」と「勉強」の共通点
共通点はどちらも「楽しい」ということです。忘れがちですが、本来「勉強」とは楽しいものです。
古代ローマ時代から「勉強」は位の高い人たちの娯楽でした。自分の「知」や「好奇心」を満たしてくれるものです。
また、知識だけではなく概念などのルールに気がついて、もっと高度なことを理解できるようになるのです。これはまさに「発達」です。
「勉強」は「遊び」のひとつなのです。
特別支援学校の授業でも市販の玩具を使うことはたくさんあります。
「勉強」の要素があっても楽しければ「遊び」
子どもは遊ぶことが仕事
ということばを聞いたことがあるかもしれません。これには遊びを通して発達に必要なことを学んでいくという意味があるのです。「遊ぶ」ことが「仕事」であり「勉強」でもあるんです。
玩具で学ぶ(例)
たとえば「クルクルチャイム」。ただの玩具だと思われがちですが、これにも「ボールを握る・離す」「目で見て自分の動きを修正する」「入れれば音が鳴る(原因と結果)」など、発達に欠かすことのできない力を身につけることができます。これらの力をつけることで、さらにステップアップすることができるのです。
・「ボールを握る・離す」
⇒ 人間の動きには様々な意味が含まれています。ボールを握って離すまでの間に「始まり」と「終わり」があります。「ボールを持つこと」が始点で「手を離すこと」が終点です。特に、自分で「終わり」をつくれるということは、★次のことに意識を向けられるということです。
・「目で見て自分の動きを修正する」
⇒ はじめは手と目を一緒に使うことは難しいです。そのため、ひとつのことをやろうとしても目が逸れてしまいます。手と目を一緒に使えないと、字を書く、正しく服を着る、靴ヒモを結ぶ等がうまくいかないのです。これは自分自身をコントロールする第一歩となります。
・「入れれば音が鳴る(原因と結果)」
⇒ 「○○すると□□になる」という原因と結果が理解できるようになると、段々と「自分がやったこと(行動)」と「それによって起きたこと(変化)」に気づいていきます。そこから「目的」をもって行動できるようになってくるのです。
子どもが「楽しい」と感じるものを!
本当ならば「勉強」と「遊び」のどちらが楽しいか?なんて大人が決めつける必要はないのです。
どちらも、子どもが今持っている力で理解できるようにして「楽しく」取り組めるようにすれば「勉強」の「遊び」違いはないずなのです。
たしかに「あれをやれ!」「これをやれ!」とやらせ過ぎる人(施設)はあります。それでは子どもの好奇心や関心は芽生えなくなります。
まとめとして
今回は放課後等デイサービスでの「勉強」の「遊び」について説明してみました。専門職も保育職も、ことばの違いに惑わされずに、子どもを見ていければ!と思います。良かったら参考にしてみてくださいね!