言語聴覚士は放課後等デイサービスで何ができる?

放課後等デイサービスで言語聴覚士(ST)としてできること、役割を探っていくブログです

勤務年数が長い人の意見が正しい?障害児支援で煙たがられないためのポイント

職域を守って「多職種連携」を機能させよう

どんな職業でも、何でもかんでも首を突っ込みたがる人がいます。

障害児支援の分野でも同じです。

 

・支援員なのに医療のことに意見をしたがる

・リハビリの内容に過度に口を突っ込む

・医師でないのに子どもの診断をしたがる

 

何でも自分の意見が入っていないと気が済まない。

自分が知っていないことがあるなんて信じられない。

 

こういう考えの人、結構います。

自分の意見や知識の多さをアピールしたいのでしょう。

しかし、このタイプは周囲から煙たがられます。

 

このようなタイプにならないためにも、自分の職種がやるべきこと―― 職域(しょくいき)――という考え方を知っておくとよいです。

今回は、障害児支援で、他の職種から嫌がられないための考え方を説明します。

 

 

指導員とは

障害児支援の現場では「支援員」と呼ばれる人たちが中心となって支援を進めていきます。

支援員とは資格名ではなく、支援を行う人のことを指します。

 指導員とは 

障害を持つ子の支援を行う人。持っている資格は様々です。

・保育士
・教師
・児童発達管理責任者

などの職種の人が多いです。資格がなくても「指導員」として働くことができます。

 

職域を守るということ

障害児支援の現場には数多くの職種(職業)の人たちが関わっています。

・支援員
・医師、歯科医師
・看護師
・リハビリ職(PT・OT・ST)

その他にも施設によって様々です。肢体不自由の子が通う施設では、医師や看護師が関わるケースが多いです。

 

たくさんの職種が一人の子に関わります。

そのため、特定の職種が強過ぎると、その他の人たちが意見を言えなくなるのです。

 

支援員が主体で支援を行っている障害児施設のなかでも、勤務年数が長い人の意見が強くなり過ぎているところがあります。

施設の外側から見えない問題ですが、一緒に働く人にとっては大きな悩みなのです。

 

職域とは

職域(しょくいき)

各職業の範囲

広辞苑 第七版(岩波書店)

職域とは、ある職業が担う仕事の範囲を指します。

 

多職種連携

職業ごとに「専門」があります。

それぞれの職業の人たちが「専門知識」を使って連携をとっていくことを「多職種連携」と呼びます。

 

近年、障害児の分野では重視されています。

そのため、

どこかで読んだ本に書いてあった内容が、目の前の子どもに合うかどうかも考えずにやってしまうのは危険な場合もあります。

だからこそ、得意分野を持った職種の人たちに教えてもらいながら、支援を組み立てていくことが大切なのです。

 

たとえ、あなたが指導者の立場であったとしても、他の職種の領域にズカズカと踏み込むことは良くない場合も多い、ということを分かっていないといけないのです。-

 

悪い例(支援員の場合)

では、実際に障害児施設で起きやすい「悪い例」を紹介します。

 

薬の提案

なんとなく聞きなれた薬を服用している子に「この薬は効かないから○○を使った方は良い」と保護者に助言してしまう。

完全に越権です。

何かあったらどうするのでしょうか?

「この薬を服用していると眠気が強い子が多いよね」くらいならよいのです。

なぜ、服薬調整や提案まで支援員・指導員がやってしまうのでしょうか。

そういう人に限って「薬を飲ませたら負け」「薬に頼らず支援でどうにかしよう」なんて、おかしなことを吹いてまわるのです・・・。

 

リハビリに過度な口出し

障害児施設で行われるリハビリには、理学療法や作業療法、言語療法、音楽療法などがあります。

そばで見ていた指導員から「もっとこうやった方がいいんじゃない?」と言われることがあります。

子どもの性格上「○○してから△△したほうがスムーズにいく」というケースはあります。

そういう提案ならどんどん いただきたいです。

しかし、根拠のない「こっちのやり方がいい」を言われてしまうと、リハビリ職も困ってしまいます。

 

診断してしまう

自閉症や学習障害などの発達障害を「勝手に」診断してしまう。

意外と多いのが これです。

医師の意見も出ていないのに「この子は学習障害があります」と勝手に保護者に言ってしまう。

言われた親御さんは混乱したり怒ったりしてしまうでしょう。

障害や疾患を「診断」できるのは医師だけです!

 

古い情報を強制される

リハビリや療育の分野は日々進化しています。

数年前までにスタンダードだったやり方が、数年後には「間違ってました」なんていうこともあります。

過去に誰かから教えてもらったやり方や情報を施設のやり方として長年、やり続けているところがあります。

そういうで施設は勤務年数が長い人の意見が強いケースが多いので、永遠と古い、誤った情報で支援を行っています。

 

ex. ことば
・手話などのサインは音声や言語の発達に悪い影響を与える。サインには頼らない方がよい
完全に間違い。過去にそのように言われていた時代もあります。現在では サインを使うことで言語発達の助けになるといわれています。

 

 

まとめとして

今回は、職種の範囲を超えて口出し過ぎると失敗しますよ、という話しをしました。

勤務年数が長いからと言っても、それが正しいとは限りません。むしろ間違っていたり、古い内容だったりすることもあるのです。

過度に意見が強い人は、自分以外の職種の人のやることにも意見を出し過ぎる傾向があります

余計なことは言わないほうがよい。

 

しかし、専門的な職種の意見が100%正しいとも限りません

「何で?」と思うことがあったら しっかりと聞いた方がよいです。

それで教えてくれない専門職がいたら、そんな人の意見は聞かなくてよい。

情報や意見のやり取りをしながら支援を少しでも良いものにしていくことが、わたしたち支援者の役割ですから。

良かったら参考にしてみてくださいね。