言語聴覚士は放課後等デイサービスで何ができる?

放課後等デイサービスで言語聴覚士(ST)としてできること、役割を探っていくブログです

どんな障害にも効く「万能な支援法」がない理由【障害児支援のコツ】

誤った情報に惑わされないために気をつけたいこと 

障害を持った子と関わっていると、どうしても「すぐに良くなる方法」を求めてしまいたくなります。

巷には支援のHow To本であふれかえっています。

ネット上には、怪しい支援法もまれにあります。

怪しいのは分かっている。

しかし、みんな手を伸ばしてしまう。

だって、大人はみんな、いますぐにでも目の前にいる子が「よい状態」になることを望んでいるから。

 

しかし、どんな子にも効く万能な支援法なんてないのです。

誤った情報を流さないようにするには、どこに気をつければよいのでしょうか?

 

 

 

HOW TOだけを求めても良い方向には向かわない

何らかの障害を持つ子に「よく」なってもらいたい。

しかし「○○療法」「△△アプローチ」のような支援法を学ぶのは面倒くさい。

だったら、いますぐよくなるやり方があるんじゃないか?

・専門家に「今すぐよくなる方法」を教えてもらおうとする

・本やネットで「今すぐよくなる方法」を探しまくる

たしかに、誤った支援方法を修正することで子どもの状態が改善することはあります。

しかし、子どもにちょっと何かをしただけですぐに良くなる方法なんてありません。

そんな方法があったらすでに世の中に「障害児」と呼ばれる子はいないはずです。

 

 

子どものための支援をするために知っておきたいこと

今すぐによくする方法なんてない。

それを聞いてがっかりしたかもしれません。

しかし、普段からちょっとしたことを注意しておくだけでよい方向に向かっていくポイントはたくさんあります。

 

 

① 子どもがどのくらい理解できているか?を考える

「言い続ければ、いつかきっと分かってもらえるはず」

そう考えている支援者は意外と多いです。

 

ex. 子どもが悪いことをしたら「それはしないで!」と言い続ける

 

しかし、大人が言ったことを子どもが理解していなかったとしたら何回注意されても

治るとは思えません。

自分が悪いことをしたときに大人が声をかけてくれる。

きっとこれは応援してくれているんだ。

そう思ってもっと悪いことがエスカレートしていくことだってあります。

 

 

② 同じ障害でもまったく同じ症状の子はいない

先ほど、支援には「How To(ハウトゥー)」といったマニュアルは信用できない、というはなしをしました。

その理由は同じ障害だったとしても症状や性格、特性は子どもによって異なるからです。

自閉症の子のすべてが教科書通りの

・視線が合わない

・独り言を言う

・他者に興味を持たない

という子ばかりではありません。

大人や友と関わり

支援支援のやり方を見直すことは大切です。

しかし、支援を変えただけでは、どうにもならないことが多いのです。

それは、

 

支援とは

・その子が理解できることを増やすこと

・子どものことをもっと理解すること

だからです。理解できることが増えれば、いろんなことが見えてくるはずです。でも、それだけではいけない。

 

土台となる、様々な力を身につけていかないと発達は進んでいきません・・・。では、誰かに「今すぐ、どんな障害の子にも使える、とっておきの支援法を教えて」と言われたらどうすればよいのでしょうか?

 

 

専門職は質問にどう答えたらよいのか?

専門職であれば、新人であろうとベテランであろうとスタッフや親御さんから助言を求められることがあります。

これが経験の浅い新人には緊張する瞬間でもあります。

 

当たり前ですが、適当に答えてはだめです。

すぐに答えられる内容のものなら、その場で伝えます。

難しい問題や確認したいことがある場合には少し時間をもらいます。

専門書や教科書に書いてある内容を、そのまま伝えると失敗しやすいです。

障害は同じでも、子ども一人ひとり中身は違うわけですから。

その子に合うとは限らないのです。

 

 

誤った知識や情報を教えていませんか?

時々、障害に関する誤った知識を聞くことがあります。

職場で実習生や新人スタッフがこんなことを言っていたら、あなたはどういう説明をしますか?

下記は間違った情報の例です。

 

ex.

・「自閉症は、自分の殻に閉じこもるから自閉症」 
 ( ↑ 誤解を生む言い方)

・「ダウン症も発達障害の仲間」
 ( ↑ そもそも原因が異なる)

・「アスペルガー=知的障害のことでしょ」

 ( ↑ 前提から違う)

・「大人になってから発達障害になった」
 ( ↑ 今まで見落としてた?)

・「よく動く子=ADHD」

 ( ↑ そうだとは言い切れない。発達段階が初期の子、難聴などの場合もある)

 

誤った情報は意外とたくさんあります。

障害児の分野も、どんどん情報が新しくなるので、アンテナを立てておかないと、人に説明するときに古い知識で語ってしまうこともあります。

障害児について全く知らない人や実習生に誤った知識を伝えないようにしていきたいです。

 

 

問題には原因がある。手技にも必要な知識がある

「その手技だけ教えて」とか「(子どもの問題行動が出た際に)何で言えばいい?」という質問が出てくることも稀にあります。

質問した人が、本当に知りたいのであれば、根底にありそうな原因を一緒に探しますし、食事介助でも排痰でも基礎の基礎から説明します。

しかし、その場だけを逃げ切るための対応(HOW TO)だけ聞かれても・・・。

気持ちは分かりますし答えたくないわけでもありません。

 

現状と仮説を伝えよう

では、どうするか?

やり方だけを伝えるのではなく、それにプラスして、その子の現状と発達的につまずいているところ、課題なども一緒に伝えます

そういった意見を伝え合えれば、子ども理解にも幅が出るのではないでしょうか。

 

 

まとめとして

今回は、どんな障害にも効く「万能な支援法」なんてないというはなしをしました。

支援に携わっていると「すぐに症状や状態が良くなる」方法を探してしまいます。

しかし、そんなものありません。あったら障害で困っている人なんていないはず。

だからこそ、

・子どもが困っていることを探し出して

・子どもの全体像を把握して

・発達の凸凹を補う

そんな、先を見通した支援を、支援者が親御さんと一緒にみつけていくことが大切なのです。

まずは子どもを理解することです。

よかったら参考にしてみてくださいね。