言語聴覚士は放課後等デイサービスで何ができる?

放課後等デイサービスで言語聴覚士(ST)としてできること、役割を探っていくブログです

保護者に「必ず良くなりますよ」と言ってもよい?【障害児とリハビリ職のはなし】

リハビリ職は子どもを「良くする」職種なのか?

障害を持つ子たちと関わる職種はたくさんあります。

指導員や保育士など。

その他にもリハビリの先生もいます。

・理学療法士(PT)

・作業療法士(OT)

・言語聴覚士(ST)

・音楽療法士(MT)

などなど。

リハビリの先生の仕事って何だと思いますか?

 

良い状態にすること?

治すこと?

 

答えを先に言ってしまうと「良くすること」「治すこと」ではありません。

ではリハビリ職とは何をする職種なのでしょうか?

 

今回は障害児分野のリハビリ職がどのように「障害を捉えるとよいのか?」というはなしです。

なぜ保護者に「必ず良くなりますよ」と言ってはいけないのか?を説明します。

 

 

 

障害児って何?

そもそも、障害を持った子とはどのような状態を指すのでしょうか?

大きく分けると2つに分けられます。

① 生まれつき障害や疾患がある子

② 生まれてから病気や事故にあった子

そのために脳や身体にダメージを負ってしまい、発達がゆっくりだったり止まっていたりするこのことです。

 

 

 

「良くなりますよ」と言わない方がよい理由

ではなぜリハビリの先生が「必ず良くなる」と言ってはいけないのでしょうか?

 

① 偉そうだから

「○○してあげる」

子どもに対してそんな上から見た支援がうまくいくはずがありません。

支援者側は気づかないかもしれませんが保護者やまわりのスタッフは気づいていますよ。

 

② 必ずなんてないから

「必ず良くなる」方法なんてほとんどありません。

たしかに教科書や専門書に書いてあったりセミナーで習ったやり方が有効な例もあります。

しかし、どんな子にも適応する方法なんてありえません。

 

 

③ よくなった理由なんて本当は分からない

泊まり込みで特定のリハビリだけをやり続ければ「良くなった」「悪くなった」という理由は絞り込めると思います。

しかし、ほとんどの子どもたちは家から学校へ、そして通所施設に通う子がほとんどです。

リハビリ以外の要因でよくなった可能性も大きい

何のおかげで良くなったか?なんて分からないのです。

 

 

子どもが持っている力とは?

子どもがよくなった時に計算に入れておくべき考え方があります。

それは子ども自身が持っている「育ちたい」という力の存在です。

スピリチュアル的、精神的なことを言いたいのではありません。

元々、子どもというのは自分で前へ前へと成長していきます。

障害を持っている子も同じです。

「育ちたい」という前進する力があるのです。

 

訓練の成果=セラピストの力?

では、訓練の成果はセラピストのおかげじゃないの?

そう思われるかもしれません。

たしかにセラピストの訓練は発達を促すための「きっかけづくり」になります。

しかし、あくまで「きっかけ」にすぎないのです。

 

ex. 言語訓練をしている子

訓練室内ではできていたことはいくつかある。

知らないうちに家でもできていた。

※別の場所や状況でもできるようになることを「般化/はんか」と言ったりします。

 

子どもがもともと持っている「育ちたい」と無意識的な力は侮れないのです。

 

 

じやあ保護者に何て言えばいいの?

リハビリ職は職場によっては親御さんと話す機会が多いところもあります。

わたしが働いている放課後等デイサービスも保護者の方と面と向かって話しをすることがあります。

わたしもリハビリ職’(言語聴覚士/ST)なので様々な相談を受けることもあります。

・食事のこと

・ことばのこと

・聞こえのこと

 

「○○というやり方をした方がよいですよ」と直接的なアドバイスをすることもあります。

しかし、「必ず良くなります!」と言ったことはありません。

口が裂けても言えません。

 

 

「わたしが改善しますよ!」なんて言う必要はない

リハビリ職は何年も養成校へ通って国家試験に合格する必要があります。

勉強の毎日です。

それでようやく手にした国家資格です。

いろんな知識も付いてくるので多少なりとも自信がついてきます。

しかし、リハビリ職のやり方は絶対ではないはずです。

自分たちのやり方が「正しい」という確証なんてないのです!

だったら「わたしがやれば改善できます」なんて言えないと思いませんか?

 

 

「お手伝いさせてください」でOK

リハビリ職なんて必要ないのでしょうか?

そんなことありません。

必要がなければ、もう資格自体が消えているはずです。

 

でも親御さんはリハビリ職に期待しています。

しかし、リハビリ職全員に十分な知識と経験があるとはいえません。

だったらどうすればいいのでしょうか?

 

お子さんの育ちを促すために支援をします。

そのためのお手伝いをさせてください。

 

くらいの言い方が誰に対しても傷をつけない言い方なのではないのでしょうか。

 

 

まとめとして

今回はリハビリ職は障害を持つ子どもと関わるとき、どのような視点で関わっていけばよいのか?というはなしをしました。

リハビリ職は他の職種と比べて知っていることが多いかもしれません。

しかし、障害児支援は障害児を「良くすること」「治すこと」ではありません。

リハビリを行うときのうたい文句で「必ず良くなりますよ」と言うのはおかしいのではないでしょうか。

PT、OT、STなどのリハビリ職はあくまで子どもを「良い方」へ導く職種です。

「導く」と書くと怪しさが増しますが・・・。

障害児と関わるリハビリ職は発達を促す「キッカケ」を作る素敵な職業なのです。

弱い立場の子たちに「やってあげる」職種ではありません。

 

良かったら参考にしてみてください。